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なげやりクリティカル  作者: さと丸


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23/113

23.おい それレアアイテムだぞ。

「まあ、とにかく……あれだ、今日の事は俺にも責任があるし俺もすぐ夢に連絡すればよかった。そんな気にすんなよ。な?」


 あまりに可愛らしいこの思い出迷子を俺はどうしようかと思いながら必死にフォローする。頑張れ、俺。


「私も、ちゃんとLaneを見返してればこんな事にならなかった。面倒掛けちゃって、ごめんね」


「もういいよ。とにかく今は無事に会えて何よりだ」



 ある意味可愛げのない生意気な、そして放っておけない真っ直ぐな夢は、やはりヒロインらしい、一筋縄では攻略出来ない要素を持っている。

 

 自分がどれだけ無理目な容姿をしているか、自分でわかっているのだろうか。お前みたいな手を焼く(?)性格でも、知らぬ間に沢山の男性を無自覚であれ虜にしているお前はある意味立派なインフルエンサーだ。ありとあらゆる美少女のテンプレパターンを網羅しているであろうその美貌はわかっていてほしいような、ほしくないような。


 いや、これで自分の容姿に頼るような女性なら、ある意味こんな()()()女性にはなっていない。ましてや今、目の前にいる幼馴染にこうしてわざわざ何度も会う事はないだろう。常に目先だけを見据え、何を利用してでも自分の幸せ第一優先、俺の事などハナから眼中にないだろう。……いや、今もないかも知れんが。


……っていうか俺、屈折してないか? どうして三次元の美少女に対してこんなにも手厳しい? 二次元の美少女はともかく、三次元の美少女に対して何か恨みでもあるのか? 何かされたのか?




ー 俺は、久し振りに再会したあの日、夢は俺に恋愛感情がない事を薄々気付いていた。


 

 しかし、それでもこの積雪のような想いを伝えたくて、伝えれば夢もきっとこの想いに応えてくれるはずと信じて疑っていなかったのだが、いざ7年振りに会い今の夢と向き合い続けているうちに、いかに自分が独りよがりな考えで過ごし、そして夢を見ていたのかと独りごち、自分の無力さを痛感した。


 ただ、再会して以来、こうして連絡を取ったり会えたりしている事は無駄じゃない。今はまだストップのサインが俺の頭の中で点滅している。いつかきっと俺の中でGOサインのランプが点灯した時は……その時は満を時して夢、お前に俺の想いを伝えるつもりだ。



「持ってきた…」


「ん?」


「持ってきた漫画だけど……何にしようか悩んだけど結局今描いてる、完結してないんだけど、それを持ってきた」


「おっ。ありがと。でもいいの?今描いてるって…これ、借りても大丈夫なのか?」


「うん。ある程度頭に入ってるし、ギリギリ直近のは家にあるし。でもなるべく早く返してくれると助かるけど」


「わかった。2分で読む」


「バカなの? ……はい」



 夢から製本されてない、ある程度の束の原稿用紙が入った布製カバンを渡された。



 ほんの一瞬、特に手入れしてないと思われるような、しかし綺麗な指先に触れる。



「一応、雨が降っても万が一濡れないように中の原稿はビニールに包んであるけど、普段持ち歩くことがないからどうやって持ってきたらいいかわからなくて」


「わかった。気をつけるよ。ありが ー」


「絶対、帰ってから、1人で読んでね」



 食い気味に夢が念を押す。



「わかってるよ。決して写真撮ったりネットに載せたり、感想動画作って内容晒したり、それで同人誌作ったりはしないから、大丈夫」


「もう既に返して欲しいんだけど」


「いや、それならそれで今ここで急いで読むぞ?」


「それは困る。 ほんといやらしい」


「いやいや、まあとにかくちゃんと読ませてもらうよ。漫画に詳しい訳じゃないけど、そういった奴に読んでもらうのも、何かしら夢にとって参考になるだろ? 読んだらちゃんと感想伝えるから。ネットで」


「もう返せ」


「ごめんごめん。 もう言わない」



……俺は夢の漫画の入ったカバンを脇に置き、尋ねる。



「どっか、飯でも行くか? ある意味疲れただろ? 何でもは無理だけど、漫画のお礼にご馳走するぜ?」



 屈託なく、幼馴染ゆえ遠慮なしに、さりげなく飯に誘ってみる。



「……いや、いい。何か悟にずっと漫画持ってられてると、恥ずかしい」



……どういう感情だ。それは。

 なんか、信用あるのかないのか、ちょっと悲しい。

 


「そっか。じゃあ漫画一回、返そうか?」



こんなカウンター喰らったら、夢も……どうだ?



「わかった……。でもご飯食べたら、すぐ帰るから」


「おけまる。 じゃあどっか食べに行くか。

 何がいいかな〜……そうだな……あ、この前行ったあそこは……」



「だから……ダサいって おけまるは」



 俺は夢と何を食べに行こうか考えるのに夢中で、夢の言ってる事は聞いていなかった。



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