【コント】遺言
艦隊に敵の総攻撃が迫る! その時、司令と参謀は……
オリジナルコントの脚本
短時間で読めるので、お気軽にどうぞ
『ゲラゲラコンテスト3』投稿作品
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ツッコミ(参謀):男or女、ボケ(艦隊司令):男
()内は、小声。
ツッコミ:閣下! 敵の総攻撃が迫っております! 急ぎ、退艦してください!
ボケ :もはやここまでか……俺はこの艦と運命を共にする……参謀である君は、生きて再起を図るんだ。早く逃げたまえ。
ツッコミ:(困るんだよなぁ……そういうの)
ボケ :何か言ったかね?
ツッコミ:いえ! なにも! (とはいえ、急いで逃げないと、このままじゃ死んじゃう。でも、閣下を置いて帰ったら、死ぬまで言われるんだろうなぁ……)
ボケ :じきにこの艦は沈む……
ツッコミ:(チッ! ……わかってるよ、そんな事! なんとか逃げても罵られない方法は……そうだ!)
ボケ :どうした! 早く行かんか!
ツッコミ:では、閣下! ご家族にご遺言があれば承ります! 必ず生きて、ご家族へお伝えします!
ボケ :遺言……? そうか……すまない。では妻の綾子に、今まで世話になった、愛している、と伝えてくれ。
ツッコミ:わかりました。
ボケ :それに、長男の一郎。家の事は全て、お前に任す、と。
ツッコミ:お伝えします。
ボケ :それから長女の和子。嫁ぎ先に迷惑をかけるな、と。
ツッコミ:えぇ……
ボケ :それに、次男の次郎。一郎に何かあったらお前の出番だぞ、と。
ツッコミ:はぁ……
ボケ :それから、次女の洋子。お前の結婚式に出たかった。
ツッコミ:そうですね……
ボケ :次に三男の……
ツッコミ:ちょっと! 閣下! 子だくさんだったんですね! 何人兄弟ですか⁉
ボケ :三男の三郎が末っ子だが、どうかしたか?
ツッコミ:いえ! なんでも! 三郎坊ちゃんには何とお伝えしましょうか!
ボケ :読書好きの三郎には、俺の蔵書を全て呉れてやる、と。
ツッコミ:必ず、お伝えします! では……
ボケ :待て! 大事なことを忘れていた……家の管理をしている源太に、蔵の鍵を叔父の亮介へ渡すよう、伝えてくれ。
ツッコミ:必ずや!
ボケ :それに、源太の妻の妙子へ、お前の漬けた梅酒を最期に飲みたかった、と。
ツッコミ:わかりました!
ボケ :それから……
ツッコミ:閣下! 閣下! まだ結構、掛かりますか⁉
ボケ :なんだと! 貴様……遺言を急かすというのか⁉
ツッコミ:いえ、そのようなことは……紙……そう、間違えるといけませんので、紙にメモしてもいいですか⁉
ボケ :おぉ、そうだったか。そうだな。紙は、どこに置いたかな。えぇーと、確か、この辺りに……
ツッコミ:閣下! 閣下! ここにありますので大丈夫です!
ボケ :馬鹿者! そんなチリ紙のようなものに遺言が書けるか! ちゃんとした紙があるのだ! どこに仕舞ったかな……
ツッコミ:頼むよー!
ボケ :何か言ったか⁉
ツッコミ:何も!
ボケ :あった、あった。これを使ってくれ。
ツッコミ:はっ! ありがとうございます!
ボケ :では、最初から……
ツッコミ:いやいや! 続きから! 断固、続きから! 妙子さんの次から、お願いします!
ボケ :そうか? では叔父の亮介に、金庫の暗証番号を……なんだったかな?
ツッコミ:閣下……?
ボケ :右に、二十一、いや二十三だったかな?
ツッコミ:どっちですか!
ボケ :右に……二十三……だな!
ツッコミ:右に二十三!
ボケ :その次は、左に……四十九、いや四十六?
ツッコミ:どっち!
ボケ :四十六、だな。吉四六で覚えられるぞ。
ツッコミ:語呂合わせはノーセンキュー!
ボケ :最後に、右に……六十一? いや、六十二? 六十三?
ツッコミ:右に六十くらいですね!
ボケ :いや、六十三! 六十三!
ツッコミ:ファイナルアンサー⁉
ボケ :ファイナルアンサー!
ツッコミ:正解!!! では、これで……
ボケ :最後に……
ツッコミ:まだあるんですか⁉
ボケ :参謀……お前には苦労を掛けたな。今まで、よく尽くしてくれた……
ツッコミ:閣下……
ボケ :この時計をやろう。これを俺だと思って……
ツッコミ:……閣下……やはり、私もお供いたします……地獄の底まで……
ボケ :そうか……って、ああっ⁉
ツッコミ:閣下! どうされました⁉
ボケ :いっけね! 今日、ジャンプの発売日じゃん! 急げ!
ツッコミ:――⁉ お供します! 本屋まで!
おしまい
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