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前兆

 翔はソファーに座った。葵から逃げるように出て行ったにも関わらず五分で帰ってきた翔を夏海は疑った。

「翔さん。なぜ五分でリビングルームに帰ってきたのですか」

「千葉葵は風馬兄さんの不倫相手の子供。そんなこと関係ない。俺は彼女を毛嫌いしない。それにこんなかわいい女を見たことないしね。三歳になる息子の婚約者にしたいくらいだ。まあ法律上では従兄弟になるから結婚はできないが」

 

 面白くない冗談に三人は笑うしかなかった。

 この話を無表情で聞いていた美咲に柊は質問をぶつける。

「婚約者で思い出したが、あなたは尾形颯君の婚約者というのは本当か。それならなんでこの館で執事をしているのでしょう」

「罰ゲームのようなものです。先に会社が倒産したら子供を執事として雇う。尾形風馬さんは経済界のカリスマだったのでかないませんでしたよ」



 その頃尾形雷助は尾形瞳の部屋にいた。トイレから帰ってきた瞳に上半身裸の状態の雷助は抱きつく。

「ちょっと待って。もうやめるって約束したでしょう。死んだ風馬に申し訳ないと思わないの。それにあなたには奥さんがいる。これは浮気よね」

「浮気が知られたら別れるだけさ」

 そう言うと雷助は上半身裸の状態からワイシャツを着る。それから彼は瞳の頬にキスをして部屋から出て行った。帰ってこないことを確認した瞳はハンカチで頬を拭く。キスの感触が消えるまで彼女は拭きつづけた。

「絶対に許さない」

 


 雷助はスキップしながら自分の部屋に帰った。

自分の部屋の机の上を見るとそこには手紙が置いてあった。なんだろうと思い雷助は封を開ける。

手紙を読み終わると雷助は顔つきを変えた。

「これで黄金の仏像は俺の物だ」

 思わず雷助は大きな声を出してしまった。左隣の部屋にいた源洋子にも聞こえるような大声だった。

 洋子はメールを打とうとしたが、この館は圏外だった。携帯電話をベッドの上に放り投げると彼女はため息を吐いた。

「だから山の中には行きたくなかった」

 

 雷助は自分の部屋を出てある場所へ走っていく。その様子を尾形翔は不敵な笑みを浮かべながら見ていた。

 一時間後食堂で晩餐会が催された。食堂には尾形雷助以外全員集まっていた。

 中々来ない雷助を美咲は心配した。

「おかしいですね」

 呼びに行っていたメイドは美咲に報告する。

「部屋にもいません」

 不穏な空気に包まれた食堂。柊は食堂に集まった人々に呼びかける。

「晩餐会は一時中断だ。この食堂にいる全員で捜索しよう」

 その時窓が急に明るくなった。柊は窓から外に出て異変を探す。


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