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【第一章完結】300年国を支え続けた魔法使いは元教え子と共に大迷宮攻略に挑戦します  作者: 日之影ソラ
第一章

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23.再会

「まずいですよ先生。彼女が帝都へ向かったのは」

「わかってるわ」


 私の過去を見てしまった彼女は、興奮を抑えきれず帝都へ向かってしまった。

 復活の喜びで、とかなら微笑ましかったのに。

 彼女の抱いた感情は間違いなく怒りだった。

 魔女狩り令は、唯一無二の親友を侮辱する行いだと。

 私が同じ立場でも、彼女のように怒っただろう。


「私の責任ね」

「先生」

「ううん、今はそんなこと言ってる場合じゃないわね。彼女が暴れてしまう前に止めましょう」

「はい。下手をすれば国家間同士の戦争になる。そんなことは姫様も望んでいませんから」


 問題は、どうやって彼女を諫めるのか。

 相手はドラゴン、いかに私たちでも戦いになれば強引に止めるのは難しい。

 だからこそ暴れる前に会話で説得するしかないか。

 それから……


「ちょうどいい機会だし、過去の清算もしてしまいましょう」


 私を裏切ったフレール殿下。

 今は国王になった彼と、彼が治める帝国に。

 復讐というほど大それたものじゃないけど、この十年分のつけは返してもらおう。


「転移するわよ」

「はい」


  ◇◇◇


 帝都上空に浮遊するフィアンマ。

 彼女は人々を見下ろし、怒声交じりに言い放つ。


「この国を治める愚かな王よ! ワシは主に用があるのじゃ!」

「私か……」


 フレールは微かな声で呟いた。

 その声と動揺を感知したフィアンマが、ギロっと彼に視線を向ける。


「そこか」

「――!?」


 フィアンマの姿が消える。

 とほぼ同時に、フレールたちの眼前に転移した。

 身構えるフレールと、彼を守るように前へ出る三魔女。


「主がこの国の王じゃな」

「……ええ、その通りですよ。貴方は本当にドラゴンなんですか?」

「そう言ったじゃろう? なんじゃ聞こえておらんかったか? それとも理解できんかったか? どちらにせよ滑稽じゃな」

「貴様! 陛下に対して……」


 怒るアクアが前のめりになる。

 忠誠心が最も高い彼女は、フレールを侮辱され頭に血が昇る。

 フィアンマを睨むアクア。

 そんな彼女をフィアンマは鼻で笑う。


「ふっ、主らが愚かな王に従う魔女三人か。見たところ若すぎるのう。これでは三人合わせてもあの娘一人にすら届かん」

「何を……」

「生憎じゃがのう。ワシが話したいのは主らではない。邪魔じゃ」

「「「――!?」」」


 冷たく重い一言には魔力が込められてた。

 言葉による支配。

 魔法ではなくドラゴンが持つ特性の一つ。

 彼女たちは言葉に魔力を込めることで、強制力をもって相手を従わせることができる。

 三人はフィアンマの言葉の前に、なすすべもなく地にひれ伏す。


「なっ……ぐ」

「お、お前たち! 何をしている!?」

「責めてやるな。ワシの言葉に従いこそすれ、意識を保っているのは見事じゃ。とは言え許しはせんがのう」

「……貴方は一体」


 フレールの額から汗が流れ、頬をつたり落ちる。

 圧倒的強者を前にはこざかしい策も通じない。

 人生最大の焦りを感じているフレールに、フィアンマは問いかける。 


「ワシがなぜここに来たかわかるかのう?」

「さぁ、なんでしょうね? 挨拶ですか?」

「挨拶か、当たらずと言えど遠からず……じゃのう。礼をしに来たのじゃ」

「礼? お礼ですか? 貴女にお礼をされるようなことはしていませんよ?」

「しておるじゃろう? 魔女狩り令……我が友への侮辱じゃ」


 静かな怒りを瞳に宿し、怒鳴りもせず言葉で発露する。

 フィアンマが放つ殺意を前に、フレールの全身は震え上がる。

 その恐怖は一瞬にして、彼に死を直感させるほど。


「ただでは済まさんぞ。お主も、主に賛同した愚か者共も、ワシの手で粛清してやろう」

「っ……」

「――お待ちください! フィアンマ様」


 彼女が怒りのまま手を下そうとした時、それを止める声が現れる。

 突然現れた二人の姿にフレールは驚愕する。


「魔女リザリ―?」

「お久しぶりですね。フレール殿下」

 

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新作投稿してます!
婚約破棄に追放までセットでしてくれるんですか? ~職場でパワハラ、婚約者には浮気され困っていたので助かりました。新天地で一から幸せを手に入れようと思います~

最後まで読んでいただきありがとうございます!
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― 新着の感想 ―
[一言] 粛正されてしまえーって思いながら読んでいたので、これ以上にスッキリする結末があるのかな?と気になってます。更新ありがとうございます。( ^ω^ )
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