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【忘れてしまうくらいなら】
脳裏に浮かべれば
鮮明に映す横顔 現実を帯びる笑顔
私の心を占める 愛しき人よ
閉じ込めた思い出
その中で生きている
そう思っていたのに
いつの間にか……
あれほど鮮やかだったのに
あれほど明るかったのに
あれほど愛していたのに
いつの間にか……
遠ざかって薄れていって
熱が冷めていく
どんな横顔を どんな笑顔を
私に向けていた?
表情に声 仕草に癖
あなたという像が
思い出しても描けない
あなたへの想いや感情が
発露しない
どうしてどうして
こんなに残酷なのか
年月の老いが
記憶の細胞を容赦なく蝕み
私から大切なあなたを奪っていく
自分ことは忘れてしまっても
あなたのことだけは
忘れたくない
だから私は──
あなたを留めておくために
完全に失われる前に
静かに思い出の奥へと
あなたを包み込むことにした
忘却に攫われないように
私の魂に楔と契を穿つ




