15話 紳士の告白
ようやく終結まであと少し、というところまでやってきました。
いつもご愛読ありがとうございます。あともう少し、お付き合いいただければと思います。よろしくお願いします。
この惨劇の繰り広げられている王都の外れには不似合いな程に美しい黒塗りの馬車が一台止められていた。
僅かに開けられた紅色のカーテンの隙間から、一人の婦人が顔を覗かせ、燃える王都をじっと見つめている。
「何も、こんな危険な場所へとお越しにならずともよろしかったのに・・・」
呆れ声で、オリーブ色がかった口髭を立派にあつらえた紳士は、困ったように婦人に笑い掛ける。
「お黙りなさいな、ブラントミュラー。あの方の敵をとるこの日を、わたくしがどれだけ長い間待ち続けたか・・・!」
深く淵の大きな帽子を被り、日除けのベールが降りているせいで、婦人の表情はまるでわかならい。
ただ、その婦人に向かい合うように腰掛けた紳は、二百年前に起こった“マルサスの危機”の際に魔王ルシファーを裏切った男、ブラントミュラー公爵に違いなかった。
「ブラントミュラー、わたくしは、ゴーディアを追放されてしまって以来、一時も、ルシファー陛下のことを想わない日はありませんでした・・・。わたくしから陛下を奪った、あの、憎き女とその息子クロウを、今こそこの手で葬り去ってみせますわ・・・」
ブラントミュラーは愛しげに、白い手袋をはめた婦人の華奢な手にそっと自らの手を重ねた。
「ええ、愛しい方。貴女が望むならば、わたしは何もかもを悪魔に売り渡すつもりです。貴女が誰かを殺したいと願うならば、わたしは喜んで貴女に手を貸しましょう」
ふっと口元を緩ませると、婦人は呟いた。
「頼りにしているわよ、ブラントミュラー。わたくしには、もう、何も残ってはおりませんもの・・・。これがわたくしの最後の賭けですわ」
ブラントミュラーは、すっと馬車の扉を開き、優雅に降りると、ふと背後の丘を振り返った。
紅色の蛇が絡みつく派手な紋様の旗を掲げ、ずらりと並んだ数千の兵士達。騎馬隊、歩兵、どこから湧いて出たのかと訊ねたくなる程の巨大な軍が二人の乗る馬車の背後に潜んでいたのだ。
「よく聞け、我ザルティスの神兵達よ! 創造主の命の元に、今こそ魔の国王クロウを、この世から葬り去るのだ!!!」
ブラントミュラーは拳を高く振り翳し、大声で叫んだ。
『おおおおおおおおおおお!!!!!!!!』
地鳴りのような神兵達の声が、そこら一帯に響き渡った。
クリストフの竜巻は、巨大な竜巻と同じ向きに風の向きを揃えたことで、今、同化しようとしていた。
中では、巨大竜巻とクリストフの風が入り乱れ、竜巻は一気に巨大なものへと変貌を遂げようとしていた。
巻き起こる風は尋常ではない。既に、王都の端は飲み込まれてしまっている。
風の目の中にいた二人は、同化する瞬間に、巨大な竜巻の目の中にいた者と、同じ空間へと入り込むことに成功した。
「やっぱりあなたでしたか、ヘロルドさん・・・!」
朱音は目を細め、王都を破壊し尽くそうとする、この嫌な男を睨みつけた。
「ク、クロウ陛下・・・!」
慌てふためいた様子で、ヘロルドは胸元に何かをごそごそと隠すような仕草をした。
「ヘロルドさん、このままでは王都が本当に消えて無くなってしまいます。今すぐこの竜巻を消して下さい!!」
クリストフは朱音の隣で、かなりの体力を消耗し、額に大粒の汗を浮かべて荒い息をついている。
「お前・・・! どうやって地下牢を抜け出した・・・!?」
ヘロルドはひどく慌てた様子で、クリストフを睨み見た。
