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進化した剣士の放浪記  作者: 片魔ラン
第零章 亡命と覚醒
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謁見終了

「…そうじゃったか。勇者召喚のみならず炎神薬にまで手を出しておったとはのう…あの国もついにとち狂ったのじゃな…」


 オリバー達の話を聞いていた評議員は憂いを帯びた表情を見せ、唇を噛み締めた後、再度口を開いた。


「あいわかった。少数精鋭で召喚被害者を全員救い出すことは事実上不可能であったと認める採決が今し方行われ、通ったそうじゃ。よってそなたらの依頼は評価Aとして扱う。」


「「「ありがとうございます。」」」


 冒険者一同は声を揃えて感謝の言葉を告げる。B評価とA評価では出来高に三倍以上の差がつくのだ。感謝しない理由がない。


「次に異世界からの客人方。既に元の世界に戻るのは諦めた、と言う事で良いんじゃな?」

「…はい。」


 代表して答えたのはタイシであった。帰還に関することは長い道中、散々話し合ったのだ。結果、誰も覚えていないだろ、と言う炎鬼の言葉が効き、唯一の帰還手段模索推進派であった玲二が陥落し、全員が帰還を諦めたのだった。


「ではそなたらには金貨八十枚と希望する世界会議加盟国内の教育機関への推薦状と試験合格時の学費無料を約束しよう。これは召喚を止めることができなかった儂らからの詫びじゃ。受け取っておくれ。」


 条件を聞いたタイシは周囲を見渡す。蘭や美桜、玲二は頷いており、炎鬼は興味がなさげだ。


「はい。わかりました。」

「おお!そうか!して。希望する学院は決まっていたりはするかのぉ?」


 評議員の問いにタイシは決まっていない、と言う返答を飲み込み、一瞬考えたのちに質問を行うことにした。


「答える前にひとつだけいいですか?」

「よいぞ。」

「では。賢者マルコリス、の所在はわかりますか?」

「マルコリス…?なぜ今その名を?」


 評議員は若干顔顰めるが、タイシはそのことに気付かず言葉を進めた。


「恩人からその者を訪ねよ、と言われたので。」


 実際には訪ねろとは言われていないのだが、タイシはリリヤの行動をそう受け取っていた。評議員は暫く押し黙った後、口を開いた。


「そうか…まあよい。マルコリスは隣の大陸を統一している王国の王都にいるはずじゃ。なんじゃ?そこを希望するか?」

「出来れば、お願いします。」

「あいわかった。ではそのように手配をしておこう。入学する学院は後日決めればよい。して、他の面々は希望はあるかの?」


 評議員はそう言ってタイシを除く四人を見渡す。すると、蘭と美桜が互いを見合わせ、前に進み出た。


「「私達も同じ場所を希望します。」」


 その様子に玲二も追従し、前に出た。


「僕もです。」


 評議員はそんな三人をもう一度見渡し、口を開く。


「あいわかった。では四人が隣の大陸じゃな。して、最後の一人は?」


 評議員が炎鬼を見る。炎鬼はだるそうに髪をかきあげると、堂々と宣言した。


「俺はこの冒険者たちといくわ。学校入学の権利は今は行使しない。」


 評議員は言葉遣いの荒い炎鬼を一瞬睨みつけるも、すぐに頷いた。


「わかったのじゃ。じゃが、入学の権利は好きなときに行使できるようにしておこう。気が向いたら冒険者ギルドから世界会議宛に連絡をよこすのじゃ。」

「わかった。」

「では、これでよいかの。報酬の配布は明日じゃ。本日はこれで解散じゃ。」


 評議員はそう言ってさっさと謁見の間を出て行ってしまう。残されたタイシ達は評議員と入れ替わりで入ってきた騎士達に導かれ、それぞれの自室へと戻っていくのであった。



「終わったー!」


 自室に戻ったタイシは現在、部屋を訪ねてきた蘭と美桜と会話をしていた。


「皇帝めっちゃ怖かったわ。二度と会いたくない。」

「「うんうん」」


 タイシが腕をさすりながらそう言うと、二人はうなずいた。そしてしばらく歓談を楽しんだ後、蘭がタイシに疑問をぶつけた。


「ところでター君、賢者っていきなりなんだったんですか?」

「あれはリリヤさんだよ。別れる時に会いに行けって言ってたの。で、貰った格納庫にもマルコリス殿へ、って書かれた手紙があったし一回は行かなきゃなあって。正直冒険者用の学校なんてどこでも同じだってオリバーが言ってたからじゃあ、その人がいるところに入ろうかなあって。」

「そう言うことだったのね。前持っていってくれればよかったのに。」


 美桜が不満を漏らすが、タイシは首を横に振った。


「いや、いきたい学校聞かれるだなんて思ってなかったししょうがないだろ。まあ、今度からはできるだけ早い時点で情報共有するように心がけるよ。それより今日の謁見したとこ、すごい数の魔法かかってなかったか!?」


 タイシはそう言った後、魔法談義を始めるのであった。結局三人は夕食で呼ばれるまで歓談を続けるのであった。


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