第12話 3戦目
よろしくお願いします。
2018年8月11日、大阪格闘技会館。
この日はタロー先輩とカズが試合に出る。
カズが先に試合で10時20分、タロー先輩は14時に試合。
カズの対戦相手は予想通り例の力士である。
試合開始は早めのため控室での準備、アップを済ませリングへ。
試合:Eランク2勝クラス30 2R3分/R
赤コーナー
菊池 丸男選手 16歳181cm/141kg
金機大学(大阪)所属
…
青コーナー
吉岡 和彦選手 16歳195cm/93kg
新島学園所属
…
リングに上がり、両者睨み合い。主審の説明後、所定の位置へ。
菊池選手は相撲の立会いのように構えていた。カズはいつもと変わらず。
試合が始まった。菊池選手、いきなりのぶちかまし。カズはサイドステップでかわし、菊池選手を中心に旋回しながらローキック、ジャブを繰り出す。デビュー戦から今まででカズが旋回するのはこれが初めて。菊池選手はそのままリング中心に居座り、カズは旋回、警告をもらわないようにヒットアンドアウェーで攻撃していた。
「山門先輩、カズにこの戦法をやれせて大丈夫なのですか?」
「ん?…まぁ大丈夫だろう。合宿の時にいろいろ試した方法で山田に通用しそうな戦法の1つだったからな。それに期末試験前後と比較してバランスの取り方がうまくなっている。サイドステップや打撃技も体のブレがなく左右の重心移動がスムーズになったからこの戦法が使えるようになったのだ。実家の帰省でたるんでいたらしごいてやろうと思ったが、実家でしごかれたのか知らんがむしろ良くなった。…そうだ、この調子だ。残り時間も少なくなってきたな。かな、そろそろ準備を準備を頼む。」
「分かりました。」
こうして第1Rは終了。滞在率ではカズの方が分が悪いが、山門トレーナーにとっては想定内であった。
「よく動けたな。その分汗も多いからしっかりここで休んでおけ。水は少しだけ飲め。…よし、いい感じで息も整ってきたな。いいか、このまま判定で行くとよくて引分けだ。だから次のラウンド、あの大技の使用を1回だけ使用を許可する。ただし、外したら次はないぞ。いいな?」
一方、菊池選手側は
「ち、まさか旋回してくるとはな。てっきり打撃で正面から応戦すると思ってたがあんな動きができるとは。滞在率は取れたが、こっちは足を削られたか。…いいか、ある程度は回復するがローを受け続けると動けなくなる。リング中央で構えるのは同じでいい。あとはサイドに逃げるタイミングに合わせてテッポウを当てていけ。滞在率で勝っている分、無理に追わなくていい。相手もそれで焦ってきたところをぶちかましと投げで勝利をもぎ取れる。…いいな、分かったな?」
第2Rが始まった。菊池選手はリング中央に陣取ることを第一にぶちかましをする。カズはそれを躱して旋回、第1Rと同様の展開へ。1分が経過したころ、カズが右ステップをしたタイミングで菊池選手の左テッポウが飛んできた。カズはその機で逆方向へステップ。カズは避けた方向に鉄砲が飛んでくるのは予測できたので軽い右ステップでテッポウを出させて思いっきり左ステップしながら左ストレートを放った。菊池選手の顎に命中し、すこしだけぐらついた瞬間でカズはリング中央を制圧。体勢を整え、リング中央にいるカズに再びぶちかまし…のところでカウンター気味にカズの後ろ回し蹴りが菊池選手の顔面に直撃、菊池選手のがよろめき、両膝がついた。カズの追撃が迫ったところでレフェリーストップ。菊池選手のセコンドが既にギブアップの意思表示をしていた。
この試合もカズの勝利に終わった。
大きな怪我はなくカズの作戦勝ちであったが、紙一重の試合であったと山門トレーナーは思った。
菊池選手は自力でリングアウトし医務室へ向かった。
カズも医務室に行った後、昼食をとった。
カズは足の疲労をとるため練習の復帰は金曜日からとなった。
14時、タロー先輩の試合が始まった。
Eランク3勝クラス40、2R3分/R。対戦相手は大阪大学の同期で同じ男性。この試合はお互いに終始決定打に欠ける展開に終わり、判定へ。引き分けに終わった。タロー先輩は出血はあったもののかすり傷程度であった。月曜日から練習に復帰した。
翌週の8/18の11時40分、奈良の生駒武道館にてもえちゃんの試合が行われた。
Eランク1勝クラス20、2R3分/R。対戦相手は手塚山大学の格闘学部の学生で同じ女性。試合はもえちゃんの圧勝であった。開始30秒でグランド状態からチョークを極めてレフェリーストップ。もえちゃんに怪我はなく、月曜日から練習に復帰した。
菊池丸男
16歳 1回生181cm/141kg
大阪の金機大学格闘部格闘科。相撲を専攻。
相撲スタイル
総D
体C+、速E+、耐C、心D、対E+
打D、組D+、寝E+、極E、投D+
次話は来週投稿予定です。