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ダンジョンサーガ  作者: 炎尾
森のダンジョン
16/22

15 レベル上げ

 6層目を歩き始めてから僕たちは積極的にモンスターと戦うようになった。

 狙いはレベルを上げることだ。

 そうしないとボストロールにダメージを与えられないとか、僕たちが簡単にやられてしまうみたいな状況になってしまうためだ。

 普通ダンジョン最奥にいる、いわゆるボスモンスターと呼ばれるモンスターと戦う際には5人全員のパーティーを組む。

 しかし僕たちはパーティーメンバーが3人しかいない。

 そのためレベルが低いということはそれこそ致命的な問題だ。


 そして6層目からは出現するモンスターががらりと変わる。

 先ほどまではチンパンと呼ばれる猿のモンスターがレベル9と一番高かった。

 だがここから出現するモンスターは最低でもレベルが10なのでレベルを上げるには最適なのだ。


 冒険者にとってはレベルの高いモンスターが一気に増えるため苦戦するのが普通なのだが、僕たちにとっては何の問題もなかった。


「前方にモンスターだ! ウネ3、人面草1、アントベアー2だ!」


「「了解!」」


 ウネは地面に生えている草で動きを妨害してくるモンスター。人面草はウネが養分を吸い取り顔面が出るようになったモンスター。アントベアーは狼を大きくしたサイズの熊のモンスターだ。

