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ダンジョンサーガ  作者: 炎尾
森のダンジョン
9/22

08 ダンジョンエリア

 僕たちは森のダンジョンに潜る前にギルドに来ていた。

 その目的は転移石と道具袋を受け取るためだ。

 ギルドに踏み込むと僕たちを見て静けさが生まれた。

 その雰囲気を見て僕たちは声を潜めて会話をする


「おいおい? なんだこの空気?」


「知らないよ。別になんかした記憶はないんだけど?」


 だが冒険者を見てみるとその大半が僕の方を見ていることに気づく。


「おい。あいつだろ? レベル1で7の奴に勝ったってやつ?」


「ああ。だけどその後の模擬戦の方がすごかったぜ」


「マジかよ」


「初めて見たぞ。飛んでくる矢を銃で撃ち落とす奴」


「おいおいそれはさすがに嘘だろ?」


「マジだって! 俺間近でみてたんだぜ!」


 どうやら大半が僕の噂みたいだ。

 やりすぎたかな?

 やばい。この反応を見てロルフが何をやったのかと問い詰める目をしている。

 話を逸らしてさっさと受付嬢の元へ・・・・・・!

 逸らそうとしたところでロルフに肩組をされて捕まってしまった。


「なぁ? 昨日模擬戦をしたって言ってたよな? レベル7とフード被ったレベル1の奴と」


「ああ。したよ」


「それじゃあなんでここまで噂になってんだ?」


「さっさあ? よくわからないなぁ?」


 僕は大量の冷や汗を流し始める。

 これは焼きを入れられる流れ!


「まぁいい。とりあえず俺にギルドカードを貸せ。受付してくる」


「へ?」


 なんだ?

 いつもなら「無駄に目立つんじゃねぇ」とかいって腹パンの一発はしてくるのに。

 僕は少し違和感を抱きながらロルフを見る。

 その表情はは優し気な表情をしている顔をしている。


「怒らないのか?」


「なんでそんなことで怒らなきゃならん」


「そっそうか・・・・・・。とりあえずこれギルドカードな」


「よし。それじゃあ受付行ってくるわ。お前はそこのベンチで休んでるといい」


 そういってロルフは受付のところに行く。

 特にすることもない僕は先ほど言われたベンチで休もうとする。

 違和感をぬぐえないまま。


「まさか! このベンチはペンキ塗りたてとか!?」


 触ってみるとそんなことはなかった。 


「座ると壊れるベンチだとか!」


 座ってみるとそんなことはなかった。


「さすがに僕もロルフを疑いすぎたか」


 僕がベンチで休んでいると、何故だか知らないが冒険者が集まってきた。

 なんだ? 何か用か?


「なぁあんた? 名前はなんていうんだ?」


「僕? シグルドって言うんだけど」


 そして冒険者が名前を聞いた瞬間に僕にどっと詰め寄ってくる。


「俺のパーティーに入らないか! レベルは10ある。レベル上げに付き合うから是非俺のパーティーに

!」


「いやいや! そっちのむさい男のパーティーなんかやめとけって! 僕たちのパーティーなら君のレベルに近いから一緒に冒険するには丁度いいぞ!」


「どけ! そんな弱いパーティーでは君は腐ってしまう! 君みたいな強い人間は強い奴と組むのがいい。そうすることでより高みを目指せる! どうだ! うちのパーティーに!」


「ねぇーん? あなたみたいな強い人があたしは好みなの。どうかしらぁーん? うちのパーティーにこない?」


 ちょっ! なんだこれ! すごい勢いで詰め寄ってくるんでですけど!

 これ全部勧誘が目的か!

 そして最後のやつのパーティーには絶対に入らない!

 なぜならムッキムキのオカマだから! おカマだから! 

 ヤメロォ! べたべたと触ってんじゃねぇ!


「ちょっと離れてください!」


 そうだロルフだ!

 ロルフさえくればダンジョンまで逃げることができる!


