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ダンジョンサーガ  作者: 炎尾
森のダンジョン
22/22

21 エピローグ

「ここは・・・・・・?」


「ギルドの病室だ」


 窓が開いていて、たなびくカーテンの音。

 ベットやシーツの真っ白い色。

 見舞い品としておかれたフルーツ。


 そして目の前にいるロルフ(男)。


 これをみて僕はフッと笑みを浮かべ目の前にいる男にこういった。


「やり直しを要求する!」


 涙を流し今にも目の前にいる男を一発殴りたい気分だった。


「なんだその言い草は?」


 なんで! なんでだよ!

 そこはリーン(女の子)が優しく手を握っているシーンでしょ! あっでもエルフの習慣でそれは無理か・・・・・・

 だとしてもそこは目の前で僕を見守っていてほしかった!

 

「貴様にわかるか! 僕の憧れるシチュエーション第4位にランクインするシチュエーションを邪魔される僕の気持ちが・・・・・・!」


「4位って微妙なポジションだな。そして泣くほどのことか・・・・・・」


 ああ。そうだよ。

 折角ボロボロになって入院するほどの状況になってそれを女の子に見届けてもらうなんてシチュエーション将来何回もあるわけないじゃないか!


「まぁそんな戯言ざれごとは置いといてだ」


「ロルフ。僕は今憧れるシチュエーションを戯言と言われた気がしたんだが・・・・・・」


 そんな僕の話を軽く無視してあの後どうなったのか顛末を聞いた。

 どうやらあの後アドルフさんに助けられ何とかここまで戻ってきたようだ。

 そして僕はあれから二日程寝込んでいたらしい。


「ふーん。気絶した僕は誰が運んだの?」


「喜べ。アドルフさんがお姫様抱っこで連れてきてくれたぞ! 薄い本が厚くなるな!」


 ロルフはサムズアップしてそう答えた。


 一瞬何を言われたのかがわからなくなり聞き返す。


「お姫様抱っこ?」


「そうだ」


「肩に担いででなく?」


「そうだ」


「・・・・・・僕、もうお婿に行けない・・・・・・」


 アドルフさん・・・・・・そこは気を使って肩に担いで欲しかった・・・・・・!

 まさかそっちの気があるわけじゃ・・・・・・ないよね?


「まぁそんなアドルフさんの行為によって今お前は生きているわけだ。感謝しとけよ?」


 確かに助けてもらって感謝一つできないなんて心が痛む気がする。


「それとアドルフさんが伝言を残していったぞ?」


 伝言?

 

「なんて?」

 

「おめでとう。近いうちにまた君たちと会うだろうけどその時にはもっと強くならなきゃいけないから頑張ってねってさ。そういって俺たちに連絡先を教えてくれた。」


「なんか意味深だな」


「俺もそう思った」


 なんかこれから先の未来を既に知ってるみたいな言い方だ。

 てか連絡先まで渡してくるあたり僕たちが連絡してくる未来までわかっているようだ。


「まぁ悩んでも仕方ないし、それはいいか。あともう一つ聞きたいんだけど」


「なんだ?」


「新聞の記事は?」


 そう。ルーナさんとの約束だ。命を張った結果がどうなったのかそれが知りたい。


「そう言うと思ってその日に出た新聞を取っておいたぞ」


「サンキュー」


 渡された新聞の記事を見る。


「ハハッ。見事に一面取れたんだな」


「そうだな」


 その見出しにはこう書いてあった。


「なになに? 森のダンジョン最短踏破回数記録、時間ともに更新! やったじゃん」


 これだけ取沙汰にされると頑張った甲斐があったというものだ。

 少なくとも命を失いかけてまでの勝利だったのだからこれだけの見返りもあっていいだろう。


 その後には約一か月もの間すべての新人冒険者が討伐できずに業を煮やしたギルドが依頼を出した矢先に新人冒険者に討伐されると盛大にギルドを煽る文句が書かれてあるけど僕たちの活動に影響は起きないよね?


