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AKANE  作者: 木と蜜柑
最終章 
59/63

最終章 1話  新たなる時代へ

 最終章です。

 まだ明かされていない謎をこの章でいよいよ明かしていきたいと思っています。どうぞ、最後までお付き合いよろしくお願いします。


「柑橘類とハーブのミックスティーです、陛下」

 かちゃりとデスクの上に置かれたティーカップから、甘酸っぱい香りが漂う。

「ああ、エメ、ありがとう」

 フェルデンは山積みになった書類から目を離し、そばかすの侍女に言った。

「陛下、ひどいお顔ですわ。少しお休みになられてはいかがですか?」

 エメは心配そうに溢す。

「ああ・・・、だが、まだ王都の復興の目処がついていないからな・・・」

 フェルデンはふと部屋の窓から外を見やる。

 この一ヶ月で、王都の再建は驚く程のスピードで行われていた。この分だと、あと数ヶ月もしないうちに、一時避難していた民の多くも王都へと戻ってこられるだろう。あちこちで人々がせわしなく働いている。王都が完全に復興した暁には、新しく生まれ変わった王都の名前を変えようと、フェルデンは心に決めていた。


 ちょうど一ヶ月前、この土地には王都が跡形も無く消え去っていた。

 地は荒れ、多くのザルティスの死体が無数に散らばり、とても目を向けられるものではなかった。

 あの日、フェルデンはクロウとルシファーの人間離れした闘いを目にした。自分達人間は、こんなにも恐ろしい相手と長い間戦をしてきたのかと呆れ返ったのが本当のところだ。

「あなたは、確か、ロジャー・・・」

 白亜城のたくさんある部屋の一室で、不気味な円陣の描かれた石壁と床。そして、その中心に横たわる紳士。その男の衣服の胸には、ザルティスの神兵と同じく真っ赤な蛇の紋様の刺繡が施されていた。

 フェルデンとクロウが白亜城へ戻ったとき、すでにその男の首は胴と切り離され、夥しい血を円陣の中に撒き散らした後であった。

 城の中には、どこを探してもベリアルの姿は見つからなかった。

 まるで最初からそこにいたかのように部屋の椅子に腰掛けたザルティスの兵の姿をした男は、フェルデンがいつしかリーベル号で見かけたその男のものに相違無かった。

「お久しぶりです、フェルデン陛下。いえ、お初にお目にかかります、と言った方が適切でしょうか?」

 男の肩には、世にも珍しい、真っ白い鳩が大人しくとまっている。

「あなたは一体何者なんです」

 フェルデンは問うた。謎に包まれたこの男が、どうしてこの場に当然のように居合わせ、そして何もかもを知っている口振りなのか。その全てがわからないままだった。

「わたしは、しがないただの美容師、クリストフ・ブレロにございます、フェルデン陛下。以後、お見知りおきを」

 すっと椅子から降り立ち、優雅に頭を下げた男の動きは、紳士そのものであった。

「では、クリストフ・ブレロ。そこに転がっている男の首はあなたが刎ねたのか?」

 それを否定するかのように、白い鳩がばさばさと羽を鳴らした。

「いいえ、新王陛下。わたくしはこの場所を、クロウ陛下のご側近にお教えしただけにございます」

 何故、この男がアザエルさえも知らなかった禁術を施した場所まで知り得ていたのかと、フェルデンは眉を(ひそ)めた。

「あなたがどうして何もかもを知っている!」

「はい、新王陛下。全てを見てきたからでございます」

 自称美容師と名乗るクリストフ・ブレロは、嘘をついている素振りは一切見せなかった。

「一体何を見ていたんだ!」

 フェルデンの強い口振りにも、怯むことなく紳士は丁寧な口調で話し始めた。

「盲目の魔笛使いが、その魔力でもってしてあの奇妙な生き物を一掃させました。その後、生き残ったサンタシとゴーディアの騎士がこの白亜城へと一斉に乗り込んできたのございます・・・。騎士達は必死で何かを探していました。けれど、百数個ある城の部屋からこの場所を特定するのは困難を極めました。わたしも、彼らが探しているものを共に探しましたが、そう簡単には見つかりませんでした。クロウ陛下はすでに深手を負っておられ、誰もが焦っていました。そんなとき我友人であるこのクイックルが、ある方法を思いついたのです。窓の外から部屋を覗いて回ればよいと・・・。恐れながら、わたくしは魔族の血を引いていて、多少の風の魔力を扱えますので、わたしと彼女は城の外から部屋を特定する方法に及びました。二頭の竜や羽のある友人の手伝いもあり、それはそう時間も掛かることなく済みました。しかし、我々が見たところ、どの部屋にも探しているものが無かったのです。それは、あることを指し示していました。探しているものは、“窓の無い部屋にある”ということを」

