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ダンジョンサーガ  作者: 炎尾
森のダンジョン
10/22

09 僕たちの戦闘

 森のダンジョンに入って探索を始めてからすでに30分程が経った。

 時間は自前の時計で確認しているが、今のところモンスター一匹すらと出くわすことがなく非常に順調な滑り出しと言える。

 ロルフも歩きながら薬草などを集め資金の足しにしようと行動を行っている。

 ただ僕としてはレベルも上がらないので少しくらいモンスターの襲撃があってもいいと思っている。


「暇だな・・・・・・」


 あたりの警戒は怠らないものの、さすがに退屈だった。


「どうしたシグルド? 退屈そうな顔して」


「モンスターの襲撃すらないからね。モンスターの気配すらしないもんだから退屈だなと」


「それはな。ただ俺としてはダンジョンに入る前にレベルを上げて動きがどれくらい変わるか確かめたいってのもあるんだよな」


 それもそうだ。

 昨日戦ったレベル7のモヒカンも動きは素人だったが攻撃の鋭さや速さという面では素人のレベルではなかった。

 つまりレベルが上がるとそれだけ動きの質も変わってくる。

 そのためにできるなら戦闘をこなしておいた方がいいという考えは間違いではない。


「そしたら少しだけルートを変えるか」


「どういうルートを通るんだ?」


「予定では薬草とか毒消し用の薬草とかを集めながら安全なルートを通るようにしてたけど止めだ。コボルトのテリトリーにでも突っ込もうと思う」


「場所は?」


「場所は頭に入っている。ここから歩いて一時間くらいだ」


 そういってロルフは今まで歩いていた道よりも少し北西向きに歩き始める。


「そうだ。シグルド。コボルトのテリトリーでは俺にメインで戦わせてくれ」


「えぇ? なんでだよ。さっきまで僕に警戒とモンスターの戦闘任せるって言ってたのに」


「いいだろ? お前は昨日模擬戦をやってるけど、俺は戦ってすらいないんだぜ? これまで移動と登録とか情報集めでまともに戦ってすらいないんだ」


 まぁ確かにそうだ。

 大体ロルフはここでも薬草等で資金集めも考えている。それに対して僕は戦闘しかできないのだから要望は聞くべきだろう。


「わかったよ。援護は?」


「どうせなら本気でやりたいから頼む」


「了解」


 そうして歩き続けること一時間ほど。

 ダンジョンで初めて今までと雰囲気が違うところに出た。

 どうやらコボルトのテリトリーに入ったみたいだ。


「どうやら着いたようだな」


「ああ。てか囲まれてるな。気配が・・・・・・うん。沢山だ」


「数えられないなら言わんでいい!」


 僕が言ったように既に囲まれていてうなり声も聞こえる。

 そして計十五匹のコボルトが徐々に迫り始める。


 さて僕たちもそろそろ気を引き締めますか。


 最初にロルフにコボルトが飛び掛かってきた。

 数は三匹。一匹が先に迫り、もう二匹はその後ろについている。時間差で仕掛けるつもりのようだ。


「グルルルァァァ!」


 一匹がロルフに肉薄しようとした瞬間ロルフはコボルトに腕を向けて針を的確にコボルトの目に射出した。

 コボルトは怯んだが、後ろの二体がさらに飛び掛かってきたところでどこからともなく取り出したナイフを二匹の頭に思いっきり刺した。


「邪魔だ!」


 そしてすでに死んだコボルトを蹴り飛ばし先ほど目に針の暗器を射出したコボルトに手でつかみかかり首の骨をへし折った。

 ロルフさんマジで鬼畜やでぇ・・・・・・


 今度はロルフに後ろから飛び掛かろうとコボルトが四匹ほど迫ってきていたのだが・・・・・・


「シカトはいけないなぁ!」


 僕は腰のホルスターから銃を取り出し、コボルトの顔面に弾丸を撃ちこむ。

 すると勢いをなくしコボルトは地面に落ち息絶えた。


 残りは八匹となったところで一匹は逃げ、残りはこちらに飛び掛かってきた。

 この展開はまぁ予想してたけどね。


 僕とロルフで背中合わせになり死角を消す。

 向かってきたコボルトはすぐに片付いた。


「弱い・・・・・・」


「そういうなよロルフ。どうせこいつらこのテリトリーの下っ端なんだからさ」


 そう。こいつらは自分たちのテリトリーを荒らしに来たであろう僕たちのことを探りに来た人間でいう斥候部隊だ。

 だから一匹だけ逃げて群れのボスに報告に戻ったんだろう。


 この戦闘だけでもよくわかるのだがコボルトは頭が回る。

 そのため群れに囲まれた初心者冒険者は結構事故を起こしてやられてしまうモンスターだ。

 しかし僕らには関係ない。

 いくらでも対処できるように師匠に叩きこまれているから。


 それだけ地獄を見せられてきたんだけどもね・・・・・・


「それで? ロルフは戦って満足できた?」


