幼少期~大人へ それぞれの夢と遥かに続くトライアングル
「私、大きくなったらケーキ屋さんになる!」
「ぼくはパイロット!!」
すかさずたくみが叫んだ。
「どうして?」
と、ひろしが不思議そうに聞いた。
「だって! パイロットの服とか帽子ってカッコイイじゃん?」
「ひろしは?」
「ボクはヒーロー? かな…」
「ヒーロー! カッコイイじゃん!」
目を輝かせながらたくみが言った。
幼い頃に交わした、たわいのない夢の会話。
数十年後、大人になった私達はそれぞれの道を歩んでいて、私はというと ケーキ屋さんになるはずが、たくみの夢に触発されキャビンアテンダントになっていた。
そもそも高校時代に
「ゆいこと一緒に空を飛びたいなぁ」
「なっ!ジャンボ機に乗って俺の操縦で世界の空を飛び回ろうぜっ」
な~んてことを言われ
(それも悪くないかも)と思い、苦手だった英語を猛勉強して今の仕事に就いたわけで…
(ベッ別に たくみのパイロット姿が見たかった訳じゃないけれど)
空港内で制服を身に纏い、颯爽と歩くたくみを見かけると、ちょっぴりテンションが上がって 何故かドキドキしていたのは内緒の話。
そして今日は、たくみの機長としての初フライト
もちろん私も乗務員として搭乗する。
副操縦士時代も、何度か同じ飛行機で仕事はしたんだけど、今日は特別な日だ!
フライトミーティング後に、たくみとこんな会話をした。
「機長としての初フライトだね」
「たくみのパイロット姿格好いいよ!」
「だろ!俺はゆいこと空を飛べるのがめっちゃ嬉しいんだ」
「今日は最高のフライトにするよ!」
そう言った後、少し小声で
「……CAのゆいこもホント可愛いよな」
「これからもずっと一緒に空の旅をしような…」
と、はにかみながらもキラキラした瞳で話すたくみが眩しかった。
一方ひろしは、人の役に立ちたいという志をもち、救急隊員として日々奮闘している。
先日偶然見かけたひろしは、隊服をひるがえしながら
「大丈夫ですか?」
「安心して下さい! 救急隊ですよ!」
と、テキパキと任務に就いていた。
改めて、私の幼馴染みは 格好良くて 素敵で 大切な二人なんだなぁ
と気づいてしまった…
結構いい大人になる私達だけど
もうしばらく、三人で絶妙なバランスを保っていたいと願ってしまうのは、私のワガママかも知れない……
なろラジのトライアングルレッスンへの投稿は4度チャレンジしました。
小説家になろうへのユーザー登録や投稿は今回が初めてで、もし読んでいただいた方がいればとても嬉しいです。
ありがとうございます。
1年前のトライアングルレッスンDでも、なろラジで読んで頂いた作品があるので、そちらも近々投稿させていただきます。