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その「引き金」をなににするのかは、魔法使いの個性によって違う。カネミツの魔法銃の場合は、そのまま引き金を魔法発動の合図として利用していた。
火球着弾の衝撃だけで破壊された頭骨たちをかわし、オキツグはさらに加速。絶え間なくペダルを回しながら、さらなる魔法を行使する。
「風はいつだってオレと──いや、オレたちと共にある! 燃え盛る炎を抱えた同胞を迎え入れろ、ライジング・フリー!」
「あのな、魔法に詠唱は必要ないっつうの!」
詠唱──ではなく、「掛け声」と共に、カネミツの体をオキツグの風魔法が支え始める。
不安定極まりない二人乗りを、いわば自動車のシートベルトのような感覚で安定化。これでカネミツは射撃に両手を使えるようになり、オキツグは、
「東方の草原地帯からワシリーサの端、空の壁に向かう」
「いいのか、囲まれるぞ」
「町が壊れるよりはマシだ──舌を噛むなよ、カネミツ!」
言いざま、急激な方向転換。
ほとんど減速しないまま、街路を左折する。
場を整える魔法により、肉体的に振り回されている感覚はなくとも、視覚情報はめぐるましく変化していく。
そのギャップに追いつけない脳が吐き気によって差異を埋めようとするのを、カネミツは頭を振ってごまかした。
メインストリートに比べれば幾分狭い道は、不必要なまでに入り組んでいる。店頭に並ぶ魔法関連の商品──怪しげな書籍やパワーストーン、各種植物──も相まって、典型的な「魔法使いの街」という印象を炸裂させていた。
上空から照準しようとするミニチュアを撃ち落しながら、カネミツが苦言。
「もうちょっと安全運転はできないんですかオキツグさん!」
「曲がるからといって減速などできるはずがない──なぜなら、オレとライジング・フリーは最速を実現するために生まれてきたのだから!」
「お前、将来必要になっても絶対車の免許取るなよ!?」




