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「いや、フツーの学校の進路相談で魔法学園とか言ったやつはお前しかいないと思うが」
「ふ。お前の世界は狭いな」
「そんな無駄な広さはいらねぇ!」
そもそも魔法学園に対応した進路相談ができる場所は存在しないのだが、それはともかく。
〈ババ・ヤガーの小屋〉が抱える問題のひとつに、その特異な教育理念に対する一部学生の無理解というものは確かに含まれている。「どれだけうまく魔法を使えるか」ではなく、「どんなことに、どうやって魔法を使っていくか」が評価の基準となってくるからだ。
他人が作った魔法をまねるのと自ら魔法を考案するのとでは、必要な能力と心構えが違う。
「つーか、そんなことはどうでもいいんだよ」
話題を提供した本人によって反らされていく話を、カネミツが辛うじて軌道修正する。
「なんで落第生の話なんか出てきたんだよ。俺らには縁ないだろ」
「過信はよくないぞ。オレは今でこそお前の情熱を認めているが、少し気を抜いたらすぐさま切り捨てるからな」
「舐めんな。ここまで来て捨てられるほど安い情熱なんざ持ってねぇんだよ。というかちょっと待て、切り捨てられても損害がなさそうなんだが」
むしろ、オキツグの非常識な言動に頭を悩ませなくていいだけ今より気が楽そうだ。
「ふっ、恥ずかしがらなくていい。オレはお前をライジング・フリーの後ろに乗せてもいいくらいに心を許しているんだぞ」
「……そりゃどうも」
とめどなくあふれそうな否定の言葉は飲みこんでおくことにした。




