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【桜吹雪の中で】

覚えていますか?

二人で見上げた 夜の桜吹雪


月の影が金にたゆたい

花の影が紅にさざめく


春の風の髪を飾り靡かせ

春の風の指先に遊ばれて


花びらは浮かびながら

どこまでも運ばれていく


それでも

いつか地に着いて転がり

川面に筏として流れゆく


そして最後は

花の痕として 春の証として

命を終わらせ 枯れてゆくの


人は美しくも儚いと

桜をそう譬えるのでしょう


◇◇◇


覚えていますか?

人だった頃の誓い あの夜の桜吹雪を


わたしとあなたは同じ

愛していても 結ばれることがなかった

来世を望んで 桜の前で死んだの


遠き日の誓いは

夫婦神に掬われ 今でも縁を紡ぐ


わたしは桜の精 あなたは春の幻

春の桜が咲く 短い逢瀬を繰り返す


それでもいいと

幸福と愛情に満たされて

あなたの余韻を胸に抱え

わたしは眠りにつく


この誓いが本当の意味で

果たされた時──

きっとわたしとあなたは

この桜のように

命の痕だけを残して

儚く消えるのでしょう


それは最高の美に彩られ

最後に抱くのは

喜びなのか悲しみなのか

未だ 答えは出ない

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