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ヤルキマン  作者: 豊十香
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第4話 研究所?ラボ?

「いやぁ〜〜、今日は濃い1日だったなぁ・・・・」


 夕日が照らす細い道を博士とダンは歩いていた。目的地は博士の研究所である。


「はぁ〜〜、ワシはこれから一体どうなってしまうんじゃろう・・・・」


「なんか博士さっきからため息ばかりついていますけど、ヤルキマンに変身していた時はめちゃくちゃノリノリだったじゃないですか!!」


「あぁぁぁぁぁぁ!!やめてくれぇぇぇぇ!!思い出させんでくれぇぇぇぇ!!」


 博士は残り少ない髪の毛を気にする様子もなく、頭をくしゃくしゃとかきむしりながら叫んだ。


「大丈夫ですって!!言っても、今日みたいに異星人に会うことなんてそんなにないと思いますよ!!だってほとんどの異星人は国の部隊が討伐しているんですから・・・・」


「う〜〜ん、そうなんじゃがなぁ・・・・」


 博士はダンの言葉に正しさを感じながらもどこか納得できずにいた。


カァー!!カァー!!カァー!!

カァー!!カァー!!カァー!!


「ほら博士!!カラスも励ましてくれてますよ!!」


「今、ハゲって言った??」


「違います!!励ましてって言いました!!」


「ハゲ増してってますだと!!」


「言ってねぇぇぇぇ!!」


 などと、かみ合っているのか、かみ合っていないのかわからないやりとりをしていると・・・・。


「着いたぞい!!」


 博士がダンに報告した。


「ここが博士の研究所!!かつ自宅ですか・・・・!!」


 博士の研究所は一般的な一軒家であった。屋根は赤く、壁は白く。しかし、ただ一つだけ一般の家と違う部分があった。それは・・・・。


「Y・A・R・U・K・I??」


 そう。それはダンが思わず一言ずつ口に出してしまうほどのインパクトがあった。なんと建物の2階にあたる部分を半分以上隠すように、壁にデカデカと"YARUKI"という文字の形をした看板が取り付けられていたのである。


「なんという自己主張の強さ!!・・・・やっぱり、この人のやる気には勝てねぇわ!!」


 ダンは心の中で博士に敗北宣言をした。


ギイィィィィィィィ!!


 博士は研究所の玄関のドアを開けた。


「おわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 研究所の中に入ったダンは辺りを見回して驚きとワクワクを感じた。


「これ全部発明ですか??」


 なんと玄関入ってすぐのところに靴箱があり、その上から部屋の中に向かうまで、いたるところに発明品が飾られていたのである。


「そうじゃよ!!ワシの自慢の発明品たちじゃ!!」


 博士は胸を張って自慢げに言った。


「これはなんですか??」


 ダンは直感で目に止まった一つの発明品を手にとって言った。


「それか??それはな・・・・」


ゴクリ!!


 もったいぶる博士にダンは緊張を覚え固唾を飲んだ。


「靴で踏んだガムのメーカーを当てられる機械じゃ!!」


「・・・・・・」


 ダンは黙った。


「そうじゃろ!!そうじゃろ!!凄すぎて言葉が出らんじゃろ!!ガムなんて踏んでしまえば全て一緒じゃからな!!そのガムの種類を明白にするのがこのマシンなのじゃ!!」


 博士は後ろにふんぞり返りそうなほど胸を張りながら、自信満々に言った。


 まぁいっか・・・・。博士が嬉しそうにしているし。


 ダンはそれ以上この発明について触れないようにした。そして早くこの空気を変えようと別の発明品を手に取り博士に質問した。


「博士!!だったらこっちの発明品はなんなんですか??」


「それは携帯が、あとどのくらい使えるのかがわかる機械じゃ!!」


「・・・・・・」


「そうじゃろ!!そうじゃろ!!凄すぎて言葉が出らんじゃろ・・・・!!」


 と、続けて喋ろうとする博士に食い気味で。


「いや、そんなの調べなくてもわかるから!!」


「いやいや!!普通はわからんじゃろ!!」


「わかりますよ!!ほら見てください!!この画面の右上のところ!!俺のだと、あと38%って出てるじゃないですか!!」


 そう言ってダンは、自分のスマフォの画面を博士に見せた。


「いやいやいやいや!!そんなの当たり前じゃろうが!!」


「だって博士が携帯があとどのくらい使えるかがわかるっていうから・・・・」


「ワシが言ったのは携帯灰皿のことじゃ!!」


「!!!!!!」


 ダンは驚きを隠せなかった。


「だってわからんじゃろ!!携帯灰皿があとどのくらい使えるのか??どのくらい灰を詰め込められるのか??」


「見ればわかるわい!!」


 若干イライラしはじめたダンは、勢いに任せて近くにあった、蛇の形をした置物を手に取り言った。


「じゃあ、このビックリするくらい軽いのは??」


「貯金箱じゃ!!」


「こんな細い胴体の貯金箱にお金なんて入るかぁぁぁぁぁぁ!!」


 ダンは貯金箱を割ってしまいそうな勢いで博士にツッコんだ。


「もういいや!!早く研究室に連れて行ってください!!」


「やれやれ!!血の気の多い男じゃ!!ついてこい!!」


 そう言って博士はダンを研究室に連れて行った。


「すっげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 ダンの目の前には"ザ・研究室"というような設備が広がっていた。


「でも・・・・、玄関に比べると発明品も少なくて落ち着いてるなぁ」


「そうじゃな!!発明に没頭できるように、なるべく周りには何も置かんようにしておる!!」


「なるほど・・・・」


 こればかりはダンも両手をポンと叩いてうなずいた。


「もちろん会議ができるようなスペースは奥に確保しておる!!今日は一旦そこで会議じゃ!!これからのワシらについて話し合うぞい!!」


 そう言って、博士がダンを研究室の奥にある会議スペースへ連れて行く途中である。


ピンポーーーーーーン!!


「何じゃ??客人か??」


 博士はそう言ってダンを案内する前に、玄関へ向かった。


「何じゃ??子供ではないか??」


 博士は玄関のドアに付いたのぞき穴から外を見た。するとそこには小学生くらいの男の子が立っていたのである。


ガチャリ!!


 博士は玄関を開けた。すると子供と目があった。


「頼みます!!僕の上履きを一緒に探してください!!」


「・・・・・・・・へっ????」


 博士は突拍子もない依頼内容に驚きすぎた結果、聞き返す声が裏返ってしまった。

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