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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第三章~ナンバーズウォー~
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3-14 ひだまりスポット

 突然現れた大量の敵の反応。その数はおよそ百にも上るだろうか?

 思わず(つば)を飲み込む。


 完全に予想外の事態だ。

 それらは何の前触れもなく林の中に出現したのだ。


 形も様々で犬や狼、猫や鳥、狐に二足歩行の(わに)など……もはや何でもありな状況だった。


 それらが林の中から実際に姿を見せると、やはりそれは黒い何かとしか言いようのない物体だった。


 何とも気味の悪い話だ。まさか、これほどまでに多くの自律型(じりつがた)の敵を作り出せるような能力者がこの学校にいるとは思わなかった。


 これほどの力、さっき聞いたナンバーズという言葉が頭を(よぎ)る。

 まぁナンバーズであるにせよ、違うにせよ。一体なぜ俺を襲うのかが非常に気になるが、まずは生き延びてからだ。


 相手に殺すつもりがあるとまでは思わないが、気を抜いたら危険なことだけは間違いない。


「くそ、最近危険な事が多過ぎる! 強くなった自覚があったからな。まさか学校の奴相手に危険を感じるとは夢にも思わなかったぞ!」


 ゆっくりと周りを包囲していく黒い動物達に向かってカナムの剣を向ける。


「だけどな、準備してたのはお前らだけじゃない!」


 そう言って周りにカナムの球を出現させ体の周りを回らせる。


「自分が誰を狙ったのか……とくと思いしれ!」


 そう叫び、弾かれたかのように走り出した俺は目の前の三メートルはありそうな黒い熊を()り飛ばした。

 そのまま、回し()りで鹿やらカバやらを模したそれらを()り飛ばす。


「ん?」


 その時、俺は違和感に気付き蹴り飛ばした体勢のまま固まった。

 そして、足を軽く振って近くに生えていた木を蹴ると木はミシミシと音を立てて倒れた。


「……これは」


 軽い。

 黒い動物達はどれも、あまり重さが感じられなかった。まるでゴムボールでも蹴っているみたいだ。


 強くなった弊害(へいがい)で自分の感覚がおかしくなったのかと思ったが、木を蹴った感覚はやはり重たかった。この黒いのは一体何で出来ているんだ?


「おっと!」


 その時、後方から跳び掛かって来た(おおかみ)(さる)を剣で切り払い、続いて向かって来ようとしていた(とら)(いのしし)雷弾射撃(カナムバレット)を放つ。


 その結果、動物達は吹き飛んだが、雷弾射撃(カナムバレット)を開放して電流を流しても(しび)れによる硬直は見られなかった。


 分かっていた事だが、やはりこいつらは生き物ではないらしい。

 さっき切り払った狼と猿が復活する前にその場を離脱し距離を取る。

 すると黒い動物達はゆっくりと俺を包囲するように動き始めた。


「……重さと動きからしても、やっぱり生物じゃない。フィアのアイスハウンドみたいに何かを動物の形にして動かしてるだけってところか」


 能力の中には召喚(しょうかん)とでも言うのだろうか?

 生物を生み出す能力も存在する。使い魔とでも言うべきか?


 それらは実際に死んでも再召喚出来るらしいので、能力者が生み出した言わば人口生命体のようなものだと思うが、今相手にしているこいつらは多分違う。

 何かしらを操る力を持っていて、それを生物を()して操作しているだけだ。


 フィア達が言うように、能力はイメージの強さで能力の完成度に影響が出る。

 つまり、自身がイメージの出来る動物の形をとることで、その操作を楽にして少ない労力で自由に動かせるようにしているのだろう。


 俺が雷弾射撃(カナムバレット)を撃つ際に手を銃のようにしているのも、恐らくそのような効果があるはずだ。


 要するに、こいつの能力はこの黒い何かを操る(たぐい)の力である可能性が高い。

 とはいえ、それこそ付近に潜伏(せんぷく)していなければ出来ないはずだ。


 こいつらは生物ではない。

 であれば、自身で勝手に目標を(とら)えて(おそ)いかかるなど出来ないはずなのだが。


「くそっ! 一体何だっていうんだ!」


 包囲をされないように雷弾射撃(カナムバレット)で動物達を吹き飛ばしながら、林の中に突入する。


 林を抜けた先には(がけ)があったはずなので、そこから飛び降りれば普通に来た道を戻るよりも大幅(おおはば)なショートカットになる。それに希望的観測だが、もしかしたら追って来ることが出来ないかもしれない。


 もちろん、動物達は問題なく追って来ることが出来るだろうが、能力者自身はそうはいかないだろう。


 何らかの方法で俺の索敵(さくてき)を逃れていたのだとしたら、離れてしまえば操作することも出来なくなるはずだ。


 それに、人目の付く所へ逃げれば追撃(ついげき)を止めるかもしれないしな。

 しかし……。


「まぁ、そう来るよな!」


 上から、前から、横から、あらゆる方向から黒い動物達が俺に殺到(さっとう)する。


 敵は林に(かく)れている可能性が一番高い。

 そこに侵入(しんにゅう)したら(おそ)い掛かって来るのも(うなず)けるというものだ。


 俺は即座(そくざ)に周りにカナムによる球状の防護膜(ぼうごまく)を展開し、カナムで複数の剣を作り出して防護膜(ぼうごまく)の周囲を回転させる。

 刃が剣になった球状のチェーンソーのようなものだ。


 加えて、切ってしまっては真っ二つになった黒い動物が防護膜(ぼうごまく)に張り付く結果になると思うので、刃を切れないように太くしておく。


 これでただ走り抜けるだけで黒い動物達は簡単に弾き飛ばされていった。

 一部、それを避けて防御膜に張り付いた動物も膜の形状を変えて弾き飛ばしていく。


「くそっ! どれだけやってもキリがないな! 一体、どっから見てるんだ!?」


 周りは木に囲まれた林だ。

 辺りは()があまり届かないので暗いし、見通しも悪い。


 それなりの速さで走っているので、隠れて見ているにしても追い付いて来れるとは考え(づら)い。


「まさか、本当に自律型(じりつがた)なのか? これだけの数が?」


 自身の常識から外れた能力の存在を考えたその時、ふと視界の端にあるものが見えた。

 あれは……。


「……()だまり? 何であそこだけ……」


 なんとなく()だまりに違和感を覚え、すかさず方向を変えて走り出す。

 その瞬間、動物達の動きが荒っぽくなったように感じた。


「……知られたくない何かってところか。当たりだな?」


 俺はそのままの勢いで()だまりに向かって飛び込んだ。

 そして俺は、周りを見て戦慄(せんりつ)した。

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