 クリストフの話す内容は辻褄の合うものであった。

 けれど、ここには肝心のその魔王の側近アザエルがいない。

「では、アザエルはどこへ行った・・・?」

「はて。気がついたときには姿が見えなくなっておりましたので・・・」

 鳩と会話ができるなど、おかしな男であった。そして、この男は、まだまだフェルデンの知り得ない謎を多く持っている筈だった。

 クリストフは、肩の上の鳩の頭を優しく撫でると、小さく頭を下げ、

「ではこれで失礼します」

と言って、ふわりと宙へ浮かび上がった。

 ここは城の最上階。窓が存在せず、屋根との狭間に存在する云わば物置きとでも言える場所。フェルンデンですらこんな場所が存在したことを今の今まで知らなかった。

 吹き込む風は優しく、紳士の身体を持ち上げた。

 見上げると、外部と繋がる小さな天窓。その窓が開け放され、そこから風が吹き込んでいたのだ。

「待って、クリストフ!」

 意外にも、声を出したのは少年王クロウであった。

「アカネからの伝言です」

 クリストフは驚いたようにクロウを見つめた。

「貴方は素晴らしい友人だったと。そして、自分を責めることは決してしないで欲しいと」

 ほんの少し悲しそうに微笑むと、クリストフは頷いた。

「わかりました。クロウ陛下、ありがとうございます」

 ぶわりと巻き起こった風で、クリストフは勢い良く天窓の外へ吸い込まれるようにして飛び去って行った。

 クリストフはきっと、朱音について何かを知っていた筈だ。フェルデンは光の差し込む天窓をじっと見上げてそう思った。


「ルシファー、貴方の息子は立派な王になるだろうね」

 クリストフは心地よい風に身体を任せ、静かに呟いた。既にこの世を去った、亡き友人に向けて・・・。




「ねえ、アザエル。例の書状、(したた)めておいてくれた?」

 クロウはスキュラの頭を優しく撫でる。

「はい、陛下」

 アザエルは蠟で封をした書状を上等な藍色の布から大切に取り出すと、クロウに見せた。

「ありがと。じゃあ、すぐに遣いを出してくれる? 急ぎなんだ」

 スキュラが可愛がってもらっている様子を物陰からじっと見つめていたもう一頭の赤い竜が、淋しげに『グルグル』と声を上げた。

「はい。では、わたしが参りしょうか」

「ううん。アザエルには僕の傍にいてもらう」

 おいでと赤い竜に手招きすると、のっしのっしと尾を振りながらクロウに駆け寄ってくる。

「ヒュドラ、君は今朝また花壇の花を焦がしたね。メフィスがカンカンだったよ」

 困った顔で赤い竜の頭を撫でると、クロウはアザエルを振り返った。ヒュドラという名前は、魔城に戻ってからクロウが赤い竜に付けたものだ。

「ファウストに行かせて?」

 感情の薄いアザエルは、無言のまましばらく静止する。

「陛下、奴は危険です。ましてや、急ぎの用ならば別の者に行かせた方がよろしいかと」

「もう危険は無いよ。だいたい、彼とは既に血の契約を結んである、僕を裏切ることはできない。それに、もう以前のような魔力は無いんだから」

 クロウの言葉に、アザエルは僅かに溜息のようなものを溢した。

「例え魔力がなくとも、奴にはあの凶暴な性格と多少の剣の腕があります」

「その時は、アザエルがこてんぱんにしてくれればいいだけでしょ」

 きっぱりと言い切ったクロウに、アザエルは仕方無く頷いた。


 あの日、全てを終えた後、クロウはあの小さな町へ引き返し、意識を手放している青年を魔城へと連れ帰った。アザエルとしては、危険分子はあの場で殺しておきたかったのだが、それをクロウは許さなかった。

 意識を取り戻したファウストは、以前のような炎を操る力を失い、すっかりただの血気盛んな青年に成り下がっていた。クロウの説明によると、血の契約を結んだ際に朱音が炎の魔力と対称的な水の魔力を彼に与えた為だということである。つまりは、彼の中で炎と水の魔力が互いを打ち消しあい、そして力を失ってしまったということになる。