「まぁ目論見も成功したけど、しばらくはあそこまでギリギリな戦闘は勘弁してもらいたいところだな」


「確かに」


 そういってひとしきり笑いあったところでロルフは病室を出ていった。


 そのあと少し時間を置いてノック音が聞こえてきた。


「どうぞ」


 そういうと扉を開けてリーンが入室してくる。


「目覚めたのだな」


「まぁね。なんか二日も寝込んでいたみたいで」


「心配したのだぞ?」


 そういって柔和な笑顔をリーンは僕に向けてくる。


「僕も予想外かな。こんなに眠る予定はなかったし」


 間違いなく最後の奴のせいだと思う。

 少なくともそれまでは意識ははっきりしてたし、まだ動けるレベルだったからね。


「予定はなかった? もしかして最後のシグルドの様子と関係あるのか?」


「たぶんあるね。僕自身どうやってあのボストロールに勝ったのかわからないんだよ。意識飛んでたし」


「意識が飛んでいた?」


「なんか声が聞こえてさ。それに従って動いてたら途中で意識がぷっつりと無くなって」


 それを聞いてリーンは驚いたような顔をした。


「意識が飛んでいてあんな動きができるのか! 全く大した奴だ」


 うーん。たぶん本能のままに動いていただけだと思うんだけどね。

 まぁ褒められて悪い気はしないけど。


 ただリーンはまだ聞きたいことがあったようで少し肩を落とす。


「そしたらロルフの言っていたとっておきは聞けないのか」


「とっておき?」


「ボストロールを仕留めた最後の攻撃のことだよ。今まで私が見たことない撃ち方をしていたんだ。 ロルフに聞いてもそれをはぐらかされてたからシグルドに直接聞こうと思ってたんだがな。意識が飛んでいたならしょうがない」


 あーなるほど。

 ロルフは僕の秘密でもあるから言うのをためらったんだろうな。

 別に教えてもよかったんだけど。


「たぶんリーンが言ってるのはいつもより大きい音がした撃ち方?」


 そういうとリーンはコクコクと頷く。


「あれはスポットバーストショットだよ」


「? でもそれよりも大きい音がしたぞ?」


「普段は三発で行うんだけど恐らく僕が最後に使ったのは全弾使うスポットバーストショットだ。ファニングをすべての指で行う変則的なスポットバーストショットなんだ」


 そう説明しながらテーブルに置いてあった自分の銃でやり方を見せる。


「それの何処に問題があるんだ?」


「問題点は二つ。リロード後しか使えないこと。六発しか弾丸込められないしね。もう一つは隙が大きいこと。これは撃った後の衝撃が結構大きいからだよ」


 そう説明するとリーンは納得した顔をしていた。


「なるほどな。銃を撃つのにも衝撃はある。ましてやそれを全弾放つのだからそれ相応の衝撃があるわけだ」


「師匠との模擬戦じゃそんなにリロードする隙も作れないし、ましてやその後に来る衝撃の隙もあるから高速戦闘じゃ使えないんだ。」


 リロードには少なくともまだ時間が掛かる。だから素早い敵が相手だと使うタイミングがない。

 ただ威力は抜群だ。同じところに六発も弾丸が通るのだから。


「よくそんな芸当ができるものだ」


「まぁ練習しましたから」

 

 僕は自分の銃の腕に自信を持っている。

 特に弾丸もMPで賄えるし基本的にお金が掛かるわけじゃないから練習もある程度はし放題だ。

 その結果何度もMP切れを起こしたものだ。


「そうそうもう一つ用事があったんだ」


 そういって持っていたカバンから何かをリーンは取り出した。


「あっ。そういえば預けたままになってたのか」


 リーンが取り出したのは僕のギルドカードだ。

 そしてそのカードを僕の手に預けてくる。

 その行動に僕は少し赤面して問いかけた。


「ッ! ・・・・・・触っても大丈夫なの?」


 やれやれとリーンは嘆息をついて答えた。


「命を賭けて共に戦った仲間にそれはないだろう。私もできることならこんなプライドは捨ててしまいたいところなんだがな」


 そういうリーンの表情はどこか晴れ晴れとした笑顔で見ていてとても美しかったとだけ言っておこう。


「ところで気になっていたんだがそのギルドカードの表示おかしくないか?」


 リーンに言われてギルドカードを見るとこんな表示になっていた。


------------------------------------------------

シグルド 職業:魔導ガンナー

レベル18

■ ■ ■ ■ ■ ■ □ □ □ □ □ □ □ □ □

HP 250/250

MP 0/740


特技

・強化弾 ・弱化弾 ・部分強化弾 ・部分弱化弾

スキル

職業スキル 『精密射撃☆1』

特殊スキル 『威圧耐性☆1』『音波耐性☆1』『回避☆1』『集中☆1』『極限効果☆1』『血の暴走』

------------------------------------------------


「確かにおかしい・・・・・・レベルが3も上がってるもんな」


 ボスモンスターを倒したからか?

 なるほど。それなら星が一個違うだけで強さに生まれるのも納得がいくな。


「いや注目するところが違うだろう」


「? じゃあこの極限効果ってスキルのこと?」


 どうやらHPが減れば減るほど攻撃力が上がるスキルのようだ。

 ある意味諸刃の剣って感じのスキルだな。


「そこでもない」


「・・・・・・?」


 何がおかしいのかさっぱりわからず首を掲げる。

 そう考えているとリーンはため息をつく。


「ロルフの言う通りみたいだな」


 小さい声で呟いたようだが僕にはばっちりと聞こえていた。


「何が?」


 少し答えづらそうにしていたので続きを促す。


「僕は怒らないから素直に言ってごらんよ」


「ロルフがその・・・・・・頭が・・・・・・相当アレだって・・・・・・」


「あのクソ野郎! 一回ぶち殺してやる!」


 ロルフの野郎! お前の頭も大概じゃねぇか!