「さっき、何か隠されましたね、ヘロルド閣下。一体何を隠されたのです?」
クリストフは、首を傾げじっとヘロルドの落ち窪んだ目を見据えた。
「な、何のことだか。それよりも、なぜお前がこうしてここに居るのかという質問に先に答えて貰おう」
ヘロルドは忌々しげに大きな口を歪めた。
「どうしてここに居るのか・・・ですか」
可笑しそうに笑い、クリストフはぽりぽりと揉み上げを数回左手の小指で掻く仕草をした。
「クリストフさん、魔城の地下牢って・・・?」
朱音はヘロルドのただならぬ言葉に、思わずクリストフを振り返っていた。
その質問に対して、クリストフは目だけで「まあ、いろいろとね」とでも返すように合図する。
「何せ、貴方が言うにはわたしは“詐欺師”ですから、まあ死んだ振りでもして遺体として牢を抜け出すなんてことは可能でしょうがね。その後はこの通り、ゴーディア兵の扮装をして進軍兵として紛れ込んだだけのこと」
肩をすくめ、クリストフは言った。
「くそっ、ボリスめ・・・! あの使えない馬鹿めが・・・!」
悔しそうに拳を握り締め、ヘロルドはその手をぶるぶると震わせている。
「ボリス・・・!?」
はっとして朱音は自らの口を両手で押さえた。
“ボリス”という男は、朱音がクリストフが反対するのも聞かずに仲間に加えたトカゲのような男であった。ヘロルドの一言で、大体の成り行きを知ってしまった朱音は、青くなってクリストフの落ち着いた横顔を見つめた。朱音の考えが正しければ、やはりボリスは信用ならない男だったということだ。
そして、そんな男を仲間に加えてしまった朱音は、この心優しき紳士をとんでもない危機へと陥れてしまったことになる。そう、その全ては朱音が招いたことだったのだ。
「アカネさん、貴女のせいではないんですよ。責任感の強い貴女のことです、きっと自分を責めているんでしょうけれど・・・、奴に捕まったのも、全てはわたし自身の失態です。ボリスを信用しすぎていたのは、このわたしなんですから」
まるで、朱音の心を読んだかのようなクリストフの言葉に、朱音は言葉を失った。
この人の帰りを、朱音はどれだけ待っていたか。これだけ長い間自分の元に戻らなかったクリストフを、朱音は一度だって敵かもしれないと疑ったことなどない。彼は、数少ない朱音のよき理解者であり、友であった。
「ふんっ、だがもう今更何もかも遅いわ! この竜巻はもう誰にも止めることなどできはしない! 既にわたしの手から離れてしまったのだからな」
ヘロルドは言った。
「どの道お前達はここで死ぬ。安心するがいい、クロウ。お前が死ねば、わたしが代わりにゴーディアの王座に腰掛けてやる」
そう言うと、ヘロルドは先程隠していたものを服の中から取り出すと、天高く掲げで叫んだ。
「魔城を離れたことを後悔しながら死ぬがいい!!! ひゃっははは!!!!」
途端、凄まじい逆風が風の目の中に瞬間的に巻き起こり、朱音とクリストフは危うく渦巻く風の中に押しやられそうになった。
次に顔を上げたとき、ヘロルドの姿は、忽然と消えていた。
「どうやら、自分だけこの中から脱出したようですね・・・」
クリストフは、彼を逃がしてしまった失態に少し苛立っていた。
「どの道、この乱暴ものの竜巻は、この地の全てを飲み込みつくすまでは落ち着くことはしないでしょう。当初の狙い通り、わたしがこいつの手綱を握れるのか試してみる価値はあります」
朱音は頷いた。と同時に、クリストフの身体への負担がひどく心配になった。
(わたしにもきっと何かできる筈・・・、クロウ、わたしは一体何ができるの・・・?)
