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91.miyucoルート①



 「こんにちは。さと寸さん」



目の前に現れた美優は、白と水色を組み合わせたパステル系の、それでいて上品な感じのワンピースに、頭には同じ色系のカチューシャ、ワンピースの上にはそれに合うような淡い紫とピンクが合わさったような、これまた上品な感じのコートを羽織って、こちらを向いてはいるが目を合わさずモジモジしている。



(うーんやっぱ持って帰りたい。持って帰って愛でたい位の可愛さだな……。なんだろうかこの可愛いさは。やっぱマジで一回高橋ちゃんにこの娘を一日貸出しレンタル出来るか頼んでみるか)



 俺のバカな妄想をよそに美優ちゃんは、



「急にお誘いしてすいません。今日は会ってくれてありがとうございます……」


「いや、俺もちょうど空いてたからさ、気にしないで。誘ってくれてありがとね」


「は・はい……」



(くぅ〜っ。もう、何でこんな緊張してんのよ私っ。だめだめっ! 今日はせっかくのさと寸さんとデートなんだから、もっと楽しまなきゃ! 今日はずっとさと寸さんを独り占めするんだもん! こんなモジモジしてないで、ちゃんとさと寸さんの顔をみなきゃ! 目を合わせるのよっ!)



「近くで会ってもよかったんだけど、せっかく秋波原に来たことだし、ちょっと寄りたい所があるんだけどいいかな? 美優ちゃんはどこか行きたいところある?」


「あ……は、はい。あの……スイーツのお店なんですけど、さと寸さんの行きたいとこの後で一緒に行きたいです。……さと寸さん、甘い物は大丈夫ですか?」



 そう言った後、意を決し、悟の顔を見上げる。



「うん。大好きだよ」



 ボッー!!



 目が合った途端、悟からの返事を妙に意識してしまって顔に火がついたように赤くなり、慌てて目を逸らす。


 

(もうっ! なんなのよ〜っ! さと寸さん、ズルいっ! ズルいわよっ! いきなり告白だなんてっ! ……だめだめっ、私、意識し過ぎちゃって、今ちょっと隠れたいっ)



「じゃあ行こうか」


「……は、はいっ!」



 妙にかしこまった返事をしてしまい、思わず悟が、



「ひょっとして美優ちゃん、緊張してる? 大丈夫?」


「だ、大丈夫ですっ」



 美優の緊張は収まらないまま、下を向いて恥ずかしそうに悟の横に並び、2人は秋波原の街を歩き始めた。


(美優ちゃん、結構緊張してるな……。そうだよな、美優ちゃんの年にしたら俺はいいお兄さんだわ。俺がしっかり美優ちゃんをサポートしないとな……。よし、俺が今まで磨いてきた美少女攻略テクで美優ちゃんをエスコートしてあげよう。こんな妹風な美少女とのシチュ、今まで何回もこなしてきたぜっ!)



 え〜っと……。



[学校はどう? 楽しい?]

[今日の服、可愛いね。]

[秋波原はよく来るの?]



 ……おけ。決まり。


 悟は瞬時に幾つかの会話の選択肢を頭に並べ、迷いなく選択する。



「2人で遊ぶのは初めてだね。よく秋波原にはくるの?」


「はい……ゲームと服とかの買い物の時に……」


「そっか。最近は何か面白いゲームある?」


「クロスメイド・クリスタル、クロクリのDLCが先週出たばっかりなので、今はそれをやってます」


「ああ、あれ面白いよね。あのケーキ屋での選択、あそこで[いいえ]を選択をすると、まさかのシェムちゃんとルイポちゃんが結ばれるっていうレアなコースがあまりに熱くて、俺おんなじルート2回もやっちゃったよ」


「うふっ。そうなんですねっ。あ、そうだ、さと寸さん、教会での選択のレアルート知ってますか?」


「えっ? 何それ?」


「教会の降臨祭が終わった次の日の選択シーンで、一旦みんなと一緒にいたいって選択した後にその次の選択で一番嫌われる選択をするとシェムちゃんがコーヒー吹き出しちゃってルイポちゃんが火傷して2人が争ってそれからみんなを巻き込んでまさかの……あ、これ以上はやめときますっ! さと寸さんの楽しみを奪ってしまうところでした……すいませんっ! 私、ゲームの話になるとつい興奮して早口になって止まらなくなっちゃって……」



