第13話 年間全勝をかけて
よろしくお願いします。
2018年9月、後期は前期と比べると期間は短いが春休み、GWみたいな長期休暇はない。
ひたすら講義と練習の日々。今後の予定はこのようになった。
10/28 ゆう先輩の試合
11/4 トモ先輩、タロー先輩の試合
11/11 カズ、もえちゃんの試合
11/24 ゆう先輩のお別れ会、祝勝会、残念会
12/1~ 期末試験、トレーナー探し
トレーナー契約は1年契約、年末の12/31まで有効であるが2019年1月以降は別の人がトレーナーになることも普通にある。カズやもえちゃんみたいにコンスタントに勝てそうな選手は動かずともトレーナーからスカウトの声がかかることの方が多いから問題はないだろう。
一番の問題はタロー先輩だろう。まだEランカーでもうすぐで3回生、次の試合勝っても負けてもDランクに自動昇格はする。ただし、格闘家として就職活動するなら自動昇格はすごく印象が悪い。
就職活動を円滑にするためにも是が非でも勝っておきたいところである。
さて、春に決まっていたチーム分けだが、この9月から変更になった。
Aチーム:吉岡、蜂元、柳原
Bチーム:牧田、秋田
山門トレーナーと瀧田トレーナーの協議の結果、そうなった。
さて、このチーム分けによりようやくタロー先輩と同じになった。練習も一緒にしているが。
あれ?言葉悪いけど先輩ってこんなしょぼい?雑魚い?な感じがした。俺のペースについてこれてなかった。
もえちゃんは俺のペースについてきていた。持久走ならもえちゃんの方が上かな?あと、Dランクを見据えて俺ともえちゃんの練習試合も組むことになった。スタンドならまず負けはなかったとだけ言っておく。山門トレーナーから対女性でもヤりあえるのはいい傾向だと褒められた。
ゆう先輩は既に必要単位数は確保できていたので秋は実践試合のみしか登録していない。
そのため学校にはほとんど来ていない。就職先の化粧品会社の練習場やアメリカ、中国などに遠征をしたりしていた。山門トレーナーとトモ先輩は就職活動の本番で、それぞれ内々定を得た後、内々定先の武道場に行ったりしていたため学校の講義がない日は休みがちであった。
10月も半ばに差し掛かるころカズの対戦相手の候補が決まった。近江大学の木村選手が筆頭候補、衛府欄大学の西川選手、阪南大学の久禮選手。
近江大学の木村選手は170cm程/65kg程らしく、極め技主体の一撃必殺スタイルらしい。
タロー先輩をはじめとする田中派の極め技自慢達との練習をこなす日々であった。
10/28 13時 ゆう先輩の試合
Dランク60、3R3分/R。試合会場は新島学園武道館。ゆう先輩は学生としての試合はこれで最後である。トレーナー以外とは2か月ぶり位の再開。対戦相手は男性で33歳社会人。勝ったのはゆう先輩であった。第1R、打撃戦となって決定打がないまま終了。2R目、一転して開始10秒でグランド状態へ、相手選手へのチョークが決まりKO勝利。(左手でチョークして右手は・・・以下略)。相手選手は見事なアヘ顔を晒しながら担架でご退場となった。ゆう先輩に怪我はなかった。また、翌週以降も学校に姿を現わさない日が続いた。
11/4 9時40分 トモ先輩の試合
Dランク60、3R3分/R。試合会場は東京の乙子塾武道館。対戦相手は見た目は女性、でも男性で18歳乙子塾の学生で3回生(乙子塾内では3号生)。ここの塾はある意味有名で昭和初期も真っ青のスポコン、スパルタ丸出し、女装男子のみ、全員武闘派、塾内に地下牢や拷問部屋がある、塾長は格闘の達人で一人でも戦争で勝ち抜いてきた剛の者、老いてもOB含め塾内最強を誇る化け物らしい。勝ったのはトモ先輩であった。1R目終盤に組状態から極技で相手の腕をへし折ったが、なぜかそのまま続行。相手選手とそのトレーナーも負けを認めず。2R目、相手の気迫に押され不利な展開になったもののトモ先輩の左フックが相手選手の顎をかすめ失神、KO勝ちとなった。トモ先輩は負傷が激しく医務室、病院へ。1週間の要入院、東京の病院に入院する事になった。
11/4 16時20分 タロー先輩の試合
Eランク3勝クラス40、2R3分/R。対戦相手は男性で16歳乙子塾の学生で1回生(乙子塾内では1号生)。この試合は相手は3戦全勝ですべて秒殺で勝ってきた怪物。乙子塾内でも塾始まって以来の天才と呼ばれていた怪物。実物を見るとよくわかる、半端ではないオーラ、プロ以上かも。しかし、タロー先輩もこの試合簡単に負けるわけにはいかない。まともに試合をしては勝てる相手ではない。ただ、勝ちを捨てて2Rしかないので全力全速で逃げ切る、引き分けでよし、の作戦らしい。たとえどんなことをしてでもの決意で(反則にならない程度で)。試合が始まり、距離をとるタロー先輩、中央からじりじりと距離を詰める相手、打撃で牽制しながら旋回してポジショニングするタロー先輩、しかし、相手は攻撃せず圧をかけるだけのはずなのに気づけば汗だくで肩で息をしながらコーナーに追い込まれるタロー先輩。脱出のため打撃や口に含んだ毒霧攻撃みたいなのをしていたが全く効果はなく、相手の一撃アッパーをもろに顎で食らい宙に舞うタロー先輩。宙で回転しながらそのままリングアウト負けとなった。試合開始45秒での出来事であった。
タロー先輩は病院へ直行、緊急手術をした。一命をとりとめたが意識は戻らず。3日後に意識は戻ったが1ヶ月の入院生活となった。この試合はタロー先輩にとって格闘家として最後の試合となった。
さて、カズの試合について。対戦相手は衛府欄大学の西川選手になった。
近江大学の木村選手は練習中の怪我で辞退となったためである。
決定したのは10月下旬、練習内容を変えて対策を練り直した。
試合直前ならともかく、こういう事態も時々起こりうることでトレーナーにとっては想定内だったため練習内容を一部変更した位で経て試合当日を迎えた。
※山門トレーナーの選手分析
蜂元 太郎 「タロー先輩」
2018年9月 精華町の国立新島学園格闘学部格闘科2回生 175cm/69kg
17歳Eランカー。
通算7戦3勝
一撃必殺スタイル
総E+
体D-、速E+、耐E+、心D、対E+
打E+、組E+、寝D、極D+、投E
次週も投稿予定です。