Vol.1 期末テスト
「なぁ、あいぽ。期末テストにむけて、一緒に勉強しようぜ」
夕日が差し込む放課後の教室。
木村くんは、私に話しかけてきた。
中学の時から大好きだった木村くん。
偶然にも、あいぽと同じ高校に進学した木村くん。
だから、これからもずっと一緒にいれると思っていた木村くん。
なのに……
昨日の放課後、隣のクラスの女の子に告白をされた木村くん。
……どこか遠くへ行っちゃいそうな木村……くん。
「じゃぁ、俺から問題をだすね」
「……うん」
オレンジ色に照らされた木村くんの横顔は、なんだか眩しくって、私の胸に切なさが込み上げてくる。
「今から出す問題は5択問題だ。A〜Eのうちどれかひとつを選んで答えてくれよ」
……やだ、木村くん。
そんな笑顔で笑いかけないでよ。
もっと……もっと好きになっちゃうじゃん。
これ以上私を苦しめないで。
「では、問題……。俺は、あいぽの事が中学ん時から大好きだ。俺が今、あいぽに告白したら、あいぽはなんと答えるでしょう……か?」
えっ!?
「なぁ、あいぽ、昔っからずっとお前が好きだった。彼女になってくれ」
そう言って私を見つめる木村くんの眼差しは、なんだか男らしくて、私の鼓動を一気に高鳴らせた。
「木村くん、A〜Eのうち選べばいいんでしょ」
「……あぁ」
「もちろん、Eよ! 私も、いっぱいいっぱい木村くんが大好きです」
「あいぽ!!」
「木村くん!!」
私は、大好きな木村くんの胸に思いっきり飛び込んだ。
☆おしまい☆