ぎゅっと目をつぶり、懸命にクロウに呼びかけるが、反応は見られない。
クリストフは、既に磨り減った精神力に再び負荷をかけ、残りの全魔力を竜巻の方向転換に注ぎ込んだ。尋常ではない程の汗が噴き出している。
「くうっ・・・!」
苦しそうな呻き声をあげながら、クリストフは視力、聴力、嗅覚、その全てを外界から断絶し、ヘロルドの起こした乱暴な風と共鳴することに精神を集中させた。
(さあ、何が気に食わないんです。命を食い荒らしたところで、君たちの欲求不満は解消されることはないんですよ。わたしと空の下を自由に行き来する、優しい風に戻りましょう・・・)
まるで、感情のある子どもに言い聞かせるように、クリストフは心の中で荒れ狂う竜巻に呼び掛けた。
それに反発するように、『ビュウウウウウウ』と、音を鳴らしながら、竜巻は王都を逸れ進路を拒否するかのように、ぐいぐいと王都へとその太い足を食い込ませてゆく。
「相当な聞かん坊のようです・・・!」
クリストフの体力はとっくに限界を通り過ぎていた。
しかし、ここで彼は退く訳にはいかない。
(君たちがそこまで言うことを聞かないのなら、わたしにも考えがありますよ!)
クリストフは突然朗らかな笑みを浮かべ、朱音の肩を優しく叩いた。
「クリストフさん・・・?」
本能的に、朱音は彼を止めなければいけない、と感じた。ほぼ反射的に、朱音はクリストフの前よりも細くなった手首を強く掴んでいた。
「大丈夫、わたしがそう簡単にくたばる様な男に見えますか? わたしを信じてください」
朱音は胸騒ぎのおさまらない心を抑え切れず、泣きそうな表情でそれでもクリストフの腕を掴んだまま離さない。
「アカネさん、まだ、貴女の自分探しの旅は終わってはいません。そして、わたしは貴女のその旅に最後までお付き合いすると約束しましたね。わたしは自由な男なんです。わたしを動かすことができるのは、わたしだけなのですから」
ゆっくりと、掴んでいた朱音の手を解くと、クリストフは穏やかな目を朱音向けた。
「だめっ!」
朱音が解かれた手をもう一度クリストフの腕に絡ませようとした瞬間、クリストフは自らを黒い風の渦の中に飛び込んだ。そして、朱音の手は大きく宙を切る。
ただ、『ごおごお』という渦巻く風の音が木霊し、その中心に朱音は一人取り残される。
この豪風に飲まれたら、いくら彼であろうとも一溜まりもない。
「やあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
朱音は悲鳴にならない声を上げた。
「陛下、落ち着いて・・・。陛下は万物と共鳴することのできる魔力をお持ちなのです。こんなちっぽけな風くらい、陛下にとってはなんの障害でも無い筈です」
涙で霞む視界に、優しいルイの姿がそっと姿を現す。
「ルイ・・・、わたしには何の力も無いんだよ。もう、クリストフさんは死んでしまったかもしれない・・・!」
すると、ルイは優しく答えた。
「いいえ、陛下。僕は決して陛下の幻想なんかじゃありません。見えなくとも僕はいつだって、陛下の傍にお仕えしています。そして、僕は強く感じるんです。陛下の偉大な力を・・・」
朱音は驚き胸にしまってあったペンダントを取り出した。
「痛っ!」
慌てて取り出したせいか、誤ってペンダントからナイフの刃に変形させてしまった拍子に、朱音は自らの手の平を切ってしまった。
顔を上げると、さっきまで確かにいたルイの姿が無くなっている。
暖かい血が手の平を伝い落ち、その雫はぱらぱらと黒く渦巻く風の中に吸い込まれていく。
「万物と共鳴する・・・力・・・?」
“風と・・・一体になる・・・!”
