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渡る異世界はくっころばかり?

 自分はコ◯ンでも金田◯少年でもないことは知っていたが、このときはちょっとだけショックを受けた。

「じゃあなんで、この世界の事や帰還魔法を知っているの?」

 天野さんは厨二病で現実と妄想の区別がつかない、というのが一般的な解釈だろうが、それだと破壊光線が出せた理由が説明できない。いっそのこと夢オチだったらいいのにと思ってしまった。

「私は異世界召喚が行われることを知って、あなたたちのクラスに転入したの」

「それは質問の答えになってないよ」と青木。それをこれから話すんだろう。本当に空気が読めないやつだ。

「私の目的は、あなたたちを無傷で日本に帰すことよ」

「へえ、天野さんは政府の人間? 内調とか?」

 青木の質問にしてはマシな方だが、今する質問じゃないだろう。

「北◯◯に経済制裁と遺憾砲しか撃てない政府に何を期待しているの? 私の依頼主(クライアント)は神様よ」

 天野さんは毒舌な電波系だったのか? いや電波女に光線は(以下略)。

「さっきも言ったけど、異世界召喚は禁忌なの。次元の壁に穴を開けるのは危険なのよ。高次空間との干渉によって空間の相転移が起きると、物理法則が書き換わって宇宙の全生物が死滅したり、宇宙そのものが消滅する可能性があるの」

 話がファンタジーから、一気にSFになったな。

「だとしたら、俺たちが日本に帰るのも危険じゃないのか?」

 青木、少しは空気を読めよ。

「すでに彼らが開けた穴を再利用するだけだから、リスクは増えないわ」

 それを聞いて、クラスのみんなの間に安堵した空気が流れた。だが私は天野さんの言い方が気になった。リスクは「ない」ではなく「増えない」だ。

「異世界召喚があらかじめわかっていたのなら、それを事前に阻止することはできなかったのか?」

 直接訊くのは何となく危険な気がしたので、別の方向から質問してみた。

「できたけど、将来のことを考えたら一度はこちらの世界に来る必要があったの」

「それって、俺たちもチートをもらえるってこと?」

 どうしてそういう発想になる? 青木は実は厨二病だったのか?

「そうじゃない。彼らが二度と異世界召喚をできないようにする必要があった。だからこちらに来て処置をする必要があったの」

 その言葉で、一気に不穏な空気が広がった。

「天野さん、まさかまた人を殺すつもり?」

 そう訊いた大竹さんの顔色は真っ青になっていた。

「そうだけど、何か問題がある? 彼らは私たちの宇宙が滅んでもいいと思っているのよ」

「だからって、私たちが同じことをやり返していいってことにはならないでしょう!」

「それは人間の論理ね。そんなことを言ってるから遺憾砲しか撃てないのよ。私の依頼主(クライアント)の論理じゃないわ。自分の庇護下の人間が最優先、それ以外はどうでもいいの。こっちが手加減した結果、宇宙ごと滅ぼされてもいいの?」

 遺憾砲と最後の部分だけは説得力を感じた。

「それに彼らは人類(ホモ・サピエンス)じゃないわ」

 そう言うと天野さんは異世界人の死体の山に近づくと、男性の死体を引っ張ってきた。鎧は着けていないが腰に剣を差しているので騎士だろう。何をするのかと思ったら、どうやったのか一瞬で下半身の着衣を剥ぎ取った。一部の女子からは悲鳴が上がったが、多く人間はその光景に驚いて目が離せなかった。

 露出した股間には、女性の性器が付いていたのだ。

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