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彼の言葉は、他人から見てふざけていようと大真面目であろうと、全てが本気である。
その性質を知っているからこそ、カネミツは内心で首を傾げざるを得なかった。オキツグは基本的に自分本位な人間であって、そこらの他人に興味を持つことなどほとんどないからだ。
ましてや、落第生などという、言ってしまえば他より劣っていると思われても仕方のない人種に興味を持つような野次馬精神など持ち合わせていないと思っていたのだが。
「これからは魔法を作る側にまわらなければならないんだからな。適性のない人間は少なからずいてもおかしくはない」
思わず、カネミツは周囲を見回した。
普段は多くの学生が集う談話室は、レポートの提出期限が間近に迫っているためか人影がまばらだった。その上会話よりもペンの音が目立っているほどなのだから、いっそ自習室になりはてていると言っても過言ではない。
しかし、その現状に不満を持っている人間など、全体の一割にも満たないはずだった。
カネミツたちの在籍する魔法学園〈ババ・ヤガーの小屋〉は、魔法開発に特化した教育が最大の売りである。無論、地下都市であるにも関わらず地上と遜色ない生活をおくれることや、魔法使いのみが暮らす閉鎖空間という安心感だけでも魅力的であるものの、それらは学園都市としての本分ではない。
──自ら魔法を創造し、行使するものこそ、魔法使いと呼ばれるべきである。
創設者であり、現学長、さらには地下都市・ワシリーサを創造、維持している大いなる魔女の言葉を元に、〈ババ・ヤガーの小屋〉は成り立っている。
カネミツ自身、その教育方針に惹かれてわざわざロシアの地へ渡ったクチだ。同じ情熱を持っていない人間がいるなどと、本当は信じたくもない。
「まぁ……なにも考えずに入ってくるやつもいるってことか」
「進路相談もバカにできんな」




