表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
葦原神祇譚  作者: 宗谷 圭
2/28

 逃げ惑う人々に紛れて、仁優(まさひろ)は走った。背後には燃え盛る炎。そして、巨大な影が迫っている。

「あっ……!」

 短い悲鳴をあげ、後を走っていた男の子が転んだ。だが、彼を助け起こそうとする者はいない。皆、自分が逃げる事に必死なのだ。

「……っ!」

 仁優は舌打ちをし、一人人並を掻き分けて後方へと戻る。逃げる者達に罵声を浴びせかけられたが、それに一々反応してはいられない。

「大丈夫か!?」

 駆け寄り、男の子を助け起こす。それとほぼ同時に、辺りが暗くなる。

「……!」

 目を見開き、恐る恐る頭を上げる。

 予想通りだ。そこには、仁優達――街の人間を追い、殺し続けてきた化け物が佇んでいる。

 それは、今まで仁優が見た事の無い姿を持つ化け物だった。目は鬼灯のように赤く、背には苔や木が生え、そして腹は血でただれていた。

 それは、仁優が知っている化け物だった。その化け物は、蛇のような尾と八本の頭を持っていた。

 八岐大蛇(ヤマタノオロチ)――日本神話に登場する、素戔鳴尊(スサノオノミコト)に倒された化け物。記載よりもずっと小さい姿なれど、その化け物は伝説上の生物、八岐大蛇その物だった。

「何で……何でこんな事になっちまったんだ……?」

 掠れた仁優の呟きは、炎の轟々と唸る音に掻き消された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