3-1 私の作った装備見ていかない?
本日はプロローグと合わせて二話更新です。
シルフェが仲間になった直後、次の襲撃がいつになるか分からないということもありシルフェの社員登録はすぐに行われることになった。
そして、もちろん妹の芽衣と哨は彼女達の寮に送り返した。
一応端末は受け取っていたみたいだったので、いつでも連絡を取ることは出来るだろう。
俺に出来ることと言えば、二人を戦わせなくてもいいくらいに強くなることだけだな。
ちなみに俺は今、シルフェの社員登録の間は暇なので社内をブラブラと歩いている。
訓練の相手も今はいないし、するべきことも特には思いつかない。だから、何とはなしに技術開発研究所に向かって歩いていた。新しい指輪とか、何か面白いものでもないかなーと思ったのだ。
「よし着いた。それじゃ、失礼しまーす。って、おわっ!」
「わーどいてどいて!」
「いぎっ!」
扉が開くと同時、突然前から何かが飛んで来てそのまま壁に激突した。
俺は壁と飛んで来た何かに挟まれて背中がめちゃくちゃ痛い。
「っ――! 一体何だ……って、レジーナか」
「ん? 誰だっけ?」
見るとミント色の短髪でオーバーオールを着た小麦肌の少女、レジーナが俺に覆い被さっていた。前に会った時もこんな感じだったはずなんだが。
「誰って、俺の事忘れたのか? ……まぁ構わないが」
「んんー? ちょっと待ってねー。ここ、ここまで出掛かってるから」
レジーナは喉を指差してそう言い、顎に手を当てて考えるとポンッと手を叩いた。
「あっ、ナイスクッションのお兄さん!」
「誰がナイスクッションだ。誰が」
「あはははは、ごめん、ごめん。それで? お兄さんはこんな所で何してんの?」
「いや、ちょっと暇が出来たからなんとなく来ただけなんだが、ウルガスさんはいるか?」
「おっちゃんかー、いるにはいるけどね。今はちょっと忙しそうだから、多分無理かなー。そうだ! お兄さん今暇なんだよね? そしたら私の作った装備見ていかない? 安くしとくよ?」
「お前は怪しい客引きか何かか?」
「えへへー」
レジーナのボケに適当なツッコミをしながら頭を手刀で軽く叩く。
そうすると、ツッコんでもらえたのが嬉しかったのか、なにやらレジーナはにやけていた。
こうして見るとただの子供だな。
ドワーフだし、見た目じゃあ年齢は分からないが。
それにしてもレジーナの作った装備かぁ。
……確かピーキー過ぎるとかウルガスさんが言ってたやつだよな。
何と言うか、怖い物見たさみたいな感じか。
ちょっと興味あるな。
「そうだな。せっかくだしちょっと見ていこうかな」
「おぉ! そう来なくっちゃ! こっちこっち、付いて来てー!」
レジーナに言われるままに付いて行くと、そこには仮想訓練室にあったカプセルがずらりと並んだ部屋があった。
「あれ、この装置って技研にもあったのか」
「うん、やっぱりさ開発してると色々と試す必要があるからね。これが近くにあると便利なんだ。ささ、とにかく入るよー」
レジーナがそう言ってカプセルに向かったので、その隣のカプセルに入って目を瞑るとカプセルが起動した。そして、目を開けると俺は広々とした草原のような空間に立っていた。




