星空
見上げれば一面に絵にかいたような淡い青。
一段と空は高かった。
目を瞑り自然の音に耳を傾ける。
風のヒューという音が心地よい。
「今日の星も綺麗だな。」
自然が作る美に見入っていると、背後から声がした。
直接心に語りかけているかのような、優しく、透き通った声。
この声はどこかで聞いたことがある。
その声を聴くや否や、私の耳は今まで以上に過剰反応を起こした。
そして、その人が誰なのかはすぐに分かった。
だが、これが現実ではないような気がして、何度も頬をつねる。
ずっと願っていた再会が、まさに今起こったのだ。
嬉しくないわけがなかった。
ただ、再会を強く願う故に、夢にまで出てきた可能性もあり得る。
だから、信じないでおこうと決めた。
幾度となく頬をつねり、大きく瞬きをする。
だが、何も起こらなかった。
そうだ、これは夢でも何でもない。
紛れもなく現実なのだ。
それが現実だと確信した瞬間、このために残しておいたとも思わせる大量の涙が静かにこぼれ落ちた。
これは正真正銘の現実だ。
不可能だと思われた再会は、今ここで実現した。
やはり、あの出会いは偶然ではなく必然だったのだ。
この世界で何らかの義務を果たすために、出会うという運命があったのだ。
お互いが再会にかけた強い思いが私たちを出会わせたのか。
理由は何でもよかった。
ただ、再会できただけで良かった。
それだけで、世界は輝いて見えた。
もう、これ以上のものは何もない。
一生ものの幸せを手に入れた達成感に浸っていた。
「いつもよりずっと綺麗だね。」
青の下、二人の笑い声だけが響いた。