第8話 仲間の仇をとる者
「お前の言うことは確かにわかるが、だからと言って盗むのは違うだろうが!!!!お前の暴挙によって3人もの子供が被害に会っているんだぞ!!」
「しょうがないことだ!!正義をまっとうさせるためには多少の犠牲はつきもの!!いつの時代もそうやって正してきただろうが??それは、この地球も同じであろう!!」
「お前!!それを本気で言っているのか??」
「本気でなければ、嘘気で言っているとでも・・・・??」
「お前は正義を遂行しているんじゃない!!自分のエゴを遂行しているだけだ!!俺は、人を傷つけておきながら、悪びれることもなく、当然のことだと開き直るお前の考えには賛同できない!!」
「リーッパ!!リーッパ!!賛同できなければどうすると言うのだ!!」
「貴様がこれ以上悪事を働かないように、今ここで俺が成敗してやる!!」
「笑わせるな!!たかが人間如きに何ができると言うのだ!!」
「できるさ!!」
ドンッ!!
そう言ってダンはスリッパ星人に攻撃を仕掛けた。
ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!
ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!
ダンは右と左のパンチを巧みに操りながらラッシュを放つ。しかし・・・・。
ヒョイッ!!ヒョイッ!!ヒョイッ!!ヒョイッ!!ヒョイッ!!
ヒョイッ!!ヒョイッ!!ヒョイッ!!ヒョイッ!!ヒョイッ!!
スリッパ星人にいともたやすくかわされてしまったのであった。
「リーッパ!!リーッパ!!あれほど大きな口を叩いておきながらこの程度の攻撃しかできないとは・・・・。つくづく人間というのは、脆弱で不憫な生き物だな・・・・!!」
「うるさい!!貴様にはわかるまい!!人間の尊さや素晴らしさが!!」
「当たり前だ!!私はスリッパ星人なのだからな・・・・!!しかし、貴様らが非力であることは分かっているぞ!!」
スリッパ星人はそういうとダンに攻撃を仕掛けてきた。
「攻撃とはこういうものだ!!」
ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!
ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!
今度はスリッパ星人のラッシュがダンを襲う。
「早い!!」
思わずダンは言葉に出してしまった。
ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!
ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!
避けようとしたダンであったが、体がついていかずに全ての攻撃を喰らってしまった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「どうだ??どうだ??私の攻撃は??痛いだろう・・・・??苦しいだろう・・・・??貴様がどれほど無力であるかがわかったか!!」
「ヘヘヘへ・・・・。全然わからないねぇ・・・・。今何かしたか・・・・??」
カッチーーーーーーンンンン!!
スリッパ星人はダンの挑発で頭に血が上った。
「バカな人間であるお前に一言教えておいてやろう!!今までの私は10%の力も出していなかったのだ!!リーッパ!!リーッパ!!」
スリッパ星人は自信満々の表情で勝ち誇ったかのように言った。
「はははは!!だから全然効かなかったのか??納得したぜ!!」
カッチーーーーーーーーンンンン!!!!
ダンの言葉にスリッパ星人はまたしても怒りを感じた。
「どうやら本気で私を怒らせたみたいだな!!そこまで言うのなら喰らってみよ!!」
グリーーーーンスパコーーーーンンンン!!
スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!
スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!
スリッパ星人は両手に大きな大きな緑色の、明らかにビニールでできたスリッパをはめ込み、まるで空を切るかのような動きで攻撃を仕掛けてきた。
パーーン!!パーーン!!パーーン!!パーーン!!パーーン!!
パーーン!!パーーン!!パーーン!!パーーン!!パーーン!!
空を切るほどの素早い攻撃をダンが避けられるはずもなく、次から次へと攻撃を受ける。しかも驚くほど爽快で心地の良い音を上げながら。
「がはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ダンは血反吐を吐いた。しかし、何とか持ちこたえ、その場に立ち続けていた。
「リーッパ!!リーッパ!!哀れなり人間よ!!ちょっと私が本気を出したらすぐコレだ・・・・!!」
「はぁ、はぁ、何を言っている!!見ろ!!俺はまだこんなにピンピンしているぞ・・・・!!」
「そうか!!確かにそうだな!!では、もっと攻撃をしなくてはいけないな!!」
スリッパ星人はダンの挑発に慣れはじめていた。そして、今回は怒るのではなく、さらに攻撃を続けたのである。
スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!
スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!スパコーーン!!
パーーン!!パーーン!!パーーン!!パーーン!!パーーン!!
パーーン!!パーーン!!パーーン!!パーーン!!パーーン!!
素早い手の振りとヒット音が、人通りのない道の両サイドを挟む民家のブロック塀に反響して、綺麗な音色を奏でた。それは綺麗であればあるほど、ダンの受けたダメージが大きいものであることを示していた。
「がっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ボタボタボタボタ!!!!
ダンは先程以上の血反吐を吐いた。それでも倒れることはなかった。
「貴様!!なぜ倒れない・・・・!!」
押しているはずのスリッパ星人であったが、ダンのタフネスに少し恐怖を感じはじめていた。
「はぁ、はぁ、なぜって・・・・、全然効いていないからに決まっているだろが・・・・!!それにな・・・・俺が倒れる時は決まっているんだよ!!」
「一体どんな時だ・・・・!!」
スリッパ星人はダンの気力に気圧されかけていた。
「俺が倒れる時・・・・、それは・・・・」
そう言いながらダンは前向きに倒れていった。
ガシッ!!
かのように思われたが・・・・。そんな倒れゆくダンを優しく支えた者がいた。
「それは・・・・、ヒーローが現れた時だよ!!」
ダンを支えたのはヤルキマンに変身した博士であった。
「ダンよ!!遅くなってすまんかったな!!」
「いいえ・・・・博士・・・・!!何とか頑張って・・・・、ここで足止めしておきました!!あとは頼み・・・・ますよ!!」
「あぁ任せておけ!!お前はゆっくりしていろ!!」
博士はそう言ってダンを抱え、道路脇のフェンスの方へ連れていき寄りかからせた。
「誰だ貴様は・・・・??」
スリッパ星人がヤルキマンに尋ねる。
「ワシは仲間の仇を取るものだ!!」
博士の怒りはリミットを超えていた。