3-22 二回目の襲撃
今夜は満月……という訳じゃ無いけど、かなりそれに近い形状ね。
月の満ち欠けにより力の強弱が変わるなんて話は世に多く存在するわ。
まぁ、実際にそういう能力者がいるという話は聞いた事が無いし、私の力が強くなったり弱くなったりするわけでもないけどね。とはいえ、作戦を決行する日としては悪くない。
今回襲撃する場所は市街地からは少し離れている研究施設の多い区画。
加えてラグーンシティではあまり多くない、森がある区画でもあるわ。
森の中は身を隠しながら進むのにはもってこいだけど、夜は凄く暗いし、とてもじゃないけど進めたものじゃない。
だからちゃんと舗装された道を通る予定だけど、そうは言っても街灯の数が少ないわ。
だから、月明かりで比較的明るくなっているのは僥倖と言えるわね。
計画は万事順調。明るければ状況を把握しやすい反面、警備に見つかりやすくなっちゃうけど、それについても特に問題は無いわ。
私達の仲間には光の操作が出来る光葉がいるんだから。
彼女の力を借りれば誰かに見られるという心配はほとんどない。
流石に常にそうすることは無理だけど、危険になったら身を隠せるっていうのは精神衛生上悪くないわね。
私にある力は破壊をすることしか出来ない力なんだから……。
生徒会長の側付として有名な天音を花蓮が連れて来てしまった時には狂ったのかと思ったけど、彼女の力は凄く便利だわ。
これが無ければ前回の時点で私達はお尋ね者になっていた可能性が高い。
そう考えれば、ファインプレーと言わざるを得ないわね。
それに、それだけじゃない。
私達は逃げる手段も万全。
戦闘になったとしても私が居れば全く問題ないし、心と花南もいる。
心強い仲間達と共に立てたこの計画に問題があるはずがないのよ。
この計画は間違いなく上手くいくはず。
そうすれば……。
そこまで考えたところで少し離れた所から声が掛かった。
「祭ちゃん、お待たせしましたー」
「花南。待ってないわ、大丈夫。皆も一緒?」
「えぇ、先程来る途中に会いましたの」
「ん……」
「全員揃いましたね」
そう言って現れたのは、花南、花蓮、心、光葉の四人、志を共にする仲間達。
まさか四人一緒に来るとは思わなかったけど、待つ時間が減って悪いことはないわね。
さぁ、今日が終われば折り返しよ。
これだけのメンバーがいれば、計画が失敗することなど微塵も考えられない。
「それじゃ、さっさと行きましょうか」
ナンバーズ序列第一位、剱持祭の号令で五人は月明かりの中を歩き出した。