「バカモノ! ここは病院だ! 静かにせんか!」


「アッハイ・・・・・・」


 病院の先生に怒られて一気に僕の怒りは鎮火させられた。


「話を戻すぞ。私がおかしいと思ったのはMPが回復していないことだ。あれだけ寝ていたのにこれはどういうことだ?」


 MPは基本的に何もしていなければ勝手に回復していく。

 だから僕は何もせずに二日も寝ていたわけだからMPは回復しきっているはずだ。

 しかしMPの表示は0だ。そこがリーンはおかしいと言っているのだろう。


「うーん。心当たりはないね」


 僕は嘘を言った。

 恐らくこれが代償なのだろう。

 今後MPの回復がどうなるのかは自分自身わからない。だから心配させないようにこういった。


「・・・・・・そうか。話したくなったら話せばいい」


 ありゃ。見透かされてるや。

 ロルフにもあっさり嘘を見破られるけどそんなに僕ポーカーフェイス下手なのかな?


「まぁ私の用事はこんなところだ。あとロルフにも言ったがこれからもパーティーで活動させてもらう。よろしく頼むよ」


 そういってリーンは病室を出ていった。


「結構重要なこと言っていったな・・・・・・」


 まぁそれはいいか。

 とりあえず聞かなきゃいけないことが山ほどある。


「んで? 僕の代償ってMPが回復しないことだったの?」


 あの時聞こえてきたのは銃からだ。だから僕の銃に聞けばなにかわかるかもしれないと思った。


『・・・・・・』


「やっぱりそうなのか?」


『・・・・・・』


「フッ無視は肯定とみなす」


『一人でしゃべってて恥ずかしくないか?』


 この野郎!

 僕が折角恥ずかしさを抑えていて話していたってのにこの言い草はマジ舐めてるだろう!


「しゃべれるなら返事しやがれ!」


『いや。しょうがない。我は見ていて面白かったからな』


「僕は全く楽しくないんだが・・・・・・」


 銃の癖になかなかユーモアがあるじゃないか・・・・・・!


「それで? 代償は?」


『その考えで間違っていない。ただ代償と言っても今の実力だと一週間ほどのMPが回復しない程度だがな』


 あれ? 思った以上に緩い感じ?


『ちなみに薬とか何を使っても一切回復しない。覚えておけ』


 あっこれ結構きついやつだ。

 状況を間違えて使うとただただ足手まといになる。


「はぁ。ということはあと五日は何もできない訳だ」


 本物の銃を使って勘を鈍らせないようにしないと・・・・・・


『そう悲観するな。これはまだ器が育ち切ってないうちに力を使ったために起こったのだ。これから強くなれば器も育ち代償なしで力を使いこなせるようになるだろう』


「マジで!」


『十年もあれば・・・・・・』


「えっ!? そんなにかかるの?」


『冗談だ』


「・・・・・・もうそういうのいいから」


『怒ったか? 怒ったのか? m9(^Д^)プギャー』


 何この銃。正直イラっとする。長年使ってる愛銃だけど今すぐぶち壊したい。


『まぁふざけるのはこれくらいにしておこう。お前は他にも聞きたいことがあるはずだろう?』


 急にトーン変えんなよ。対処しづらいだろ!

 でも聞きたいことがあったのは確かなので取り合えず聞いてみることにする。


「僕の記憶が正しければ記憶があるタイミングからこの銃を持っていた。つまり昔の僕のこと知ってるんだろ?」


 僕のダンジョンに潜る理由だ。僕の記憶に関することだから手がかりが欲しい。


『ああ。知っている』


「なら!」


『だが契約から何も話すことができない』


 契約? どういうことだ。


「契約って?」


『それも話せぬ』


「つまり何も話せないってこと?」


『その通りだ。ただダンジョンに潜り続ければいずれ真実にたどり着けるだろう』


 結局強くなってダンジョン潜り続けるしかない訳ね。


「ならいつも通りだね。ならもう一つ聞きたいことがあるんだけど?」


『答えられるかわからんがな』


「もう一丁の空気銃の方には意識があるのか?」


 こっちはMPによって実弾をこめる銃だ。

 もう片方の強化弾や弱化弾を使用する銃の方には何もいないのか?

 ただの素朴な疑問だ。


『・・・・・・』


 無言か・・・・・


「無言は肯定ととらえてもいいってこと?」


『それは何も言えない』


 うん。これはいるね。この銃も隠し事は僕に似て下手くそみたいだ。


「ならもういいよ聞きたいことはこれ以上ないから」


『そうか』


 とりあえず僕の記憶はダンジョンに潜り続けないとわからない訳だ。

 ならこれからもやることは変わらない。

 戦い続けよう。そしていつかきっと自分の記憶を取り戻してやる!

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