 そして僕たちはモンスターを倒すために一気に攻撃を開始する。

 リーンは弓で近づいてくるアントベアーに狙撃、僕もアントベアーにヘッドショット。ロルフは地面に生えている銃や弓で倒しづらいウネや人面草をナイフで倒しに行く。


「ロルフ!」


「ハイよ!」


 ロルフが返事をした瞬間にいつも通り強化弾をロルフに撃つ。強化弾を撃つことでいきなり動きが変わり目標への攻撃にズレを生まないためにこうしている。

 そしてロルフが残りのモンスターをすべて倒し戦闘は終わった。


 こんな感じでモンスターとの戦闘に慣れきっている僕たちにはこの程度のモンスターでは苦戦することはないのだ。

 そのため経験値を稼ぐならここからとダンジョンに来る前から事前に打ち合わせをしていた。

 もちろんリーンにもこのことをさっきの休憩終わりに伝えておいたので戸惑うことは全くなかった。


「それにしてもリーンがパーティーメンバーにいることで格段に戦闘が楽だな」


「そうだね。僕たちじゃモンスターの姿を見たり、うなり声で判断してから動くからスムーズにモンスターを倒すことができるよ」


「そういわれると役に立てているようで嬉しい」


 リーンはあまり褒められなれてない様子で少し声が上ずっていた。

 まぁ落ちこぼれって言われ続けてあまり人に褒められるって当たり前なことが少なかったんだろうなと思う。


「とりあえずここら辺のモンスターも何事もなく倒せるな。ならもっと効率を求めてさっさと7階層目指すべきか?」


「レベルはまだ大して上がってるわけではないけど経験値が多いならさっさと進むことに僕は賛成だよ」


「私もそれでいいと思う」


 どうやらみんな考えは一緒のようだがロルフの本心は少し違ったようだった。


「確かに進む方が効率はいいと思うんだが・・・・・・ちょっと寄り道しないか?」


 そのロルフの発言を聞いて僕はあからさまに嫌な顔をする。


「またぁ?」


 そしてその僕の反応をみてリーンが不思議な顔をする。


「どうしたんだシグルド? そんなに寄り道するのが嫌なのか?」


「リーンも覚えておいた方がいい。ロルフの寄り道は確かに有益なことは多いのは確かなんだけど・・・・・・」


「けど?」


「大抵ロクなことにならない」


 そうダンジョンに来る前の寄り道を忘れはしない。

 気絶するようなマナポーションを飲まされ、キラービーの巣に突撃させられそうになり、結局キラービーを二人で突撃して殲滅する羽目になった。

 そしてできたマナポーションを僕で実験し、あっさり気絶に追い込んだ。

 これをリーンに話せば二人で反対して多数決でロルフの意見を一蹴できるだろう。


 このことをリーンに話すとリーンも案の定ロルフの提案に難色を示した。


「それはなかなかに酷い話だな。聞く限り私も反対したくなるんだが」


「今回はそんなことにならないぞ? 寄り道って言ってもこの階層のモンスターが多く集まるモンスターハウスって言われてる場所に突撃するだけだから」


「なんだいつも通りか。ならその寄り道でいいよ」


 これなら経験値も稼げるし一石二鳥だね。


「ええっ! 変わり身早くないか! モンスターハウスに突っ込むとか正気の沙汰じゃないぞ!?」


「そう言われてもなぁ・・・・・・」


「僕たち日常茶飯事だし・・・・・・」


 あの鬼畜師匠だからね。

 慣れちゃったものはしょうがない。


 そこでリーンは少し考え込み少し納得した様子で話し始めた。


「そうか。私は10年弓の修行をしたけど二人は3年間でここまで強くなったんだったな。その背景にはそういう理由があるわけか・・・・・・」


「大丈夫だって。気を付ければ死なないから」


「そうそう大丈夫大丈夫。一歩間違えれば死ぬだけだから」


「それ全然大丈夫じゃないからな!」


 笑顔でサムズアップをする僕たち。

 そんな僕たちの言葉にリーンは抵抗を始める。


「僕たちはこんなに優しい言葉で語りかけているのに何故リーンは拒むんだと思うロルフさんや?」


「ああ。理解ができないな。これだけ安心できるように優しく語りかけているのにな?」


「言葉が優しいだけで安心できるよう内容が一つもないだろう・・・・・・」


 むっ? そうだったかね?


「それに私たちはレベルが9だぞ? まだここのモンスターにレベルにすら追いついてないのにどうしてそんな発想ができるんだ?」


「ロルフ。僕たちが師匠に投げ捨てられた場所のモンスターの平均レベルってどれくらいだったっけ?」


「一番ひどい時で15くらいだった気がするな」


「ねっリーン! 僕たちギルドカードなくてもそれくらいいけるんだから大丈夫だって」


「多少骨が数本折れても戦わなきゃ死ぬって状況より体力も気力も充実してる今ならヘーキヘーキ!」


 そのセリフを聞いてリーンは絶句しつつも諦めたような表情になる。


「ああ。これはダメな奴だ。絶対に連れていかれるんだな」


 何故か遠い目をしているリーンを慰めるように声をかける。


「こういうのは経験だぞ? 何事も最初は不安なものだ」


「そうそう。僕たちの修行の先っちょだけ。先っちょだけだから」


 その僕たちの説得によりリーンが結局折れた。


「わかった! 行けばいいんだろう! 行けば! それとシグルド! なんか言い方が卑猥だ!」


 投げやりな言い方だったが僕たちのモンスターハウス突撃ツアーが敢行されることとなった。

 それとリーンが言った卑猥って・・・・・・なんか僕変なこと言ったかな?


--------------------------------------------------------


 少し浮かない顔をしたリーンを連れながら歩くこと15分くらいで目的の場所に着いた。


「あそこだな」


 ロルフが親指でその場所を指し示す少し開けた場所にはモンスターが見渡す限りにいるように見えた。


「数は50は超えてるかなってところ?」


「まぁ目につくのはそれくらいだが、恐らく地面に何体もウネがいたりするからもっといるだろうな」


 さってと久しぶりの数の暴力の戦闘だ。腕がなるな。


「・・・・・・本当に行くのか?」


「「もちろん」」


 僕たちがこのモンスターハウスに行かないという選択肢がすでにない。

 それを察したのかリーンは諦め混じりのため息を吐いた。


「ここにきて怖気づくのを期待するのはやはり無駄だったか」


「そりゃね。この程度なら楽な方でしょう。人数もいるわけだし」


「とりあえず方針だけは決めた方がいいかもな。今回はリーンもいることだし」


「それもそうだね」


 僕たちは慣れてるから自分の身を守ることくらいは簡単だけどリーンは後方支援がメインだ。

 それに気を付けてある程度は守れる範囲で戦わなきゃいけないだろう。


 まぁそれもリーンが慣れるまでだけどね。

 ある程度慣れたら持ち前の戦い方で囲まれないように立ち回れるでしょ。


「とりあえず最初は僕の強化弾でロルフの強化だね。モンスターが一気に来る以上弾数に限りがあるとはいえ前衛を任せる以上優先して使うから」


「了解。俺は立ち回りやすくするために最初はほとんどのモンスターを無視してウネをすべて倒す。一応盗賊の職業の補正で他の能力よりも速さに特化してるからな。それまではシグルド。お前が前衛やれ。ウネを倒し終わったら挟み撃ちにする」


「となると私は基本的に後ろからこちらに向かってくるモンスターを倒そう。シグルドはどれくらいまでならモンスターを相手にできる?」


 えっとどれくらいだったかなぁ?


「んーと10レベル差のモンスターの時は3体が限界だったから、同レベルなら6体くらいまで受け持てると思うよ」


「・・・・・・それ私が援護する意味あるか?」


 何を言ってるんだ! 傷を負う機会を減らせるんだから十分必要だよ!


