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ヤルキマン  作者: 豊十香
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第1話 2人の落ちこぼれ

 西暦XXXX年 日本

 世は宇宙戦争時代!!

 この国も例外ではなかった。

 火星、水星、木星、土星、金星、梅星・・・・etc

 様々な星からの侵略が続く中で、

 日本でも戦いに生き抜くための戦士の育成や、

 強力な武器が作られていった。


 戦士になるには過酷な試験を突破しなければならない。

 試験内容はプロ格闘家でさえ予選で落ちるほどのハイレベル。

 しかし、一度合格すれば一生を約束されたようなもので、

 例え体力に限界が来て一線から退いても、

 それまでに得た富で余生を豪遊しながら送れるほどである。

 そう!!国から戦士に選ばれるということは、

 実質、地位も名誉も手に入れたことになる。


 武器においては世界中で独自の発明を行ってきた数多の博士たちが頭角を現しはじめた。

 「自分の開発した武器を国に買い取ってもらえば大金が手に入る」

 甘い蜜を吸おうとみんな自分の自慢の発明を国にプレゼンしはじめたのである。

 採用されれば優秀な戦士を紹介されパートナーとして異星人討伐をサポートできる。

 そう!!国から博士に選ばれるということは、

 それは実質、地位も名誉も手に入れたことになる。

 

 この物語は、そんな時代の中で日の目を見ることがないと思われていた戦士と博士が出会い、奇跡的な化学反応によって日本を平和へと導いていく物語である。


 デデデデーーーーーーーーーンンンンンン!!!!


 「「「 ヤ ル キ マ ン 」」」




「どうもこんにちは〜〜〜〜!!レポーターの予定 真白(よてい ましろ)です!!久しぶりのお仕事緊張するぅぅぅぅ!!では早速、街行く若者にインタビューしてみたいと思います!!こんにちはぁ〜〜!!」


「あぁぁぁぁ??」


「見ましたかみなさん!!なんと(しつけ)(しつけ)のできたギャルでしょう!!では、このギャル2人に聞いてみたいと思います!!今学校帰り??」


「見てわかんべ??」


「かぁぁぁぁ!!学校帰りかどうか見てわかるやつなんているのでしょうかぁぁ??私にはわかりません!!しかし、これが生放送ならではのハプニングというものかもしれませんね!!いやぁ、新鮮だなぁ!!ところで君たちいきなりだけど"やる気"ってどう思う??」


「はぁ??何言ってんだよおっさん!!やる気なんて今時流行らねぇんだよ!!」


「そうそう!!うちの母ちゃんもやる気と2000円札は流行らねぇって言ってたべ!!」


「なるほどなるほど!!今日のスタジオの議論テーマが、"若者にやる気を求めるのはどうなのか?

"ということでしたが、日本を代表するっぽいギャルの意見によれば、やる気は流行らないということでした!!それでは一旦スタジオにお返ししまぁ〜す!!」


 などという番組を何十個も映している電気屋のショウウィンドウの前をとぼとぼと一人の老人が歩いていた。


「なんじゃなんじゃ!!みんなして"やる気"をバカにしおって!!やる気こそ現代人が無くしてしまった大切なものじゃろうが!!なのに・・・・どいつもこいつも、やれそんな考えは古いだの、やれそれでは異星人には勝てないだの好き勝手言いおってからに・・・・。ふぅぅぅぅ・・・・」


 この老人、名をヤルキ博士という。ヤルキがとにかくある。そのため作った発明品の数は計り知れない。ヤルキ博士もまた、他の博士同様に自分の作った発明品を国に買い取ってもらおうとプレゼンの日々を送っていた。


 しかし採用されない。技術がないから?いいや違う。才能がないから?いいや違う。プレゼン力がなかったのである。



とある日のプレゼンにて・・・・


「それでは早速、あなたの発明品のアピールポイントを教えてください!!」


「はい!!この発明品はギュオォォォォンンと力を増幅させ、ドガァァァァンンと力を解き放ち、ボッカァァァァンンと敵を倒せるので。みんなヤッターーーーとなるのです」


「・・・・・・・・今日はお引き取りください」


思い出したくない回想終了。


「ああああああ!!思い出しただけでもイライラするわい!!どいつもこいつもぉぉぉぉ・・・・!!今日でプレゼン失敗100回目じゃぁぁぁぁ!!・・・・はぁ〜〜。ワシって才能ないのかなぁぁ。せめてこれだけでもいいから使ってみてほしいのに・・・・」


バサッ!!