「ロルフゥ! たっ助けてくれー!」


 そして僕は見た。

 必死に僕が助けを求めている先で受付嬢と仲良く話しながら、僕の方をニヤつきながら見ているその顔を。


「貴様ァ! 謀ったなぁ!」


 その後なんとかパーティー勧誘の場から抜け出しロルフの元にたどり着いたときには僕の精神力は完全に削れていた。

 俺はもう燃え尽きたよ・・・・・・


「よう。遅かったな。なんでそんなに疲れているのかな?」


「てめぇが僕を見捨てやがったからだよ・・・・・・!」


「見捨てた? 人聞きが悪いな。俺は善意で転移石と道具袋を受けとっておいたのに」


 チッ! 確かにロルフは何もしていない。

 今回は目立つ行為をした僕が悪かったから引き下がってやろう。

 別にこの後何をやっても言い負かされるから引くわけじゃないからな!


「ちなみにあんな長い間ロルフは受付嬢と何を話してたんだ?」


「お前のギルドカード見せたら吹き出して笑ってたからな。そこから話が弾んでお前の恥ずかしいピソードを話していた」


「気づかぬうちに僕の不名誉が拡散されてる!」


 /(^o^)\ナンテコッタイ

 やっぱりこの男鬼畜やでぇ・・・・・・!


「まぁそんな話は置いといて・・・・・・」


「待って! 僕の恥ずかしいエピソードって何を話したんだ!」


 そんな話で片づけるな!

 僕の名誉に関わる!


「森のダンジョンに行くか」


「オイコラ話を聞きやがれ!」


 その後エピソードの内容を聞こうとしたら何一つロルフは話してくれなかった。


-------------------------------------------------------


 いつもの日傘を片手に森のダンジョンの前まで歩いてくる途中ダンジョンの迫力は離れていても伝わってきた。

 ダンジョン全体を大きく囲うコンクリートの壁。

 離れていてもわかるダンジョンの一本の巨大樹。

 そして入り口にある大きな関所。

 それらすべてがここはダンジョンであると証明しているものである。


「なかなかに迫力のある場所だな」


「そうだね」


 そんなダンジョンへの感想を抱きながら関所へと入っていく。

 ここではギルドカードをスキャンしてダンジョンに入る記録を取るのが目的の施設だ。

 カードをスキャンをすることで現在ダンジョンに何回潜ったかなどの記録ができるようになっている。

 また上がったレベルをカードの情報として視覚化するためにもこのスキャンは必要だ。主にレベルや今まで習得したスキルを確認することができる。

 ちなみに転移石を使うとカードスキャンを行ったこの関所に自動的に着くようになっている。

 ホント高機能なカードなこと。


 関所に入るとそこではカードのスキャンを行うために冒険者が列をなしていた。

 森のダンジョンの朝は大抵このように混む。

 それは夜のダンジョンに居るのが危険なためだ。

 夜のダンジョンなんて街のように街灯があるわけじゃない。だから全くモンスターとか見えない。森の地形がわからない。

 結果危険なモンスターの地帯に入り込みモンスターになぶり殺しにされたりしてしまうのだ。

 夜目の効く種族だとか、相当な訓練を積まなきゃまともに戦うこともできないというのが夜のダンジョンの現状だ。

 以上のことから朝のダンジョンの関所は混むのだ。


 僕たちもそのダンジョンに入る冒険者の列に並ぶ。

 ダンジョンに入るカードのスキャナーに通して関所の人間がそれを確認して通行書を出す。

 そして奥にあるダンジョン前の最後の準備の部屋で通行書を渡してやっとダンジョンに入ることができるのだ。

 結構面倒だがこれだけやらなきゃ、冒険者の安否がわかるのなら安いもんだろう。

 まぁわかるのは生きてるかどうかだけだけどね。


 そうこう考えているうちにどうやら順番が来たようだ。


「ハイ。それじゃあカード出して」


 そういわれて自分のカードを門番さんに渡す。


「ッ!」


 必死に笑いをこらえているのがわかる。

 ああ。僕のギルドカードってそんなに人に笑われるように撮られたんだな。

 偶然なはずなのになぜだろう? 目から汗が止まらないや・・・・・・


「ドンマイ」


 後ろからロルフがサムズアップしてくる。

 半分はロルフのせいなのでとりあえず腹パンをかましておいた。


 門番さんにカードのスキャンをしてもらいカードのデータを更新する。

 そして門番さんが何やら四角い箱を渡してくる。


「これは?」


 なんの箱だ?

