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【また会おうねこの世界で】要約版
忘れたくない
記憶ほどぼやけていき
失いたくない
感情ほど褪せていく
私は病に蝕まれ
身体が動かすことも
自然と話すことも
できなくなっていく
そうすべては病のせいだ
初めはね
私も家族も大丈夫だって
思ってた
きっと何となるって
でも現実は甘くない
私に──
『奇跡』は起きなかった
◇
私にとって
一番怖いのは『忘却』だ
忘れてしまったら
二度と思い出せないのだ
だから私は
ノートに日々を刻む
写真を貼り思いを綴る
生きた証を残すために
もうペンが持てなくても
お母さんが私の言葉になる
お母さんに
伝えたいことがあるの
“あ り が と う”
私は笑えただろうか
ああ……
一筋の涙がこぼれ落ちた
お母さんは泣き顔を殺して
にっこりと笑ってくれた
その笑みは
最期まで消えなかった
本当だよ
私は確かに今生きている
大好きな家族を愛して
学校の友達と笑って
病のせいでたくさん泣いて
この世界にいたのだ
だから
私の命が消えても
この身体が骨になっても
私の生きた証は残る
家族や友だちの心の中に
綴ったノートの中に
そして
生まれ育ったこの地に
旅立ちの時──
「さようなら」は言わずに
『また会おうね、この世界で』
※詩集(現行版)に、正式な詩があります。