 そんな彼を、クロウは事もあろうか魔城で働かせると言い出したのだ。

 アザエルは、いつか隙を見て、ファウストの息の根を止めてやろうと決めていた。


 アザエルは不機嫌に中庭の通路をつかつかと歩いていた。

 擦れ違う者は、とばっちりを受けるのでは無いかとびくびくとしながら深く頭を下げてそそくさと隣を通り抜けてゆく。明らかにアザエルからは怒りの色が滲み出ていた。

「おい、クズめが。そこにいるのだろう」

 冷ややかで殺気の篭ったアザエルの声に、中庭の奥で呻く声が返ってくる。

 いつものごとく、あの紅髪の青年は、中庭の木陰で昼寝をして仕事をさぼっていたようだ。

「・・・ふぁあああああ・・・。眠ぃ・・・」

 むっくりと起き上がったファウストは涙を浮かべながらぐっと伸びをした。

「死にたいか」

 冷たい剣の先を首に宛がわれ、ファウストは冷ややかな碧髪碧眼の男を見上げた。

「おっかねぇの」

 にやりと笑みを浮かべ、フェウストは続けた。

「で、あんたから俺を探しに来るってことは、何か用があったんじゃねぇの?」

 アザエルは、藍の布を寝ぼけ顔の青年に投げつけた。

「うおっと・・・! なんだこれ」

 布を開こうとした瞬間、アザエルがファウストの胸倉を乱暴に掴み上げた。

「サンタシ国王陛下宛ての書状だ。封を切った時点で命は無いと思え」

 突き放すように掴んだ手を離すと、ファウストはどさりと尻餅をつく。

「・・・てて・・・。で、このサンタシの王様宛ての書状をどうするって?」

 アザエルの殺気を気にしない様子で、ファウストはとりあえず藍の布ごと懐へしまった。

「なるべく早く届けよとのクロウ陛下のお達しだ」

「へ~ぇ、クロウ王が俺にねぇ・・・」

 ファウストは些か驚いたように、愉快そうに笑った。

「妙な動きを少しでもしてみろ、貴様の息の根を止める」

 アザエルのファウスト嫌いは相当のものである。

「分かってるよ。これっぽっちのチンケな紙を、あのフェルデンとかいう新国王に届けりゃいいんだろ?」

 ファウストはぴょんと飛び上がるようにして立ち上がると、ひょいと中庭の壁に飛び乗った。

「見てな。一週間でやってやるぜ」

 ふんとアザエルは何事もなかったかのように中庭の通路をすたすたと立ち去ってゆく。

 この日、ファウストはサンタシに向けて遣いとして出立したのである。


 クロウは漆黒の服に身を包み、王室の椅子に腰掛けた。嘗てはここで父ルシファーがゴーディアの国政を維持し続けていたのだ。

 父の亡骸はフレゴリーの手により元通りに修復され、また、元の棺に眠っている。しかし、義理の母ベリアルは、あの日以来行方がわからないままになっていた。

 ザルティスの神兵は一掃され、残った者もゴーディアの重罪人用の牢に幽閉されている。

 アザエルは軍事指令官の地位を退き、主宰地位に就任。その代わりにライシェル・ギーが指令官の地位に、そして、メフィス・ギュンツブルクは副司令官から指令官補佐へと昇格。更に、黒の騎士団唯一の女騎士タリアが副司令官に収まった。

 近く、貴族中心の国政であったゴーディアを、クロウは身分に関係なく能力のある者が自由に参画できる政治体制に切り替えてゆくつもりでいる。そう、ヴィクトル王が成そうとしていた事のように。そしてその皮切りに、まずは誰もが入学できる能力別の学校をいくつか創設させているところである。

 ゴーディアの国政に多大な力を持ち続けてきた元老院は、今回の事で解体が決まり、国王への裏切りが発覚した者達には容赦なく死刑宣告がなされた。この辺りで、一気に内部の膿を出してしまうことを決意したクロウは、あともういくつかの事をやり遂げなければならなかった。

 ゴーディアの艦隊は既にサンタシに向けて出航している。砲弾の代わりに、大量の木材や工具を載せて・・・。

 後は彼らが到着するよりも先に、ファウストがフェルデンの元に書状を届けてくれれば滞りなく王都復興の援助が行える手筈である。

 それから、数日後にクロウは重大な催しを予定していた。父ルシファーの葬儀である。ブラントミュラー公爵の一件で、クロウは父の遺体を火葬しようと決心したのだった。ゴーディアの民には、既にこのことを公表しており、当日には国外からも多くの民衆がゴーディアに詰め掛けるだろう。反対するかと思っていたアザエルも、このことには快く賛同してくれていた。

 そして、もう一つ、クロウにはまだアザエルにも言っていない大きな決心があった・・・。



「フェルデン陛下!」

 ノックなしにバンと大きな音を立てて扉から飛び込んできた小柄の騎士に、フェルデンは特に気に留める様子もなく顔を上げた。眼の下には黒ずんだクマが浮かび上がっている。

本来なら無礼だと刑罰を与えられてもおかしくはないユリウスの行動に、新しく雇われた近衛兵達も困ったように顔を見合わせて苦笑いしている。けれど、遙かに自分達より高い地位にいる彼を咎めることは当然ながらできる筈もなく、兵士は皆不思議で仕方無かった。

