表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

第16章 三角関係

この章も引き続き貝塚俊哉目線になります。


僕は偶然、望月と田中が一緒に仲良さげに話し込んでる姿を目の当たりにしてしまう…。


彼女が他の異性と仲良くしてたら気にならない男はいないだろう、普通。

けれど僕は彼女の気持ちを疑いはしなかった。

やり直すと決めた以上、簡単にこの関係を壊したくない。


今日の所は自分のマンションでゆっくり休んで明日に備える事にした。


僕は一通り仮眠を取り、深い眠りにつく…。


眠りから覚めた頃にはすっかりと夕方だった。

僕は急いで夕食の準備をと台所で食材を洗い始めた時だった。



ーピンポーン



インターホン?こんな時間に誰だ?


僕が扉を開けると、そこには少し複雑そうな表情を浮かべながら立っている望月の姿があった。


「…望月、どうかした?何かあった?」

「…ううん、ただ会いに来ただけ。駄目だった?」

「いや全然、大丈夫だよ」


むしろ僕は嬉しいよ、会いに来てくれて。

今にも溢れ出しそうな笑顔を必死に抑えながら、僕は望月を台所へと案内した。


「丁度、今から晩御飯の準備なんだ。望月も食べていく?」

「…あっ、うん」

「…本当に大丈夫?理由は教えてくれない?」


望月は否定する様に首を振っていた。


「そんな事はないよ。あのね…私最近、田中君と会ってたの」

「うん、そっか」


やっぱりそうだったか…。

あっ、駄目だ。沈黙状態になりかけてる。

そうだ、話題を変えよう。


「望月、それより晩御飯炒飯で良い?」

「…うん、良いけど。……それより貝塚は気にならないの?田中君との事」

「…気にならないって言ったら嘘になるかな。でも仕方ないよ、1年も会ってない様な状態だし。お互い何かあってもおかしくないだろ?」

「…じゃ、貝塚も気になる人出来たの?」

「気になるの?」


望月は静かにうんと頷く。


「僕は出来てないよ、って言うより作る気ないから」

「………ごめん」

「何でごめん?」

「少し田中君の事……良いなって思っちゃったの」

「ふーん、そうなんだ」


ちょっとした浮気心に自分が許せないのか、望月は顔を俯けたままだった。


「ほら顔を上げて。もう良いから。お互い様だろ?僕だって傷付けたんだから」

「うん、ごめんね、貝塚」


僕はぎゅっと望月を抱き締める…。


「……貝塚、ありがとう」

「こちらこそ、戻って来てくれてありがとう」


その後、僕達は少し遅い夕御飯を頂いた。

僕が作った極々普通の炒飯を美味しそうに口へ運ぶ望月。

こんなに美味しく食べてくれるなら作った甲斐があった。


「んー!美味しかった。ご馳走さま!」

「お口にあったみたいで良かった。所で、望月……今日は泊まっていく?」


僕の誘いに望月は少し照れ笑いしながらも、頷いた…。


彼女の過去を拭える様に今は精一杯愛しよう、彼女の笑顔を守る為に…。




翌朝、望月より先に目覚めた僕は彼女を起こさぬようにゆっくりとベッドから抜け出す。


彼女の為にと朝食のサンドイッチを作り始めた。

それに自炊は得意な方だ。

まぁ、味は平凡かもしれないが元彼女の香は僕の料理の味を絶賛していた。



「…よし、出来た」


僕は出来上がったサンドイッチをお皿に盛り付ける。


「…そろそろ望月、起きるかな?」


不意に時計を見上げると、お互い仕事の時間が迫っている。


「…もうこんな時間か?やばい?!」


次の瞬間、僕の背中からふんわりと包み込む様に望月が抱き付いてきた。


「おはよう、貝塚!」

「あっ、おはよう、望月」


僕は望月の方へと振り返り、思い切り抱き締めた。

おはようの挨拶だけは欠かさないでしよう。


「このまま望月と抱き合ってたいけど、今日はお互い仕事だから早く朝食を済まそう。サンドイッチは出来てるよ」


食卓に並ぶサンドイッチと珈琲に望月は目を輝かせていた。


「わぁ、美味しそう!」

「さぁ、食べよう」


少し賑やかな朝食を終えて、僕達はお互い仕事へと向かうのだった。



僕は美容室【つむぎ】の前で大きく深呼吸する。


店内の中は相変わらず騒がしく、掃除や準備などに追われていた。

いつもの事だが。


「皆さん、おはようございます。今回は色々と自分勝手でご迷惑をかけてすいませんでした。また今日から宜しくお願いします」


僕はお詫びの挨拶と敬礼を終えると、今日の自分のご指名者予約名簿に目を通す。

少し休んでた分、挽回しないと!


僕は美容師の腕を存分に発揮した。



久し振りにはさみを握った瞬間、自分の中でやっぱり美容師の仕事が好きだと改めて実感していた。



そしてお昼の休憩時、僕は少しだけ望月のお店を外から覗き込んでいた。

あっ、望月だ!

彼女の姿を見つけると同時に田中の姿までも視界に入る。


田中のやつ、まさか……?



やっぱり田中は望月の事を好きなんだろうと確信した瞬間だった…。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