第10話 カズの実家
よろしくお願いします。
カズ達の試合が終わり、期末試験の時期へ。
カズともえちゃんは怪我がなかったため練習を再開していた。
カズは基本トレーナー学1、基本中国語1、格闘医療学1、基本英語1の4つが期末テストがある。
試験時間は90分あるが、どの科目も解答時間はだいたい50分あれば十分らしい。
6/4 4限:基本中国語1
6/13 3限:格闘医療学1
6/18 3限:基本トレーナー学1
6/21 1限:基本英語1
どの単位も落としたくないが、特に基本トレーナー学(トレーナー学系)の単位を落とすと留年の可能性があるらしい。試験勉強の時間は日曜日と練習試合の時間を半分にして取り組んでいた。
日曜は山門トレーナーの監視のもと勉強会を開いていた。
6月の期末試験が終わり、前期が終了。7月となった。
後期は7/26から始業であり、今後の予定は以下の通り
6/26~7/8 実家に帰省
7/9~7/15 田中ゼミ合同合宿In長野
7/16~7/22 学内でトレーニング、授業登録
7/23~ 後期開始
7/28 ゆう先輩の試合
8/4 トモ先輩の試合
8/11 タロー先輩、カズの試合
8/18 もえちゃんの試合
6/26、カズは兵庫県にある実家に帰省した。
朝に出発、家についたのは昼過ぎであった。
実家には母親のみ、交流はあまりないが近所(歩いていける距離ではない)には母の親戚がいたりする。
母親の父は存命ながらも施設にいる。母親の母はカズが幼いころに亡くなっていた。
父に関してだが、母との約束でカズがBランカーになれば教えてくれるとの事。なのでカズは誰が父かはわからない。(戸籍を調べれば分かるけど、父がいない生活には慣れてるし格闘家志望のカズにとってみればBランカーになってしまえば教えてもらえるから調べる面倒が省けるのであえて調べてない。)
家に着くと挨拶をほどほどに交わし、家の庭で軽くストレッチ、家の近くでランニングがてら昔通っていたジムに挨拶。昔お世話になったトレーナー達は転勤と転戦などでほとんどいなくなっており、顔見知りはいなくなってたので軽い挨拶をすませ、ランニングに戻った。幼いころの思い出を思い出しながら。
夕方、家に戻ると入浴、久しぶりの母との団らんと夕食を済ませ、家のTVへ。山門トレーナーから預かったメモリーを再生するためであった。メモリーにはストロングスタイルの選手の試合が録画されたいた。
母も一緒にTVを見ることになった。母も元Bランカーとしての視点で母の解説を聞きながらTVを見ていた。
ストロングスタイル、アメリカ人は打撃が主体、ロシア人は組主体、中国はオールラウンダー風、同じ日本人では小笠原と名乗る選手が多数出ていて打撃と組と投げを連動させて戦うスタイル、ストロングスタイルの中でも世界でも通用する小笠原スタイル、小笠原以外でもストロングスタイルを使う選手もいたが小笠原系の選手以外なら井上選手かな。幼少のころからTVで見ていたがストロングスタイルで小笠原選手との死闘、他のスタイルの選手を圧倒する闘いぶり等、今見てもお手本になる部分が多い。
翌日、午前は朝食、トレーナー学の復習、筋トレ等をこなした。昼過ぎにとある施設へ。
三田市内にある介護施設。カズの祖父(母の父)である吉岡慎太郎がいた。
元Cランカーで農業と兼業。2013年、70歳になり完全に格闘家を引退。農地を長男に託し、施設へ。
現在は施設内で楽しく過ごしている、らしい。
カズ達は祖父の部屋に行き挨拶し、近況報告などを済ませた。この祖父も元格闘家とあって格闘に関する知識は豊富で母も交えて3人で盛り上がっていた。
その後、祖父と中庭へ。中には同じ施設にいる人たちがいた。その中に祖父の友人が3人いて、一種のゲームをしていた。ゲームのルールは以下の通り。
※要は土俵上の鬼ごっこのようなものです。半径3mの円にオニ1人とプレイヤー1人の2人が競うゲーム。
※鬼の頭の上に本を置きます。鬼がバランス悪く動くと落ちます。
※1分間で鬼はプレイヤーにタッチまたは円の外に少しでも出せば勝ち、プレイヤーの負け。
※1分が過ぎるまたは鬼の頭の上の本が落ちるor鬼が頭以外で本に触ると鬼の負け、プレイヤーの勝ち。
※プレイヤーが本に触ると鬼の勝ち、プレイヤーの負け。
祖父は施設内でもこのゲームの猛者で、特にプレイヤーでは負け知らずらしい。
カズも幼い頃、祖父と母に遊んでいたゲーム。結果は以下の通り(一部抜粋)。
カズvs祖父
カズの鬼3回 カズの1勝、祖父の2勝
カズのプレイヤー3回 カズの0勝、祖父の3勝
祖父の一言「孫相手に初めて本気でやったが、まだまだ負けぬわ。最後はばてたが、孫の動きがよくなったわ。」
カズvs母
カズの鬼3回 カズの0勝、母の3勝
カズのプレイヤー3回 カズの0勝、母の3勝
母の一言「少し本気出したけど、その動きではまだまだ。現役になったんだからもっとビシっとしないと。仕方ないから明日から少ししごいてあげる。」
ちなみに母と祖父のゲームは試合さながらであった。お互い現役のCランカー以上だろ、多分。そう思うカズであった。
翌日から母との特訓が始まった。
幼い頃から、母とまともに練習するのはこの時初めて。
ジムか学校か、または祖父と練習したり。母とはTVで見るくらいしか接点がなかったが。
6/26から合宿に向かうまでの約10日間、地獄のメニューが始まった。
午前中は母はパートに行っているため、母の考案したメニューをこなす。これはまだそれなりにきつい程度。昼過ぎ、母とランニング。カズは10kgのウェイトを腰に巻いてのランニング。ダッシュもあったので夕方には玄関で倒れこむ程度になっていた。
カズは休憩とシャワーの後、地下室へ。
家の地下にはリングがあった。昔、ここで祖父とよく練習していた。
6/26に初めて母とリングで練習する際に言われた一言(二言以上)。
「カズ、よく聞いて。貴方はEランクを連勝して、来年はDランカーになってる可能性が高いと思う。で、今までは同じ男性との試合だったけどDランクから女性との試合が多いの。そこがカズにとって格闘家人生の難所の1つになると思う。」
「女性との試合が難所?なんで?」
「それをこれから教えてあげる。ルールはDランクと同等3R3分/R、試合が終わる条件は私がKO負けした時のみ。勝てとは言わないけど私と試合できるくらいになれば上でも通用するかも。とりあえず、試合するわよ。」
あまり乗り気はしないカズであったが闘うしかなかったので母との試合に臨んだ。
7/8の昼から長野に出発、それまでは爆睡であった。
名古屋を経由して乗り換え。
そこからは起きていて、弁当を食べながら思い浮かぶのは母との死闘。
まったく相手にならなかったがギリ凌げたと思うことにした。
吉岡 みほ(カズの母)
44歳(2018年)166cm/67kg
持久戦スタイル
総C-
体D、速D+、耐D+、心C+、対B
打D+、組C、寝C+、極C、投D-
来週もよろしくお願いします。