 そう言って博士が広げたのは戦隊モノが身につけていそうなスーツであった。


「プレゼンでは何度もダサいと言われたが、このスーツにはやる気によってパワーアップするというすっごい性質があるんじゃ!!こんなナウくてエッジの効いたスーツをこの世界で誰が発明できる!!ワシにしかできんじゃろ!!なのに・・・・、みんなわかってくれん!!"やる気なんてそもそも今の人たちは持っていないんだから意味ないでしょ"の一点ばりじゃ!!くそうくそう!!」


 そう言ってヤルキ博士は研究所へと帰っていく。


とぼとぼとぼとぼ。


 とぼとぼと歩く博士。前はあまりよく見ていない。


とぼとぼとぼとぼ。

とぼとぼとぼとぼ。


 そんな博士の横を同じスピードで歩く、これまた博士と同じようにうつむいたままの38歳・身長180cmの男がいた。


とぼとぼとぼとぼ。

とぼとぼとぼとぼ。


 2人はお互いに気づくこともなく放心状態のまま、とぼとぼと歩き続けた。そして2人は公園を見つけた。


チラッ!!

チラッ!!


 2人は同じタイミングで公園のブランコを見つけ。これまた同じタイミングでそのブランコに乗ろうと思った。


とぼとぼとぼとぼ。

とぼとぼとぼとぼ。


 2人は近づき、2つ並んだブランコに一人ずつ腰をかけた。


ギィィィィィィコ!!

ギィィィィィィコ!!


 2つのブランコは超ゆっくりと同じ動きを繰り返した。


ギィィィィィィコ!!

ギィィィィィィコ!!


 そして、何往復かしたのち・・・・。


ピタッ!!

ピタッ!!


 2人は同時に止まったのである。


はぁ〜〜〜〜!!

はぁ〜〜〜〜!!


 そして2人は同時にため息をついた。


『やるきって流行んないのかなぁ・・・・』


 その言葉が重なった瞬間に2人は初めて隣に人がいることに気がついたのである。


「おわぁぁぁぁぁぁ!!なんじゃ!!お主いつからおったのじゃ!!」


「いやいやいやいや!!爺さんこそ、いつから俺の横にいたんだよ!!」


「悪いがそっとしておいてくれんかの!!ワシは100回目のプレゼン失敗で傷心しておるんじゃ!!」


「爺さんこそ、俺のことをそっとしといてくれよ!!俺だって戦士採用試験100回目の失敗で傷心してるんだから!!」


『んんんんんん????』


 2人はそれぞれお互いの言葉に引っかかった。


「お主、戦士志望なのか??」


「爺さんこそ博士か何かなのか??」


「おほん!!見ればわかるじゃろう!!私が博士じゃなければ何だというんじゃ!!」


「はははは!!それはこっちもそうだろ!!俺が戦士じゃなければ何だっていうんだよ!!」


「いや・・・・、博士は博士っぽい見た目っていうのがあるじゃろ!!しかし、お主の言う戦士は誰もが思い浮かべるようなイメージなどないじゃろ!!だから言われないとわからんぞ!!」


 こういう時だけ博士はしっかりと説明ができるのであった。


「はははは!!確かに!!さすが博士!!頭が良い!!」


 こやつ大丈夫かの??


 博士は自分の心配よりも男の方が心配になってきた。


「俺、博士ってなんだか悪い人ってイメージがあったんだけど、爺さんは良い人そうだな!!俺の名前はダン!!主流(しゅりゅう) ダンって言うんだよろしくな!!」


 そう言ってダンは右手を差し出した。


「わしはヤルキ博士じゃ!!よろしくな!!」


 そう言って博士はダンと握手した。


「キャァァァァァァァァァァァァ!!!!」


 そんな2人の運命的な出会いを一瞬で終わらせたのは女性の悲鳴であった。

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