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葦原神祇譚  作者: 宗谷 圭
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「さて……これから、どうするんだ?」

 黄泉族の門が完全に消えてから、仁優は残った者達に問うた。問われた一同は、顔を見合わせる。

「僕は、とりあえず家に帰らないとネ。ここでの両親はのんびりしていて放任主義者だけど、流石に一ヶ月以上無断で留守にしてるのはまずいよネ」

「拙過ぎだろ。……奈子は?」

 仁優と同じように呆れた顔で彦名を眺めていた奈子は、「そうね……」と呟いた。

「……生まれ変わってから見付けた、夢に挑戦してみようと思うわ」

「夢?」

「えぇ……その、女優を目指してみようかな、と思うのよ。折角生まれ変わって醜女じゃなくなったんだから、顔が重要な仕事にも挑戦してみなきゃ」

 そう言う奈子の表情は、今までになくイキイキしている。「良いんじゃねぇかな」と仁優は言う。

「僕とマドカさんは、今までと変わりませんよ。朝来様に従うまでです!」

 オロシの元気な言葉に、「そっか」と笑って返し、仁優は視線を夜末達に向ける。そして、少しだけ考えてから声をかけた。

「で……朝来と伝は? どうすんだ?」

 その問いに、二人は「ん?」という顔をした。仁優は苦笑し、頭を掻く。

「いや、そのさ……これまでにも、二人の事を名前で呼ぼうかとは考えたんだけどさ……ほら、伝と天って、音が似てるから、こんがらがりそうで……。けど、伝だけ苗字で呼ぶのもどうかなーと思ったから、何となくセットで、朝来も……」

 朝来と伝は、二人揃って呆れ果てた顔をした。

「なら、最後まで苗字で呼び通せば良いだろう。混乱するような事をするな、面倒臭い!」

「まぁ、親密度が上がったように聞こえて、悪い気はしないがね。……そうそう、礼?」

 朝来に突然名を呼ばれ、今まで寂しそうに俯いていた礼はビクリと顔を上げた。

「お前は、これからどうするつもりなんだ?」

「え、その……」

 困ったような顔をする礼に、朝来はしゃがみ込んで視線を合わせた。

「私と伝はとりあえず一度故郷に帰るつもりなんだがね……良かったら、一緒に行かないか?」

「え……?」

 驚いたように朝来の顔を見る礼に、朝来は照れ臭そうにする。

「その、何だ……瑛に、お前の事を頼まれたからね。何だかんだ言って、瑛は私達の幼馴染で、妹のように思ってたりもしたんだ。その瑛に頼まれたんだから、お前が嫌じゃなければ、私が面倒を見たいんだが……」

 最後には伝の存在が消えてしまっている。だが、仁優もできるなら礼の面倒は朝来が見た方が良いだろうな、とは思う。何せ、朝来の元にはオロシやマドカを初めとして、たくさんの妖禍がいるという話だ。そこへ行けば、きっと礼も寂しくはない。

「……良いの?」

 おずおずと問う礼に、朝来は「勿論だ」と頷いた。すると、礼は少しだけ迷うような表情を見せた後、にこりと笑って朝来の袖を掴んだ。

「じゃあ……これから、お願いします。姉様」

 朝来の顔が真っ赤に染まるのを、仁優は確かに見た。あの笑顔は反則だよなーと思いつつ、微笑ましいその様子を仁優はニヤニヤとしながら見る。

「何をニヤニヤしているんだ、守川」

 そう言う伝の顔も、どことなく楽しそうだ。奈子と彦名も、くすくすと笑っている。

 皆が笑い合っている時間を作る事ができた。それだけでも、これまでのゴタゴタが何とかなって良かったな、と仁優は思った。

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