 まるで子どものような性格のユリウス・ゲイラー青年は、この小柄にしてこの性格にして、なんと指令官の地位に昇格し、実質サンタシ国の軍のトップとなったのだから・・・。

「ああ、ユリか。なんだ、そんなに慌てて」

 すっかり結える程に伸びたさらさらの金の髪は、小さく後ろで纏められている。けれど、フェルデンはなぜか以前と変わらぬ軍服を身に纏っていた。本人曰く、この方が落ち着くとのことだったが、どうも違和感は拭い去れない。

「ゴーディアから遣いの者が来ています!」

 フェルデンが窓の下を覗けば、入り口の前で近衛兵に剣を向けて静止させられている者の姿が小さく伺えた。

「何用だ」

 深く薄汚れたローブを被っているせいで、ここからでは顔までは見ることはできない。

「本人は、クロウ陛下の命令で書状を届けにきたと」

 ふうと一息つくと、フェルデンはかたりと椅子から立ち上がった。

「通せ」


 しかし、近衛兵の案内で王室に姿を現したゴーディアの遣いを見た途端、フェルデンの美しい顔が険しくなった。

「お前、生きていたのか・・・」

 フードを脱いで現れたのは、燃えるような深紅の髪。褐色の肌。あの日と変わらぬ野生の動物並みの鋭い緋色の眼。

「ああ。この通り今じゃクロウの下僕と化して、奴に力も奪われちまったけどな」

 何でもないような口調で、ファウストは笑みさえ浮かべて言った。

「今度ばかりはまじで用事で来た。もうアンタの国をぶっ壊したりはしねぇから安心しろ」

 王都を破壊した張本人であるこの青年に、フェルデンが怒りを感じない筈はない。

 けれど、なぜその張本人である彼を遣いとしてわざわざサンタシに送り込んできたのか、何か少年王クロウの意図があることを感じ取った。

「まさか、あいつが・・・?!」

 ユリウスの質問に答えるように、フェルデンはこくりと深く頷いた。愛する母国を破壊されたユリウスは目を吊り上げ、ファウストを睨みつけている。

「クロウ王から文を預かってきた。これを渡したら、悪いけど俺は帰るぜ。そっちの騎士が今にも噛み付いてきそうだしな」

 懐から取り出した藍色の布を、近くの兵に取りに行かせる。

 確かに、布の下から現れた書状には、黒い蠟で封が施され、その上にゴーディアの象徴である黒翼が焼き付けられている。

 フェルデンは、丁寧にその文を開く。


“サンタシ国新国王、フェルデン・フォン・ヴォルティーユ陛下。

 王都の復興の助けになるかはわからないが、我国から数十隻の船を向かわせた。その全てに必要となる資源を積載させている。腕に覚えのある職人も向かわせたが、それ以上に必要な物資等があれば、遠慮なく遣いの者に文を持たせてくれ。

 それから、我国も現在腐った内部の宛建て直しを図っている。もう少しして落ち着いた頃を見計らい、貴国を訪問する意向だ。その際には、サンタシとゴーディアが正式に同盟を結ぶことを望む。それまでにその心積もりを。”


 読み終えた後、フェルデンはふっと透けるようなブラウンの瞳をファウストに向けた。

「お前には悪いが、もう一仕事して貰う」

「なんだと!?」

 ファウストの抗議を無視し、フェルデンは含みのある笑いを溢した。

「残念だったな、お前の主であるクロウ陛下がお前を文係として扱使えということでな」

 さすがはクロウ。確かに、こんなもので罪滅ぼしになる訳ではないが、この青年は何より心の拠り所にしていた魔力を永久に奪われ、そして不老の肉体を得たことで永遠に近い時を、これからずっと刻んでいかねばならないのである。彼にとっては、まさに生き地獄に相違ない。これは彼に対する最も有効な罰なのかもしれない。いつか、彼が自らの手で奪った多くの命について罪の意識をもち、償いたいと気付く日がきたとき、彼に与えらえた“不老”の肉体が刑罰としての効果を発揮するのだろう。

「あんの、くそガキ国王っ!!」

 ファウストは地団太を踏んで怒りを露わにしている。

 フェルデンは感じていた。

 兄ヴィクトルが待ち望んでいた、平和への一歩が確実に踏み出されつつあることを。

「ユリ、クロウ陛下の手配でもうすぐゴーディアから十数隻の船が到着する。王都復興の為の資源と人員を送ってくれたようだ。下の者達に、彼らを迎える準備を整えるよう指示を」

 ユリウスは「はっ」と礼の形をとった。

(クロウが訪国することで、実質レイシア全土に我国とゴーディアの終戦を知らしめ、公に二大国が手を結ぶことが認められることになる・・・)

 亡き兄に向けて、フェルデンは小さく呟いた。

「兄上。兄上の望んだ真の平和が、もうあと少しで実現しそうですよ」

 それを祝福しているかのように、肖像画の中のヴィクトル王が少し微笑んだように見えた。






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