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なげやりクリティカル  作者: さと丸


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54/113

54.木葉姉さん、お願いします


  7年前…私の前から急に居なくなった悟に、私の今までの想いや、悟に言いたかった事をぶつけた日から、それから私はもっと漫画が描きたくなっていた。


 毎日毎日、描いても描いても描き足らなくて、もっともっと描きたい、私の表現したい事、漫画で出来る事は全てやりたい、ストーリーも、悟の褒めてくれた絵も、もっともっと追求したい。


 アイデアやネームが行き詰まった時は、そんな時はただひたすらに絵を描き続ける。そうやって描き続けていると、もっとこんな絵を描きたい、もっとあんな絵も描いてみたい、という欲求が出て来て、それを漫画に落としたくて、するとその絵が活かせるようなストーリーやアイデアがふっと沸いてくる。



 何かが吹っ切れたのか…それともただ調子が良いのか、自分でも理由はわからない。それよりも今、漫画を描くのが楽しくて楽しくてやめられない…。



 ふと、デスクに積み上げた原稿用紙に目をやる。



「大分たまってきたな…。このままのペースでいったとして……もう一度2人の出会いのシーンに持ってって…あとは最後のいくつかの候補パターンを一つに絞ってまとめていけば、思ったより早く描き終わるかも知れないな…。描き上げるのを頑張ってきたけど、いざ終わるってなると寂しいな……。

 でも…そしたら……思い切って応募してみよう。

  あと……悟にも見てもらおう」



  やっと、ここまでこれた。




 ー 私にも、こんな力があったんだ。ー




 ……よしっ。あと少し! 頑張らなくちゃ! 






「………。」


「それきっと、悟君に告白されたからだよ」


「えっ? ええっ!? 何で? 何でよっ!?」


「そりゃあアレよ。愛の力ってやつよ」


「ふざけないでよっ! そもそも私、アイツに対して告白はなかった事にするって言ったもん!」



 実は夢は、先日の悟との電話の数日後、木葉に、悟から告白された事、7年前に起こった、誰にも話していなかった、ずっと一人で抱えていた気持ちを、そしてその悟からの告白を受け入れなかった事を木葉に話していた。


 先日2人で会い、ディスティニーでの話しをしているうち、夢が泣き出してしまい、木葉は慌てて夢に問いただした。初めは悟が夢をフッたのかと誤解して怒っていたが、どうやらそうではなかった。どうやら2人の間には誰も入れない、世間一般の恋愛とはまた違う、不可侵の世界があるのだとわかった。



「いやいや、以前あなた、『わたし最近、漫画描けなくって〜っ』って言っててさ、でもディスティニー行く前、悟君とご飯食べた後、『また少しずつ描けてきた』と。で、パフェ食べた時、悟君からのアドバイスで『泣いちゃって』、しまいには悟君からの電撃の告白後、『今めっちゃ描けてる』んでしょ? それ、悟君の影響以外の何者でもないじゃん? 恥ずかしいから、何回も言わせないでよ? それ。愛の力だから」


「え〜っ…え〜っ……木葉さん、まって」


「悟君に全部ぶつけたんでしょ? 7年間のあいだ苦しんだ事や悲しかった想いとかさ、それ、初めは憎しみの気持ちで言ってたのかも知れないけど、結果、7年の間ずっと必要でそばにいてほしかった悟君に聞いてもらえた事で、夢のその未成仏な思いが成仏したって事よ。

 

 アタシにはきっと出来なかったよ。結局夢がそれに納得してなくても、事実、何度か悟君きっかけで漫画が描けるようになったのは夢が一番よくわかってるでしょ? 意地はってないで認めなさいっ、悟君には黙っててあげるから」


「べ、別に悟に言うとか言わないとか……そんなの別に頼んでないし、弱味握ったって雰囲気出さないでよっ! とにかく今、漫画が楽しくて沢山描いていられるのが楽しいのっ! 実際、悟の事なんて何とも思ってないし思い出さないし。漫画と悟は関係ないんだもん!」


「そりゃそうよ? 漫画と悟君は関係ないよ? 元々別のものだよ。ただ、悟君の影響を夢が何かしら受けて、漫画がまた描けるようになったんじゃないの? って。そこんところは事実なんじゃないの? って。そこは認めなさいっ」


「う〜ん。…う〜ん……何か………やだ」


「これっ! 子供みたいな事言わないのっ! 何で夢はそう頑固で意地っ張りかなっ!? ……いいよ? 別に認めたくなかったら認めなくても? じゃあ…アタシが……とっちゃっても、いい?」


「えっ?」


「悟君のこと。だってあんな真っ直ぐで天然で可愛いくて、好きな人の力になってくれるって人、そうそういないよ? あ、夢には力になってくれてるんじゃなかったか…失礼失礼」


「もうっ…。ふざけないでよっ」


「いやいや、仮にふざけてたとしても、実際にはあんな人、何かのキッカケで惚れちゃう女の子がいたら、きっと奪いに行っちゃうよ? 悟君、女性に慣れてる感じしないから、すぐコロっといっちゃいそうだし。

 夢がそうやって意地張ってたら、そのうちどっか行っちゃうぞ! 女ってのはしたたかだぞ? その為なら、近くにいる女性…たとえ夢にでもスルスルって懐に入ってくるぞ? そうやって油断してるうちに、気が付いたら、じゃ〜ね〜って狙った男と腕組んでどっか行っちゃうんだぞ…うん……本当だぞ? これ…。あれ? グスン。……あれ? 何でこんな悲しいんだ? そうだ…これ、私の実体験だ」


「もう、木葉ったら、あんまり私をからかわないでよね。……悟は悟、私は私。もう会わないって訳じゃないし、今は本当にただの幼馴染だから心配いらない。わざわざありがと。大丈夫だから」




(まぁ、本当に心配するだけで済むならいいんだけどね……しっかり見てなきゃだめだよ、夢)




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