「怪我しないためにも援護がある方が格段にいいよ。それにここら辺のモンスターは僕やリーンでも一撃で倒すこともできない訳だしね」


「そうか。とりあえず私は攻撃力の高いアントベアーを狙おう。甲殻を持つモンスターに矢は刺さりづらいからな」


「となると僕はアーマーワームとフライアントだね。」


 アーマーワームはミミズのモンスターだがその外皮は甲殻のようなもので覆われ、攻撃する場所に戸惑うモンスターである。ただ図体はそれなりに大きいため外皮さえ貫ければ大して強いモンスターではない。

 そしてフライアントは先ほどいたベビーアントに羽が生えたモンスターで飛びながら突進を仕掛けてくるモンスターだ。こいつも甲殻があるため倒すには少し骨が折れる。


 どのモンスターも同じところに弾丸を当てないといけないモンスターだから相当に集中力を使うんだよね。


「方針は決まったな。それじゃ準備はいいか?」


「いつでも大丈夫だよ」


「私も大丈夫だ」


 そして一度ロルフが頷くとモンスター目掛けてナイフを投合し、そのナイフはアントベアーに刺さった。

 アントベアーの痛みによる絶叫が響きわたる。

 この行為の狙いはモンスターがいきなりの奇襲によってモンスターパーティーやクランとしての機能を失わせるためにある。


「行くぞ!」


 そういってロルフは近場にいるウネに切りかかる。

 それを見て僕もロルフに強化弾を一発当てる。1分だ。それが切れないように最適なタイミングでロルフに強化弾を撃つ!


「フッ!」


 一度強化弾用の銃を上に投げもう片方の銃を取り出し近くにいるフライアントにスポットバーストショットを放つ。

 一気に弾丸を撃ち放つ音が鳴り響いたと思えば僕は別の標的にさらにスポットバーストショットを放つ。

 無事にフライアントを二体仕留めたところで先ほど上に投げた強化弾をキャッチし自分に一発撃ち放つ。

 もちろんもう片方の銃のリロードは忘れない。


「リーン!」


「まかせろ!」


 こちらに向かい始めていたモンスターのアントベアーに一本、二本とどんどん矢が刺さる。五本を超えたあたりでアントベアーの動きが完全に止まる。無事に倒せたみたいだ。


 ここからは僕がモンスターを受け持つ!


 強化した自分の身体能力をフルに駆使し、向かってくるフライアントの襲撃にスポットバーストショット。地面を這って向かってきたアーマーワームに蹴りを放ち、怯んだところに銃身を持ち殴りつける。

 甲殻にひびが入ったのを見て銃をすぐに回転させ一発弾丸を撃ちこむとアーマーワームは動き完全にを止める。


 アーマーワームって基本はミミズだからどこを攻撃すればいいか迷うところだけど実際は人間と同じように攻撃されるとまずい急所があるんだよね。

 甲殻の一部が少し盛り上がっている部分がその核になっているんだ。


 そうしてモンスターの猛攻を防ぎながら次は強化弾を離れているロルフに一発撃ちこむ。

 ちょうど一分だ。これで動きが鈍ることはない。


 避ける、弾丸、受け流し、当身、銃身による打撃、弾丸。モンスターの動きを完全に見極め的確に一体ずつモンスターを仕留めていく。

 するとモンスターの動きがさらにあやふやなものに変わる。


「遅くなったな」


 どうやらロルフがウネをすべて倒し戻ってきたようだ。

 その結果統率がさらに乱されたみたい。

 時間が切れるタイミングでもう一度ロルフに強化弾を撃ちスパートをかけた。


 気づけばすべてのモンスターを倒しきり辺りには静寂が訪れた。


「お疲れさん!」


「私は経験値を集めてくる」


「おう。任せた」


 そういってリーンは休みもせず倒されたモンスターの元へ向かう。

 なんか顔が浮かなかったけど大丈夫かな?


「ふぅ。少し僕は疲れたよ。肩でも揉んでくれてもいいんだよ?」


「いいだろう」


 そういってロルフは僕の肩を思いっきり掴み力を入れる。


「いだだだだだだ! ロルフ! ストップ! ストっ・・・・・・アッー!」


 容赦ないロルフの肩もみをくらい僕のHPは幾分か削れたのだった。


-----------------------------------------------------------


(あの動き・・・・・・あんなシグルドの立ち回りを私はできるだろうか?)


 先ほどの戦闘を思い出しながらリーンは経験値を集める。


(まず銃でモンスターに正確に命中させるだけでも難しい。なのにシグルドは・・・・・・同じ場所に連続で弾丸を撃ちこみ、近接戦闘をこなし、挙句一分を狂いなく数えながらロルフへの援護も行っていた。私にあんな動きできるわけがない・・・・・・)


「3年か・・・・・・」


 そう一言呟きリーンはため息を吐き、自嘲気味に笑った。


「私はこの立ち回り、弓の腕を身に着けるのに10年もかかったというのにな」


 シグルドは自分の記憶がある時から銃を扱う練習をしているので3年どころではない。

 しかしリーンはそのことに気づかずただただ自分とシグルドとの才能の差を見せつけられた気がして落ち込まずにはいられないのだった。

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