 なんだか煙草の箱みたいなケースだ。


「これはカードケースだよ。これにギルドカードを入れることでパーティーとして認識されるんだ。パーティーにしたい冒険者のギルドカードが計5枚まで入るようになっている。倒したモンスターの経験値をパーティーメンバー全員に渡すことができるんだ」


「へー。こんな物でそんなことができるんだな」


 便利なもんがあったもんだ。

 

 その様子をみて門番さが話しかけてくる。 


「どうやら二人はダンジョンに潜るのは初めてみたいだね。」


「そうなんです」


「なら私から一つだけアドバイスをしよう。無理はしないこと。命ある限りダンジョンにはまた挑戦できる。こうやって話した相手と二度と会話ができないのは寂しいものがあるからね。だから生きて活躍してくれると嬉しい」


 門番さんに言われた言葉をかみしめる。

 ギルドに関連して働く人間であれば誰しもが冒険者と接することがあるだろう。

 ただ死んでしまえば二度と会うことはできない。

 そんな体験を何度もしてきたのだろう。


「わかりました。気をつけます」


「うん。気をつけてね」


 善意でアドバイスをくれたこの門番に罪悪感を僕は覚えた。

 なぜなら僕たちはこのアドバイスを守るように冒険をしないから。

 命を賭したダンジョンの攻略をしていかないといずれパーティーに入ってくる師匠に追いつくことができないため。

 だから僕たちは安心、安全とは程遠い道を歩く。


「よし。シグルド。行くぞ」


「オーケー」


 そしてついに僕たちは森のダンジョンンへと足を踏み入れた。

 ダンジョンに足を踏み入れたところで僕は肝心なことを忘れていた。


「おお・・・・・・死ぬぅ・・・・・・!」


「馬鹿かお前! ダンジョン入って一歩目で死ぬ気か!」


 焦って日傘を差すロルフ。

 ダンジョンに入る感動で忘れていた・・・・・・!

 ダンジョンの入り口だけは木すらないため陽の光がサンサンと差し込んでいた。

 もちろん陽の光に弱い僕の体はというと・・・・・・


「ゴッフゥア!」


 吐血して干からび始めていたのだった。

 ああ・・・・・・痛い! 関所の門番さんが僕を見ている・・・・・・!

 とても大丈夫じゃなさそうな僕の姿を見てなんでダンジョンに潜ろうとしたんだろうってそんな表情をしているぅ!

 その後ロルフに全速力で引きずられ、森の中に入ることで日光から逃れることができた。


「すまないなぁ・・・・・・ロルフ・・・・・・」


「ホント手の掛かるやつだ。関所の列の人も全員こっちを見ていたぞ」


 今回の出来事はまた僕の恥ずかしいエピソードが増えた瞬間だった。

 ロルフの心にしっかりと刻まれたことだろう・・・・・・僕をからかうネタとしてな! 


 その後数分休憩したことで干からびた手が元に戻り何事もなかったようにキリっとキメ顔をして立ち上がる。


「心配かけたな」


「心配するどころかネタが増えたな」


 やめて! 僕のライフは既にゼロよ!


「さて。そろそろふざけるのはやめようか」


「そうだな。とりあえずダンジョン目指しながら必要なポーションの材料等を回収していこう」


「一応必要だと思われる個数は準備してるけど余ったなら店で売って金にできるからな。だから戦闘はお前に任すから。きつそうなら言ってくれ」


「了解」


 そうして僕たちは森のダンジョンのダンジョンエリアを探索し始めた。

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