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第3章 動き始める恋心


貝塚と私は連絡先を交換して以来、私達の関係は少しづつ親密になりつつあった。


喫茶【ロマンド】での昼食もお互い時間が合えば一緒にする程の仲である。


そんな変化のあった日常を過ごし出して2週間が経った今日、私はお店でのお客様からの苦情対応をしていた。


笹倉さんが商品の値段を間違えてしまい、お客様から現金を多めに貰い過ぎていたとの事。

少し癖の強いお客様だった為に私や従業員らを解放させてくれる気配がなかった。

流石に他のお客様が何事かとこっちを伺い始める。


店長の責任としてここは対処しなければ……。

ここで揉め事など起こす訳にもいかない……。


切羽詰まっている私の前に意外な人物が助け船を出した。



「…あれ?立川様じゃないですか?」


ーーえっ?

どうして……?

私はこの状況に目を張った。



「あら?貝塚君じゃない!奇遇ね、こんなとこで!」


うん?知り合い?状況がいまいち読み取れないが…。


「…立川様、何かあったんですか?」

「あっ、商品の値段間違えてたのを注意しに来ただけよ。…とにかく、これからは気を付けてちょうだいね!」

「はい、申し訳ございませんでした!」


私は従業員共々お詫びの謝罪を込め深く頭を下げた。


はぁー、緊張で手汗が凄い…。


「…取り敢えず、皆さん、業務に戻って下さい」

「はい!」


と、笹倉さんは強張った表情を崩さず私の前で再度、頭を下げた。


「店長、すいませんでした!」

「…もう、良いから。失敗は誰だってあるし。これからは気を引き締めて頑張ってくれれば、それで良いから」

「はい!」


笹倉さんが業務に戻ったのを確認した後、私は改めて貝塚にお礼を告げる。


「貝塚!ありがとう、助かったわ。所であのお客様と知り合いなの?」

「…あぁ。僕の美容師としての腕を認めてご贔屓してくれてるお客様だよ。まぁ、取り敢えずこれは貸しにしてくから覚えといて」

「えっ?貸しって?まさか……?」

「…お前、何を想像してるの?」


貝塚は鼻で笑っている。


「…何って、別に対した事じゃないし」

「…ふーん。それより、次の休みは予定ある?」

「予定?」


唐突に私の予定を聞き出して何かあるのかしら?


と……次の瞬間、貝塚はそっと私の顔を覗き込んできた。



「…わっ!いきなり何!?」


余りに至近距離で顔を近付けられたせいか、私はきゅっと胸が締め付けられた。


「…何って、黙りだったから」

「…だからって、顔近付けないでも」

「…あっ、悪い」


貝塚は私の傍から離れて少し距離を取った。


「…貝塚、悪いんだけどそろそろ仕事しないと」

「…そうだな。じゃ、また連絡する」


少し寂しげな笑みを浮かべながら貝塚は店から出て行った。


はぁー、さてと仕事、仕事。


私は気持ちを切り替えて、今日1日店長としてのやるべき仕事をこなした。


気付くと辺りはすっかりと暗くなり、閉店時間を迎えていた。


「もう、こんな時間!早く帰らなきゃ!」


私は自分の荷物を手に持ち、店内の照明を消すと店を出た…。



今日も1日終わった。


私は現在、マンションで1人暮らし。

新築だった為、家賃は少し高めだが店長になってから金銭面の方では助けられている。

実家にもたまに帰省している。

誰にも気兼ねする必要ないから毎日が自由自適だ。


私は我が家に着くと一目散にベッドへとダイブ。

そのまま手足を伸ばし筋肉を解していた。


はぁー生き返った…。



私は一息付くと真っ先に頭に浮かんだは貝塚の顔だった。

彼からは何も連絡はないが、こっちからしてみようかな…?


私は携帯を取り出し、文字を打ち込んでいく。


【今日はありがとう。休日の予定聞いてたけど何かあるの?】


送信と…。


直ぐ様、貝塚から返信が来た。


早っ!で、内容は…?


【休日に何処かへ出掛けないか?2人で】


えっ?2人で?これってデートの誘い?!

って……私ったら、舞い上がり過ぎ?!

と、言うより私達付き合ってないし。

貸しって言ってたからもしかして何か魂胆でもあるんじゃ…?


ーー駄目だ駄目、人を疑るのは止めよう。

ここは素直に誘いを受けよう。


【良いよ】


と…送信完了。


あぁー、もうさっきから胸の鼓動が煩い…。

返事待つだけなのに妙に緊張するな…。


その時、貝塚からの返信が来た。


【ありがとう。詳細はまた連絡するよ】


久し振りの男性とのデート?に私の心は今から弾んでいた。

だけど、貝塚はどういう心境で私を誘ったんだろう?

貝塚って彼女とか居るのかな?

今更だけど…私って、彼の事、何も知らないんだ…。



私の中で確実に何かが芽生え始めていた…。


























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