風の鼓動を聴く。
風の鼓動は、ひどく淋しく、哀しい音。
この風達は泣いている・・・。
そして、怒っている・・・。
(大丈夫、きっと自由になれるよ。クリストフさんが一緒なら、あなたたちもきっと・・・)
ほんの少し風が温かくなった気がした。
「王都を壊すのは、もうやめて・・・」
朱音がそう呟いた途端、ゆっくりと竜巻が転回し、そのまま王都の外へと向けて歩み出す。
「もう、休んでいいよ」
巨大化していた竜巻の勢力が僅かに弱まった。ゆっくりゆっくりと王都の外へと這い出す竜巻は、次第に力を弱めていく。
「アカネさん」
頭上から降ってきた声に驚き、見上げると、クリストフが竜巻の目の中に空から舞い戻ってきた。
「クリストフさん・・・!!」
彼の無事な姿に、朱音は叫び出していた。
「やはり貴女でしたか。この聞かん坊に言うことを聞かせてくれたのは」
にこりと微笑んだクリストフに朱音は小さく首を捻る。
既に塞がりかけている朱音の手の平の傷に気付き、クリストフが「なるほど、考えましたね」と意外な顔をした。
「貴女の血の力は生き物だけでなく、万物に有効なようですね」
この風使いの言う意味を、朱音はよく理解できなかったが、取敢えずは朱音も少しは役に立ったようだ。
みるみる縮小していく竜巻の中で、朱音は訊ねた。一体、クリストフがこの巨大な竜巻に何をしたのか、ということを。
「何、単純なことです。竜巻は温かい風が冷たい風の下に潜り込んでできるものですから、一か八かの賭けでもありましたが、とりあえずは竜巻の足元を十分冷たい風で冷やしてやったのです」
なるほど、いくら強情な竜巻でも、足元を冷やされてはその身体を維持し続けることはできなかったらしい。
あっという間に消え失せていく竜巻の様に、朱音はほっと胸を撫で降ろした。何より、クリストフがこうして無事で戻ってくれたことが、何より嬉しいことであった。
ゆっくりと穏やかな風に変わりながら、二人取り巻く風は消滅した。
二人はそっと静かに地面の上に降り立った。
ヘロルドにによって利用された風達は、クリストフの優しい風に助けられ、解放されたようだ。
ヘロルドが破壊した王都の一部は、塵とゴミだけが残され、そこに存在した全てが消えてなくなってしまっていた。
全ての力を消耗してしまったクリストフはよろけるようにして、地面に腰を下ろした。
「すみません・・・、情けないですが、わたしは当分動けそうにありません。少し休んでから、またきっと追いつきますので、貴女は先に行ってくださいね」
疲労しきったクリストフは、もはや話すことも気だるい様子で、荒く息をしている。これ以上彼に無理を強いる訳にはいかない。
まだ、闘いは終わった訳ではない。今、サンタシとゴーディアの騎士達も、きっと全力で王都の人々の避難をすすめてくれている筈だ。そして、今やこの地の王となったフェルデンは、ヴィクトル王が命を賭けて守ろうとしたこの国を守る為、きっと奔走していることだろう。
朱音は突然ひどい目眩を感じ、その場に屈み込んだ。
「どうしたんですか、アカネさん・・・?」
自分もひどく辛い筈なのに、クリストフが心配そうに朱音の表情を覗き込んでくる。
「・・・大丈夫です・・・、ただちょっと眠くて・・・」
こんな時だというのに、急激な眠気が朱音を襲い始めていた。そして、その異変にクリストフ自身も気付いていた。今にも彼女が消えて無くなりそうな、そんな気配を彼は感じ取ったのだ。
クリストフは朱音の肩をそっと抱くと、その耳元で優しく囁いた。
「アカネさん、もしわたしが貴女の全てを知っていると言ったら、どうしますか?」
朱音は眠い目をこすりながら、クリストフの彫りの深い顔を見つめた。
「それ・・・、どういうことですか・・・?」
