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なげやりクリティカル  作者: さと丸


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12.アンチの存在

「今日は怒涛の忙しさだったな……まあ、だんだん慣れてきたけど。しっかし上がり間際のあの10個注文はきつかったな…あらかじめ電話注文してくれればもっと早く上がれたのに……もう、クタクタだぜ」


 バイトが終わり少々油の匂いがついた体でコンビニに寄ろうとした帰り道、スマホが鳴る。



 夢からだ。



「兄貴の会える日と時間帯、いくつか送るね 都合の良い日を選んでよろ」


「おっ、そうか……」


 晃弘(夢の兄貴)の予定をスマホのスケジュールと擦り合わせる。……う〜ん、なかなか都合が合う日がない。なんせ向こうの会いたい時間が昼間ときた。俺は昼間は大体バイトが入ってる。


 「会えるなら……今んとこ、ここくらいだな」


 俺は夢に返信する。


「ありがと 今のところ会える日は17・18の週末のどっちかだな そこしかない 兄貴は夜とかじゃだめなの? こっちは昼間大体バイトしてる」


 しばらくすると夢から返信が。


「兄貴は17日がいいって 夜はあまり外に出たくないみたい それでいいかな? 場所だけど、兄貴は天央寺まで行くって」

 

 ……まあ、しょうがない。すこし先だが、ここで細かい時間のスケジュールのわがままは逆に面倒だ。 

 

 「おけまる じゃあまた近くなったらこっちから連絡する よろ」


 「はい ださ おけまるって」


 「やかましいぞよ」


 俺はスマホをポケットにしまいコンビニに入る。

「おけまる」というのは俺の好きなギャルゲーに出てくるグラマーで幼さの残る妹系女教師の口グセだ。

 

 「何すっかなぁ〜。今日は牛丼買って、後はバイト先からもらった唐揚げと……あ、プリン食べたいな」


 たまにバイト先からもらう、ちょっとしたオカズの作り置きの余りを店から持って帰ってくる。これは実は大分助かってる。あと一品、何か食べたい、の欲求で迂闊に何かしら買ってしまうとチリも積もればの精神であっという間にお金がなくなってしまう。店長、いつもありがとさんです。


 レジを済ませ店を出た後、俺は歩きながら自分のチャンネルにたまにくるコメントを見返してみる。


 「このゲーム ここで素子を選んどくと後で選択肢が増えるんだが」


 「あんまり気の多い選択しないほうがいいよ 決められないのはわかるけど もうちょっと誰にしたいのかハッキリしないと観てるこっちも何がしたいのかわからん」


 「ついにアスカのシーンでさりげないエスコートでまさかの手繋ぎシチュに入って あんなにはしゃいでたのに何で次の週末でミクとのデート選んじゃったの? わけわからん」



 俺の動画に寄せられるコメントは、けっこう手厳しいものが多い。初めはちょっとした事で1日動画を上げられない位、アンチコメントよろしく、メンタル弱々でへこんでいたのだか、いつからか本来そこまで気にしなくてもいい、観たくないなら観なきゃいいし、実際にゲームやってるのはこの俺だ。振り回されないようにと思いやってきたが……。



 どんなコメントであれ、動画を観てくれている事自体ありがたい。



 そうなのだ。



 ……確かに、沢山の美少女に囲まれハーレムよろしく、ある程度自分の好きなようにあれこれと美少女を取っ替え引っ替えに選択出来るのが美少女ゲームの醍醐味ではあるのだが、どうも俺の美女ゲーに対する熱量の方向性が、多少ズレているのかもしれない。


 もうちょっと、初志貫徹というか、視聴者にも俺の真っ直ぐに愚直な熱意というものを見せたほうが動画に一貫性も出て、動画に対する見方も変わってくるかも知れない。



 しかし、この数あるこの失敗の経験も、俺ならではの強味だ。



ー 動画はまず観てもらえないと話にならない。



 これは有名配信者も言っている。確かにそうだ。



 美少女ゲーは基本、あらかじめ用意されたテキストをこなしていくだけだ。そこで一人ずつ美少女達の魅力を知っていき、そうしているうちに美少女達それぞれに対する感情も入っていき、要所要所に出てくる選択肢に時には迷い、葛藤し、そして希望を込めて、ルートを選択しまた進んでいく。


 

 そこには俺の選択一つ一つに、俺なりのこだわりが少なからず入っている。



 ただ、それを観ている人にどう()()()か。どうすればもっと誰もが楽しんでくれる美女ゲー動画になるのか。決まりきったテキストだとしても、どうすればもっと美少女達との恋愛物語に感動できるか、美少女ゲームの素晴らしさを伝えられるか。そこが俺の本当の実力の見せどころだ。そしてそれが俺のやりたい事だ。



 そして、ただ……それが伝わっている人も少なからずいる。



ー 高橋ちゃんが言っていた。



 独特の?言い回し、そしてストーリーに対して揺さぶられるように勝手に上がり下がりするテンション、いつの間にか配信しているという事すら忘れ、計らずとも出てしまう感情。


 ……それらはたしかに俺であり、しかし俺の意図している所ではないー 。


 恥ずかしながらも、自分の素直な部分が出てしまっているだけだ。

 

 でも……その、どうしても出てしまう抑えられない自分の素直さ、感情、弱さを出してしまった上で、真っ直ぐにこの人と思える美少女に突っ走れたら…。



 きっと ー。



「ピピン」



 携帯が鳴る。


 また、夢からのLane ー


「兄貴と会う日、やっぱり私も行っていいかな」


 ん? 来ないつもりだったの? 来ると思ってたんだが。


 「なんで? 来ると思ってたけど? 何か気、使ってくれてんの? 大丈夫だけど」


「あんたの動画 みっけちゃって 色々と聞きたいから」



 ……おいおい。新たなアンチ登場かよ……。




 

 





 

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