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誰が二人を殺したのか 後編

 葵は笑う。

「館のことは隆さんから聞いてトリックを考えたとしましょう。でも動機がありません」

「動機は恩返しだろう」

 


 葵は驚く。

「どうしてそれを」

「それくらいしか動機が考えられなかったからな。まずあなたは館に入る前に灯油入りのごみ箱を吊り橋の前に設置して、改造水鉄砲に灯油を入れた。残った灯油を吊り橋に撒いてからそのゴミ箱を崖下に捨てた。灯油のにおいが靴に残ると犯人が分かってしまうと考えたあなたはあらかじめ別の靴を用意して第一の事件準備の後で履き替えた。灯油のにおいがする靴も崖下に捨てた。その後で第三の事件で使う予定のボウガンを鳥小屋に隠した。あの鳥小屋に住んでいる鳥の天敵である鷹の糞を周りに残して。鷹の糞を残したのは鳥がボウガンを動かして軌道を変えるのを防ぐため」

 


 瞳はそのトリックに疑問を感じる。

「それは誰でもできるでしょう。葵さんじゃなくてもできる

「それはそうだ。誰にでもできるトリックで彼女は犯行を繰り返したのだから。このようなトリックにした理由は自分だけが容疑者から外れるため。回りくどい焼殺を選んだのはここにいる人間を絶望させるためと警察に捜査させたくなかったから。警察に捜査させるとすぐにこんなトリックは見破られるからな。そうやって彼女は完全犯罪を狙おうとした」

 


 葵は拍手を始める。

「素晴らしい推理。でも証拠がないでしょう」

「証拠ならあなたが持っているだろう。ポケットの中に第二の事件に使った毒の解毒薬があるはずだ」

 葵はポケットから解毒薬を取り出した。

「早く改造水鉄砲と一緒に他人の荷物に紛れ込ませればよかった。なぜ解毒薬を持っていると思いましたか」

「犯人の立場で考えた。矢に毒を塗るには練習が必要。もしもその過程で毒付きの矢が一本紛れ込んだとしたら解毒薬を用意するだろう。毒は目に見えないからもしも毒矢がもう一本紛れ込んだということに気が付かない。だから解毒薬を用意した」

 葵は観念したのか供述を始めた。

「相手は無能な迷探偵がよかった。第二の事件では名探偵さんの言ったトリックを仕掛けた。洋子さんに気が付かないように睡眠薬を混入させた。第三の事件ではスイッチを押して、矢を発射させた」

 


 懲りすぎたトリックを仕掛けてまで殺人を犯した千葉葵の動機を美咲たちは理解できなかった。

「じゃあ動機はなんですか」

「動機は宝か」

「そう。宝を狙うライバルが邪魔だった。光をくれた高野隆さんの恩返しをしたくて」


なぜ千葉葵は連続殺人事件を起こしたのか。

動機はR15指定に設定せざるを得ないくらい教育上よくないものだった。


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