 美優は下を向き、恥ずかしさを隠すように下を向く。


 大好きな美少女ゲームを話す時はいつもすぐにスイッチが入ってしまうが、でもある意味、殻を破って自分らしくいられる美優。



(やっぱ……こういうとこも可愛いよな……)

 

 悟はそんな美優が可愛いくて健気で愛おしさにも似た感情を抱いてしまう。



(ああ……しまったわ。思わず素が出てしまいそうになっちゃった。この前のファミレスでもそうだったし。あぶないあぶない……今日はそういうとこ、抑えないと。

 私は今日さと寸さんと大人のデートをするんだからっ! 大人な夢さんなんかには負けてられないっ!)



「いいんだよ。気にしないで。ゲームの話しをする時の美優ちゃん、本当に元気いっぱいで俺も聞いてて楽しいし。大丈夫だよ。それに俺も全部じゃないけどたまに攻略を参考にして先に知る事もあるし」


「えっ? そうなんですか?」


「うん。配信しているゲームは見ないけど、一回やり終わったゲームとか、プライベートでやってるものとかはたまに参考にしてる」


「そうなんですかっ。さと寸さんはどんな攻略サイトを見てるんですか?」



(あたしのサイトも見てくれてるのかしら……まさかね)



「そうだね〜っ。色々見るけど、やっぱり一番よく見るのは……ルルーラ美少女図鑑かな。美優ちゃん知ってる?」


「えっ!?」



(今……さと寸さん、ルルーラって言ったよね……)


「ルルーラ美少女図鑑。知ってるかな?」



(ぎゃーっ!! 見てる見てる! さと寸さん、私のサイト見てるっ! どうしようっ!)



「ルルーラ美少女図鑑はゲーム専門というか、美少女好きな人達が集まっていろんな美少女を上げてるサイトなんだけど、たまに売れ筋の美少女ゲームの紹介や考察、ルート攻略とかも上げてくれるんだよね。しかもめっちゃ詳しいの。今のところ自分のやってるゲームがアップされてたらルルーラ見ておくと間違いないって感じで、いつもよく見てるよ」



(……そりゃあ、あんなサイトやってたら誰かしら見てくれるてるだろうけど、まさかさと寸さんまで……! でもそうよね……さと寸さんほどの美少女ゲームプレイヤーならあのサイトを知っててもおかしくないわっ。自分で言うのも何だけど……。

 でも私、どう反応したらいいのかしら…)



 私は……。



[はいっ。知ってますよ。あのサイト、実は私が作ってるんです。(本当の事を言う)]


[えっ? 知らないですっ! よかったら教えてください〜っ! (甘えたmiyucoで話を進める)]


[知ってます。私も見てます。あのサイト、いいですよねっ! (とりあえず今はスルー)]



 どうしよう……う〜ん……。



「はい……知ってますっ。私も見てます。あのサイト、いいですよねっ!」


「そっか、美優ちゃんも見てるんだ。あの桜ミンミさんの絶妙な紹介文やアドバイスもいいよね。必ずサイト覗いたらチェックしちゃうもん、俺」



(ぎゃ〜っ! その桜ミンミも私なんですけどっ……。思わずスルーしちゃったけど、やっぱ言っちゃったほうが……でももうタイミング逃したし……。今の今で本当の事言ったら嘘つきって嫌われちゃうかな……それとも正直に素直に話したほうがさと寸さんの好感度は上がるかな……。でもでも……。うえ〜ん。どうしよ……)



「あ、あの……」


「ん?」



 モジモジ……モジモジ……



 美優は立ち止まって伏し目がちのまま、両方の人差し指をチョンチョン合わせる仕草をしている。



(……うん? どした? またなんかモジモジしてるぞ? 何でこんなにもモジモジしてるんだ? ……っていうかなんだこの可愛いさはっ!! ……マジで持って帰りたい……。そうだ、もう僕の妹になってくれないか)




 2人して立ち尽くし、それぞれの心の中の妄想は勝手に広がっていく……。



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