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32.そろそろ話す時がきたようだ

 俺の目の前に出された普通のカフェラテこと「デトロイトクラッシュラテ」はある意味、俺の予想を裏切った。


 …何だよ、このオチは。

せめてもうちょっとこう、何か…何かあってもいいだろ! これじゃふっつーのカフェラテじゃねーか!?

 ドクロのラテアートが描いてあったりとか、口に入れたらパチパチするやつが入ってるとかやたら辛いとか、何かもうちょっとなかったの!?


 せっかくこの店の世界観を受け入れ初めたものの、俺はやりきれない気持ちで美少女2人が頼んだ物をある意味羨望の眼差しで見ていた。


 木葉のはイチゴパフェをベースにキャラメルやバナナやよくわからん紫のソースが掛かっていて、しかもそのてっぺんから何か金箔のような物が大量にふりかけてあり、しかもデカい。おそらく3人前位のハンパない量のパフェになっており、夢のほうもやたらバカデカい、こちらも3人前レベルのホットケーキの上にこれでもかと大量のホイップが乗り、星形にカットされたバナナやチョコチップが所狭しと並べられており、それらを溺れさせるかのごとく、大量のハチミツが掛けられている。よく見るとホットケーキの一枚一枚の間にはイチゴやキウイが挟まっている。何だこれ。


 2人の…とまでは行かずとも、名前が短いからってこんな…こんなただ何の変哲もないカフェラテなら、俺は駅前のスタビでもよかった。……何か負けた気がする。


 フォークでバナナを器用に重ね刺ししながら木葉が、



「夢と悟君はどうやって再会したの? 夢はSNSやってないし何か他の方法があったの? まさか出会い系アプリとか?」



 地味にただのカフェラテ(いや、デトロイトクラッシュラテだ!)を飲んでる俺に、キラッキラの好奇心バリバリの視線を向け俺に聞いてくる。



「いや、まあ何て言うか、本当偶然なんだ(俺は奇跡と思っている)。秋波原でビルに入ろうとした時、俺も夢もそれぞれ入り口のドアに手を掛けてて、その時お互い気付かず、ドアを開けて入ろうとした時に肩がぶつかって」


「え? 何それ? すっごい地味だけど、そんな事あんの?」


「いや、まあ……地味と言えば地味なんだけど、会った時のインパクトって言ったらもう、お互い…な? すごくびっくりしちゃって」


「うん。私もあれ? って最初はただタイミング悪くぶつかっただけと思って謝ろうとしたんだけど、相手の男の人が、悟が固まっちゃってて、この人、大丈夫かなって思ってるうちに、あれ? この人会った事あったっけ? あれ? って、お互いちょっとの間、見合っちゃって。でって感じ」


「でって感じか。すごいね。どんだけの確率なんだろうね。ってかもう、確率ってレベルじゃないよね、それ」


「うん。もうあの時の事は本当今思っても何か確率とかそういう事で片付けられないなって思ってる。やっぱ、出会うべくして出会ったというか、な?」


「何でそんなドヤ顔なのよ。私は私でその時色々思う事があって、ちょうどその頃悟の事を思い出してた時だったから、私としても本当にびっくりした。でも確率とか出会うべくして、とか、悟のロマンチックなとこにはちょっと付いていけないけど」



(色々思う事、思い出してたって……ああ、晃弘君の件か)



「とにかくすごいよね。それにちょっと憧れるなー。

幼馴染との再会って、もうそれが異性ならただの再会じゃなくて『運命の再会』だよ! それは」



……そう言われると、やっぱそうっすよね? 

 何か、照れます。木葉ちゃん。



「まあ、運命かも知れないけど、ただ会う運命ならそんなのどこでもあるんじゃない? こうして木葉と悟が出会う事もさ。それも言っちゃえば運命でしょ?」


「そうなんだけど〜っ! そうなんだけど、私と悟くんは元々知らない者同志だった訳じゃん? そういう形の運命の出会いなら、みんなそれぞれこれからも起こる事でしょ? 私が言いたいのは、一度別れてしまった、もう会えるはずのなかった遠い思い出のあの人にもう一度出会えた事が『運命の再会』だって言いたいのっ! わかる?」


「まあ、わかるけど、映画とかドラマとかでもよくあるけど、実際悟に会ったらそんなでもなかったよ?」


「おいそこ、口を慎め。どストライクに正しい事を言ってる木葉ちゃんに失礼だぞ。俺も『運命の再会』については全くもって木葉ちゃんと同意見だ。どうして夢、お前はこう、ロマンというかメルヘンというか、俺でさえわかる乙女心がわからないかな〜」


「いやいや、そうじゃなくて! そうじゃなくてだよ? 私はアンタに特に運命的なものは何も感じなかったって事を言いたいのっ! まあ、兄貴と再会してくれたのは本当によかったけど…あっ…!もういい。この話しはおしまい」


「……およよ。何か隠されてますな〜っ。明らかに夢殿は今、何かを隠されたぞ?」



 木葉ちゃんはきっと鋭い子だろうな、そうなんだろうなって…そう思ってた…思ってたけど、今は夢にツッコまないで。



「まあ、とにかく2人共全然進んでないから、食べようよ? しっかし本当デカいな〜っ。そのパフェもケーキも」


「なに? ほしいの? あげないからね」


「うん。自分で頼んでほしいかもです」


「いや、いらないって。食べたくなったら自分で頼むから」


「それなら早く頼みなさいよ。こっちはゆっくり食べてるけど、後で悟一人食べてるのを待ってるのなんて、退屈でしかないから」


「まあまあ、夢もそんな冷たい事いわないで。……よかったら、一口、食べる?」


「……!!?」


「……!」


「い、いや…俺は何も、そこまでそんな・あの……食べるなり自分で注文すっから…いま、そんなハラ減ってないし……」


「え〜っ!? やだぁ! 悟君なんかまた、どもっちやった! 何? 食べるなりって! ウケる! 何で? 何でそんな可愛いの? 初々しいの? 初めて? 間接キッスは初めてなの? 実は?」



 俺は平静を装い、うつむいて目をつむりながら無言で、木葉ちゃんに手のひらを見せ、前後に動かすジェスチャーで結構ですと応えた。



(……キッスて! キスじゃなくキッスて! 言われる方が恥ずかしいわ……くそっ!)


 



 どうやら、時は来たようだな ー

 


 ……わかった。告白しよう。



 俺は、何を隠そう一度も女性と付き合った事がない。


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