異変②
村長の家に着くと急いで扉を何度も叩いた。
村長「なんじゃ?慌ただしいの?」
扉が開くと、息を切らしたまま話始めた。
姉「た…助け…」
村長「落ち着きなさい!ゆっくりと話なさい。」
息を切らしていたが、少し大きく息を
吸い込み、少し落ち着いたのを見計らって
再び話始めた。
姉「はぁ…助けて下さい!弟が…弟が!!」
村長「何かあったのかね?」
姉「今朝…なかなか弟が…起きてこなくて
部屋を覗いたら苦しそうで、それで…」
村長「苦しそう?寝る前は元気だったかね?」
村長は冷静に話を聞いて聞き返した。
事態をきちんと把握することが大事だとは
思うが、それにしても落ち着いている。
姉「はい、そうです。」
村長「…夕食でこういうキノコを
食べなかったかい?」
村長はそう言うと、少しオレンジがかった
茶色のキノコを取り出した。
姉ははっとした。
昨日珍しくて取ったキノコであった。
姉「あ…、それは」
村長「これはユナモダケ…魔力を蓄える習性が
あって、魔力の回復薬にも使われるもの
なんじゃが、うちらの里には基本
生えないものなんじゃ。」
確かにこれはいつもの場所より少し奥、
里からは少し離れた場所に群生していた
ものを取ってきたものだ。
村長は続けた。
村長「最近、村の子供達の体調が優れなくなる
ことが多くての、個人差はあるんじゃが
大人達にはあまりこの症状は
出ないんじゃ。」
姉「私もまだ大人と呼ばれるにはまだ
皆さんより幼いと思うんですが…」
村長「ここで言う大人とはただ年齢を
重ねただけのものではないんじゃ。
思い当たる節はないかね?」
姉(私と弟の違い?…性別?ううん、違う
村の子供達がって言ってたから…)
姉「…魔法…」
姉がぼそっと呟く。
村長「そう、儂等魔法が使えるものと
使えないものとの差は、魔力が身体から
外へ魔力が流れるようになったかどうか
その違いじゃな。」
村長「しかし、今はその説明をしている暇は
なさそうじゃの。家に行って一段落して
から話そうかの。」
姉「は、はい!わかりました。」
村長の家を出ると村長は(ウインドウォーク)の
魔法をかけてくれた。それと同時に姉は少し
落ち着いたようだった。それはともかく、
家に急いで戻った。