13.テキスト通りにはいきません
おいおい、何で夢が俺の配信を観てるんだー?
この前、夢に動画配信をやってるとは言ったが、どんな動画かも、ましてやチャンネル名すらも教えてないぞ?
……一体、どうやって俺の動画を見つけたんだ?
「マジかよ チャンネル登録、してくれた? ってか、本当に俺の動画なの? だとしてもよく見つけられたな」
矢継ぎ早に思う事を羅列し、送信してしまった。
ー 自分のチャンネルのアナリティクスを見ればチャンネル登録者数の変動は大体わかる。しかし、俺は夢に直接聞きたかった。
「さと寸の美女ゲーチャンネルってやつでしょ? たまたま流れてきて、しかも間違いなく悟の声だし チャンネル登録したよ」
「そっか まあ、そのチャンネルだよ 登録ありがと でも何で夢の方で流れたんだろうな 俺のチャンネル、正直まだそんなに登録者いないのに、謎だっていうか、そもそもそんな偶然ある? それともひょっとしてストーカーか? お前」
驚きを隠しつつ、なるべく平静を装って探りを入れてみる。
「何でそんな失礼な事言うかな 登録、解除しちゃうぞ? ピヨって知ってる? ゲーム実況の その人の動画を垂れ流して観てたら、勝手に他の人のチャンネルに移ったみたいで、そのまま流してたらいきなり悟の声がしてビックリして、気になって動画を観続けてたら色々気付いた」
そっか……そういう事か。
しかし自動再生とはいえ、ピヨの続きに流れるなんて、思ってもみなかった。
この前、軽くバズった「ガリクロ」の再生数が登録者数に似合わず異常に伸びたから、その影響か? とにかくある意味、ピヨに感謝といったところか。
しかし偶然にしても、何か、恥ずかし過ぎる。
ましてや夢に観られるとは。登録者数が増えるのは嬉しい意外の何者でもないのたが、何か嫌な予感がする……。胸がざわつく。
「そっか 見つかるとは思わなかった とにかく登録してくれてありがと」
「次会った時、また色々聞かせてねー 別に興味ないけど、聞いてやるから」
相変わらずの憎まれ口を叩きながら、夢は何故か上から目線のスタンスでメッセージを送ってくる。
まあ、これから夢と会っていれば遅かれ早かれどうせバレることだし?そんな気にしちゃいないけど?
うん。全然。……大丈夫、のはず。
「うん 別にたのんでないけどな よろ」
軽く夢に乗っかって返信し、家路へと急ぐ。
ー しかし……しかし何だこの胸騒ぎは。
「……いやいや、何ざわついてんだ? 俺は」
何でこんな後ろめたさにも似たような気持ちになるんだ? 夢は関係ないだろ?
ただ好きな事をやってる事を夢に知られたからって何だっていうんだ?別に気にすることじゃないだろ?
俺は俺だ。好きな幼馴染に何を言われても俺は俺のやりたい事をやるだけ、夢にどう思われようがそれはまた別の問題。関係ない。それに俺が夢と美女ゲーが好きな事には変わりない。だよな。
「まあ、とにかくまた夢に会えるんだし、それまで動画アップ頑張るか。高橋ちゃんも観てる事だし、気合い入れてやるしかねえな」
俺は俺の進む道を歩む。
口にすると格好は良いが、何だろ、この一抹の不安は。