「満足できるわけないだろ? このまま巣までいってこのテリトリーのコボルト全滅させるぞ」


 だよねぇ。弱いとか呟いた時点で満足してないのわかりきってたもの。

 コボルトさん。ご愁傷様です。


「とりあえず経験値は回収しなきゃ!」


 思い出したかのようにカードケースを出す。

 なお、すでに僕とロルフのカードが入っている。


 これをコボルトの死骸に当ててってと。


「おっ吸収された!」


 コボルトの死骸は最初から何もなかったかのように光の粒となってカードケースに吸収された。

 これで僕らのカードの経験値として貯まるようだ。


 その後すべてのコボルトの死骸を吸収したがレベルが上がることはなかった。


「そんな簡単にレベルは上がらないかー」


「まぁ当然だろうな。あいつら弱かったし」


「巣でも潰せばレベルは上がるかね?」


「まぁそれくらいやればいけるんじゃないか?」


「んじゃさっさと行こう」


「そうだな」


 そうして先ほどコボルトが逃げていった方向に歩き始める。

 数分歩くとそこには小さな洞窟のようなものがあった。


「あそこがコボルトの巣みたいだな」


「みたいだね。足跡がいくつもある。相当コボルトが居るとみていった方がいいかもね」


 といっても洞窟だしなぁ。

 なかは暗いし、たいまつなんて持ってたら片手防がれちゃうし。


「ねぇロルフ、洞窟に入らないで戦う手段はある?」


 そう質問するとロルフはやれやれと言わんばかりの顔をして袋から何かを取り出す。

 イラっと来たのは言うまでもない。

 そしてロルフは道具袋から何かを取り出した。


「パパパパッパッパーン! コボルト用発煙筒ー!」


 だみ声で著作権的に引っかかりそうな気がしたがそれは気にしないことにする。


「発煙筒? それでどうするんだ?」


「これを使用してコボルトを洞窟からいぶりだす。この発煙筒は特別性でな。コボルトが嫌がる臭いを出すんだ」


「なるほど。これを洞窟に投げ入れてコボルトを外に出すんだね?」


「ああ。ホントはモンスター避けに使うのが正解なんだが、物は使いようだろ」


「確かに」


 まぁあの程度のモンスターであれば取るに足らない相手だ。


「それでどういう戦略で行く?」


 消耗するのは避けたい。 

 そのため無策で戦うのは避けたいところだ。


「次の戦闘も俺が前衛をやる。今度はアレを頼む」


「ハイハイ」


 そういって僕は先ほどとは違うもう一つの銃を取り出す。

 先ほどとは違う目的に使用するためだ。


「んじゃ、投げ入れてくる」


 ロルフは洞窟に近づき発煙筒を投げ入れる。

 数分ほど待つとコボルトがわらわらと洞窟から出てきた。

 そして出てきた瞬間ロルフはナイフを投げる。

 一発も撃ち漏らすこともなくコボルトの頭を貫いていくが、いかんせん今度は数が多い。

 徐々にロルフにコボルトがにじり寄り始めた。


 するとロルフは合図を出す。

 僕たちがいつも使っているあアレを使えというサインだ。

 戦闘中でも使いやすいように少しだけ色の違う柄を持ったナイフを投げるというものだ。


「ハイハイ。そんじゃ行きますよ」


 僕は先ほどとは違い、銃口をロルフ本人に向ける。

 そして迷いなく弾丸を放った。


 弾丸が当たったロルフは赤色のオーラを纏い始める。

 そして近寄ってきたコボルトを腰に差していたナイフで一閃。

 飛び掛かってきていたコボルトを瞬殺した。


「ハハッ! やっぱこれすげぇわ!」


「そんな長く持たないんだから今いる分くらいは片づけてくれよ!」


「了解」


 するとロルフはコボルトが出てくる洞窟付近に突撃し、無双を始める。

 入り口にはコボルトの死体がどんどん増えていくばかりだ。

 そんな無双状態のロルフを見て本能からコボルトは逃走を始めた。


「さて。逃げられると思っているのかな?」


 もちろんロルフが打ち漏らしたコボルトは僕の役目だ。

 先ほどロルフに撃った銃とは別の銃を持ちロルフが打ち漏らしたコボルトを倒していく。


 ロルフに撃った弾丸の効果が切れるタイミングでコボルトの群れは殲滅されたのだった。


「お疲れさん! 少しは満足したか?」


「おう。経験値も稼げて一石二鳥だな」


 そんな僕は話をしながらカードケースを取り出し経験値を回収し始める。


「それにしてもお前の職業ジョブぶっ壊れてるよな」


「ああ。魔導ガンナーのこと?」


「さすがに当たりのユニーク職業なだけある」


 ユニーク職業とは世界に数少ない人間が就いている職業のことを指す。

 ユニーク職業にも使える職業と使えない職業がある。


 使える職業で言えば忍者なんて職業がある。気配を完全に断つことでモンスターに一気に忍び寄り、不意打ちを食らわせることができる職業だ。


 それに対し使えない職業には折り紙職人みたいなのがあった。紙であればどんなものでも折ることができるという稀有な職業だ。