クリストフはもう、朱音に限界が近付いていることを感じ取っていた。
「アカネさん、貴女はもう十分よく頑張りました。いいえ、期待以上のことを成し得たんですよ。今、この国は崩壊寸前です・・・。ですが、貴女がこの国や人々を守ろうと動いたことで、魔族と人間の間には、共に闘うことを通して新たな絆が生まれ始めています・・・」
彼の言うことは正しかった。魔族と人間の長き争いは今、終結しようとしていた。
「それに、“自分探しの旅”の答えは、きっともう貴女の中で出ているのではありませんか? そろそろここいらで旅を終息させませんか、アカネさん」
確かに、朱音は気付かない間に魔族と人間の長き闘いを終結に導いてきたのかもしれない。
けれど、この地ではまだ闘いは続いている。そして、この闘いは朱音自身が招いたものに他ならないことも事実。この闘いの犠牲になった人達が数多くいることもまた同じであった。ルイやヴィクトル王も例外ではない・・・。
これ以上誰も死なせる訳にはいかない。そして、誰よりもあの金の髪の騎士を思うと今ここで闘いをやめる訳にはいかなかった。
「駄目です。今わたしがここで投げ出したら、ルイやヴィクトル陛下、多くの人達の犠牲が本当に無駄になってしまう・・・。それに、アザエルはわたしを信じてファウストを追ってくれてるんです・・・」
朱音が消滅してしまうその時は、もうすぐそこまで迫っていることは、このひどい眠気がよく表していた。
「わたしは悪い男です・・・。どうか許してください。貴女に謝らなければならないことがあります・・・」
クリストフが何かを朱音に打ち明けようとしたとき、
「クロウ!!」
突然の呼び声に、二人は振り返った。
「・・・フェル・・・デン・・・?」
真白い馬に跨った金の髪の騎士が、馬の手綱を引き寄せ、じっと馬上から朱音を見つめていた。
「やっと追いついた! ファウストを止めるのにお前の力が必要だ! 乗れ!!」
フェルデンは手を差し出した。
朱音はこくりと頷き、立ち上がる。
「アカネさん、今なら貴女を助けられるかもしれない。友人のわたしが止めても無駄でしょうか・・・?」
珍しくも、クリストフが懇願するかのように朱音の手を掴むが、朱音はその手をゆっくりと離した。
「ごめんなさい、クリストフさん。今行かないと、わたしはきっと後悔します・・・。だから・・・」
哀しそうに微笑むと、クリストフは解けた手をぐっと握り締めた。
まだ彼の息はひどく荒い。
朱音はフェルデンの差し出す手を力強く掴んだ。逞しく優しい彼の手は、ひどく温かかった。
「行くぞ! アザエルが王都の外れで奴を足止めしている・・・!」
フェルデンは白馬の腿を強く蹴った。馬は風のように駆け出す。
走り去っていく白馬の姿を見つめながら、クリストフは悲しい笑みを浮かべて呟いた。
「わたしは悪い男だ・・・。わたしはあの儀式の日、参列者に交じって、全てを見ていたんです。覚醒したクロウの中身が貴女だとを知って、わたしは貴女を利用した・・・。君なら、この世界の魔族と人間の争いを止めることができるかもしれないと、わざと城の外へ連れ出したのですから・・・」
そして、焦げ茶の瞳から一滴の泪を溢した。
「もう少し早く貴女に打ち明けるべきでした、アカネさん。そうすれば、きっと貴女は元の身体に戻ることができたかもしれないのに・・・」
きっと、ファウストとの闘いを終える頃には朱音はもうクロウの中には存在しないかもしれない。クリストフはなぜかそんな気がした。
白い羽をひらひらと舞い降りさせながら、一話の白鳩がぼろぼろになった紳士の細い肩の上に舞い降りてきた。
「わたしは彼女の友人失格のようです」
白鳩は、静かにクリストフの頬に翼をすり寄せた。まるで、“悲しまないで”と、彼を励ますかのように・・・。