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幻の三階

 怒った洋子を無視して一行は雷助の部屋にやってきた。

 


 夏海が隣にある、開かずの間のドアを押してみたが開くことはなかった。

「鍵。合わせる。まさか」

 柊は雷助の部屋に飾ってある鳩時計を外した。その裏には二つの歯車が隠されていた。

歯車には風炎氷水電土神という刻印が入っている。

 それを見て柊は笑った。問題は意外に簡単だった。

「プロのトレジャーハンターに分かるはずがない。この鍵は葵さんの証言がなければ開くことがないからな」

 柊は瞳たち六人に話しかける。

「まず開かずの間を開けるためには風と雷を合わせる必要があった。文字通りの意味で歯車を回して風の刻印と雷の刻印を合わせる」

 すると雷が落ちたような音が響き渡った。夏海が改めて開かずの間のドアを押してみると、ドアが開いた。

 


 柊は鳩時計を机の上に置いた。再び鳩時計で歯車を隠すと扉が閉まる仕掛けがあるかもしれないからだ。

 柊は雷助の部屋を出た。

「プロのトレジャーハンターならこんな子供だましを一瞬で見破っただろう。証言が足りなかっただけで彼らには宝を見つけることができなかった。我々は運があっただけだ」

 


 開かずの間は手入れをしていないのか、埃まみれだった。周囲には蜘蛛の巣がある。窓がないため暗い。懐中電灯で辺りを照らすと中央に木箱が置いてあった。

 翔は慌てて開かずの間に入る。

「あの木箱の中に黄金の仏像があるに違いない」

侵入してきた翔を柊は止めた。

「まだだ。まだ第二問が残っている。古文書に書いてあっただろう。雷神の○○を鎮めしし者よ。○○の扉を進め」

 


 翔は木箱を開ける。だがそこには宝がなかった。木箱の中央には板をはめ込むことができるよう正方形の穴が開いていた。

 柊は四方を懐中電灯で照らす。四方には木箱にぴったりはまりそうな板が飾ってある。板にはそれぞれ喜怒哀楽という漢字が刻まれていた。

 夏海はすかさず怒の板を外した。

「文脈からこれでしょう」

 たしかに『雷神の怒りを鎮めし者よ』なら意味が通じる。だが柊は納得していなかった。

 

 夏海が怒の板をはめこもうとした時、柊は違和感を覚えた。怒の板の裏に病院の地図記号らしい記号が書き込まれていたのだ。

「ミスリードだ。答えは怒ではない」

 直感で柊は楽の板を取り外した。その裏には漁港の地図記号が書き込まれている。

「答えは楽だ」

 楽の板をはめこんだが、何も起きなかった。

 やはり答えは怒だったのか。考え込んだ瞬間夏海はミネナルウォーターが入ったペッドボトルを取り出して飲み始めた。

「のどが渇いてしまいました」

 その様子を見て柊は確信した。

「あれが足りなかったのか」

 柊は夏海のペッドボトルを奪い木箱の中に水をかけた。すると再び雷が落ちたような轟音が響いた。

 その音の正体は幻の三階へと続く階段が落ちる音だった。

 柊は言い聞かせる。

「おそらくあの階段を上った先に財宝が眠っている」


R15の推理小説にしては暗号が子供だましだったかな。


次回 館で起きた三つの事件の謎が遂に明かされる。みなさんは犯人が分かりましたか?

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