 しかしダンジョンでは使い道がなかった。

 そして僕の職業は使える職業のためロルフは当たりと表現したのだ。


「まぁ使い勝手はいいよね。弾丸もすべて魔力を使うだけだし、リロードにはイメージして魔力を銃に込めるだけだからね。とはいえ実戦じゃ結構きついんだけど」


 ただリロードに掛かる時間は今のところ約三秒程度掛かる。

 命を張る以上この時間は少し致命的である。

 昔は十秒程度掛かりホントに使って行けるか不安になったのは言うまでもない。


「リロードはそのうちガンナーにも追いつけるだろ? 俺が言ってるのはもう一つの特性のことだよ」


「ああ。強化弾のこと?」


 強化弾とは僕のとっておきだ。

 一発作るのに十秒程度掛かる。

 しかしこれを相手、もしくは物に当てれば一定時間強化できるという代物だ。


「魔法じゃそんなこと出来ないからな。それに相手の弱化も出来る」


 僕はもう一つ弱化弾も使える。

 これも強化弾とほぼ同じ時間で作れて相手や物に当てれば一定時間弱体化するというものだ。


「実戦で使うには苦労するよ?」


「それでもだ。それだけ練習もしてきたし、実践もこなしてきただろ?」


「ハハッ。期待に応えられるよう頑張るよ」


 そう。これだけ壊れ性能を持っている職業にももちろんリスクがある。

 強化弾を敵に当ててしまえばもちろん敵が強化される。

 弱化弾も味方に当ててしまえば味方が弱化する。


 このぶっ壊れ職業の最大のリスクとは誤射できないのだ。

 誤射すれば味方が確実に窮地に陥るのだ。


 だからそうならないように相当練習と実践を積み重ねた。

 最初の頃は誤射しても師匠がついていたが、途中からはモンスターがひしめくところに投げ入れられたのでその際に誤射してそれだけ死にかけた。

 そうして磨いてきた僕の腕は相当に自信がある。

 どんな状況でも外さないだけの精神力を磨いてきたのだから。


「ん。全部吸収が終わったようだ」


 話している間に辺りにあったコボルトの死体はすべて消え去っていた。

 どうやらすべて吸収が終わったようだ。


「レベルはどうなってる?」


 そういって一度カードケースからギルドカードを取り出す。


------------------------------------------------

シグルド 職業:魔導ガンナー

レベル2

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □ □ □ □ □ □ □ □

HP 110/110

MP 487/520


特技

・強化弾 ・弱化弾

スキル

なし

------------------------------------------------


 どうやらレベルは上がっていたようだ。

 レベルの下にゲージがたぶん今の経験値の取得量だろう。

 スキルは・・・・・・ないよなぁ。弱かったし。


「レベルは上がってるようだな。シグルドも上がってるようだな」


「ロルフもスキルはなかったみたいだね」


------------------------------------------------

ロルフ 職業:盗賊

レべル2

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □ □ □ □ □ □ □ □

HP 130/130

MP 50/50


特技

・鍵開け ・罠解除

スキル

なし

------------------------------------------------


「弱い相手と戦っただけじゃスキルにはならないってことだな」


「ならやっぱりボストロール相手にするのが一番かな?」


「だろうな」


 まぁダンジョンエリアに入ってからまだ数時間しか経っていない。

 このペースでレベルを上げていけば一度はボストロールに挑むことができるくらいにはレベルを上げることができるだろう。


「ちなみにダンジョンエリアに居る一番レベルの高い奴ってシグルド知ってるか?」


 モンスターにもすべてレベルがある。

 レベルは自分のレベルの二つ下までしか経験値が入らない。

 ちなみに先ほど倒したコボルトはレベル2だ。

 ということは4までは上げることができるということだ。


「ダンジョンエリアじゃ最高がミニベアーとかいう熊のモンスターで7とかだった気がするな」


 確かPPで調べた時にギルド公認の情報であった気がする。


「ならこれ以上ここで長居しても時間の無駄だな。さっさとダンジョン目指すか」


「了解」


 そうして僕たちはダンジョンエリアに入った頃よりも大きく見える巨大樹のダンジョンへと歩き始めたのだった。

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