3.言い合い迷子
「とにかく、兄貴に会ってくれないならそれでいい。別にどうしても悟にって訳でもないし…。ただ何か今、悟に話しちゃっただけ、そう思うようにするから。」
「何だよ、そのうしろ髪引くような言い方。会っては欲しいんだろ?」
(おいおい…もうちょっとマシな言い方ないのかよ、俺…。)
「久々に会ってそんな事言ってくるって事は、よっぽどなんだろ(頑張ってる、俺)?よっぽどな事なんだろ?……そういえば今夢はどこに住んでるの?」
「秋波原。」
「マジか!?いや、何のマジか!?かわからんけど。」
「悟は?」
「俺は、天央寺」
「ふ〜ん、そっか。」
「今日はたまたま…こっちのほう、秋波原の方まで出て来ててさ。」
「買い物?」
「うん。新しいカメラが欲しくて。秋波原なら電気屋が多いし、値段も比べられるし。」
「秋波原、よく来るの?」
「たまにね。電気屋メインだけど。」
「買ってないの?」
「え?」
「カメラ。」
「あ、まだ決められなくて…。2・3件見てみたんだけど、ちょっと迷ってて。色々見てるとこだわりがで出て来て、なかなか決まらない。」
「…悟ってそんなだっけ?」
「…ん?何が?そんなって?」
「そういう…こだわりというか、優柔なとこ。」
「そんなだったと思うけど…思われるけど!」
「何でちょっとキレてんのよ。」
「いや…何か、何かを守ってしまった。」
「バカだ」
「知ってる」
「…。」
「……。」
何か、もどかしいような…会話が上手く噛み合わない。時間の流れとか、どうしようもない事とか色々、わかってたけど…もっと、こう……
「きっと道ですれ違ってたら、わからなかったよね。」
「…俺はわかるけどね。何せその無理目だし。」
「え?何?」
「いや、俺はわかるよ。さっきだってわかったし。あんな事がなくったって、俺は道ですれ違うならきっと気付く、いや、気付くからすれ違うって事はないな。」
「いや、さっきなら、私だって気付いてたよ?」
「えっ!? じゃあ何で声掛けなかったの?」
「あれ?って思ったけど、もし違ったら…って。」
「それはこっちも同じ条件でしょ。俺も思ったけど、勇気出して先に声掛けたから、まあ俺の勝ち。俺の方が先に気付いたって事で。」
「…やっぱ悟、変わってないね。」
「ん?多少は変わったぞ?見た目とか。」
「それは当たり前でしょ。7年も経ったんだから。私が言いたいのは―」
「俺は夢がどこにいてもわかっ…気付くな。」
「そう?わかんないよ。」
「わかるし。その無理目だし。」
「だから何それ?」
「ごめん、何でもない。」
「強気だけどすぐ謝る所も全然変わってない。」
「それも知ってる。」
「私も…相変わらずだけどね…。」
「とにかく俺はいつ夢に会っても夢だと気付くな。」
「何…その自信…。」
「ふへへ。キモいだろ。」
「いい加減ポテト食べなさいよ。クタクタになってるでしょ。」
「え?俺?頼んだの、夢じゃん。」
「もうクタクタになってるから、美味しさ半減してるでしょ?」
「いやいや、色々物申したい事あるけど…俺?俺が食べるの?」
「あたしのおごり。」
「いやいや、何でドヤ顔やねん。」
「フードロスって知ってる?」
「逆に聞きたいわ」
(ああ…何話してんだろ…俺。)