表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

 大陸の東にある島国、ニホン。その片隅の、とある村に一人の少年がいた。

 名の通った剣術道場の息子で、才能にも恵まれていたが、次男坊であり跡継ぎではない。将来はどこかへ仕官をと思い、黙々と剣の腕を磨いていた。

 そんな中で、少年は旅人たちから海の向こうの伝説を聞き、大きな憧れを抱くことになる。

 声変りが終わる頃には、「世界へ修行の旅に出たい」と思うようになっていた。


 少年の幼なじみに、一人の少女がいた。

 神職の家に生まれたが、学問の成績が優秀だったので、街の学校へ留学。そこで政治経済地理歴史などなど、世界のことを広く深く学んでいった。

 そんな中で、少女は古今東西の様々な伝記に触れ、大きな憧れを抱くことになる。

 体つきが女らしくなる頃には、「世界で学問を活かしたい」と思うようになっていた。


 少女の留学期間が終わり、帰郷した時。二人は互いの夢を語って意気投合し、それぞれの家の了解を得て、共に旅立つことになった。剣を高めるため、見聞を広めるため、ということで。

 そう、二人の目的は、目指すものは、一致していたのである。


「森で暮らし、風と語らう、高潔で気高い種族、エルフ。人間とはあまり関わらないが、巨大な悪に対しては人間と共闘することもあるとか。会ってみたい。そして伝説の英雄のように、エルフの少女と恋仲に……いや、その、それは自然にそうなったらという話で、あの、」

「人間とは異なる文化や技術を持つ種族、エルフ。今は人間とはロクに交流していない。もし、彼らと本格的に交易ができれば、双方にとって大きな利益になるはず。その開拓者となれれば……世界の歴史に名が残る! 魔王の打倒なんて空想物語ではなく、現実の偉人伝として!」


 ♪西にはあるんだ エルフの国が♪

 二人は、夢を歌い上げながら海を越え、西の大陸の地を踏んだ。


 その頃。大陸東端の国の、ある山奥にて。

「ふむ。どうやら我々は、エルフという名の種族である、と認識されているようですね。森の妖精とか何とか。何ともメルヘンなこと。しかし変に探られるのも困りますから、話を合わせておくとしましょう。私はエルフ、私はエルフ、と」

 この山の中で、道に迷ったり獣に襲われた者を助けてくれる謎の存在が、周辺の村や街の噂になっている。耳の尖った美しい少女、「お山のエルフ様」。その山で今、異変が起こっていた。


世界のコンピュータRPGの原点であり、

日本人にとっては「ドラゴンクエストの元ネタ」である、

アメリカ産のゲーム「ウィザードリィ」。

もちろん何十年も昔の作品。その中に既に「エルフの忍者」はいました。


つまり。今、日本のアニメやゲームなどで、

剣と魔法のファンタジー世界に美少女くのいちなどがいるのは、

「西洋のものに、日本人が自分らの文化をのっけてる」ではありません。むしろ逆輸入。

剣と魔法の世界に忍者がいるのは、西洋でも昔からの伝統です。


無論、当時のウィザードリィの開発スタッフが、日本でのセールスを

意識したはずありませんからね。ごく自然に、そうなったということ。

このことを、現代日本人はちゃんと知って、誇るべきだと思います。


チャイナドレスも青龍刀もない西洋の地に、日本刀を持った侍はいたのだと。

ドラゴンクエストもファイナルファンタジーも誕生してない古き時代から、

エルフの魔法使いやドワーフの戦士と肩を並べて、

忍者はダンジョンに挑んでいたのだと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