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【水底から手を伸ばして】
暗く重い水底から
手を伸ばす
陽光と月光の乱紋を
ひとつずつ ひとつずつ
飲み込むように集めていく
すべては
この水牢から抜け出し
復讐を果たすため
忘れられるはずがない
この憎悪
果たさずにはいられない
この恨み
だから──
幾千の時が流れても
私は光の魔力と熱を
体内に蓄え続ける
私は罪など犯していない
ただ『魔女』であるという理由で
ありもしない罪を着せられ
この水牢に封じられた
そう……
私を閉じ込めた奴
あの冷たい眼差しと
わずかな冷笑
水よりも冷たい
あの男の顔は
決して忘れない
それに私は死なない
水の中でも息ができる
魔女だから
◆
さらに時は過ぎ──
ついにその時が訪れた
全身を満ちる光の魔力
満ちて満ちて 溢れている
両手を水面に突き上げ
怒りとともに
魔力を解き放つ
水牢は光の奔流に
あっけなく砕け散った
あハは アはハ
私の不死 私の執念
私の魔女としての力
それを知らなかった
人間たちよ
お前たちは甘かった
私の勝ちだ
さあ 過去へ戻ろう
あの男を探し出し
不死にして 拷問し
復讐を成し遂げよう
もちろん──
恋人も 家族も 友人も
上司も 後輩も
あの男に関わる者すべてを
捕らえて
目の前で壊してやろう
原形が留めないほどに
あハは アはハ
この先のことを思うと
なんて愉快だろう




