03
「火薬が入ってる。純粋に火力が上がるだろ?」
「ふっ……そこに小難しい象徴を組み込まない辺り、本当に実戦向けだなカネミツ」
「魔法銃が実戦向けじゃなくてどーすんだよ」
相手はいねぇけど、という言葉は、極力小さい声で付け足した。
カネミツの目的は戦いそのものではない。漫画で見た魔法銃を、この手で再現することができればそれでいい。
その点、〈ワシリーサのしるべ〉は実に最適な「的」だった。動き回る多数の子機を前に、魔法銃がどれだけ対応できるのか。そして、自分はその最適な射手たりえるのか。
わざとらしい苦笑いを浮かべたオキツグが、自転車の後輪を顎で指す。
「オレとライジング・フリーがお前を運んでやる。存分に撃て」
「おう」
旧式ライフルを肩に担いで、カネミツはオキツグの後ろへ近づいた。
心臓が跳ねているような高揚感が、胸の底から湧きあがってくる。試し撃ちや演習ではない、実戦に向かう空気がそうさせるのだろうか。
原因は定かではないが、自然と浮かんでくる笑みを抑える必要性はどこにもない。
カネミツがライジング・フリーの後輪車軸に足をかけると同時、〈ワシリーサのしるべ〉から再び警告が言い渡された。
『三〇秒後に執行権限を行使します。罪なき住民は屋内へ退避してください』
「いつでも来い、〈ワシリーサのしるべ〉……オレとライジング・フリーの最速に、ついて来られればの話だがな!!」
オキツグの咆哮と同時、〈ワシリーサのしるべ〉から無数の子機が放たれた。
暴走した防衛機構の停止。
学長からの特別課題は、予想の通り少々骨が折れそうだった。




