02
「……さいで」
ぶはぁ、とカネミツがついたため息は、一瞬だけ白い塊を作って霧散する。〈ワシリーサのしるべ〉が防衛機構として働いている現在、生活律動調整機構──つまり太陽が、ワシリーサには存在していない。
おのずと、気温は下降の一途を辿っている。
地下空間が保温に優れているとはいえ、雪で冷やされる都市の下部はさすがに寒い。
「多く見積もって一三〇か」
言って、カネミツは懐から小型の単発拳銃を取り出し、空に発砲した。
ぱすん、という気の抜けた銃声と、切れかけのライターのような炎がちらり。攻撃の用途ではなくカネミツの「場」を整えるためのもので、実際、続く言葉は白い塊を作らなかった。
「全部ぶっ壊すのはホネだな」
「カネミツが半分ぶっ壊して、オレがもう半分を追い抜いて置き去りにすれば問題ないな」
「壊せよ」
「あいにくだが、ライジング・フリーは破壊の道具じゃない」
「……さいで」
目を反らしながら適当に返してはいるものの、カネミツ自身もオキツグを戦力としては計算していない。
オキツグの目指すところは最速であり、作る魔法もそれに合わせたものとなっている。
火力を追及するのはカネミツの魔道である。
「それより問題はそっちだ。確かその銃、弾の数は一五発だったよな?」
「ん? あぁ」
オキツグに問われ、カネミツは手元を見下ろした。
人差し指は伸ばしたまま、旧式ライフルのグリップに親指を引っかけて腰だめの位置まで持ってくる。中指から小指の三指で、トリガーガードと一体化した楕円形のレバーに突っ込んでグリップを握った。
カネミツの扱う銃はレバーアクション。その初期モデルであるヘンリー銃を元として、魔法的なアレンジを加えたものだ。
「確かに装填数は一五だが、空撃ちしても炎は出る」
「弾は補助か」




