救世主
三年間と言う名の心に開いた大きな穴を埋めることは容易ではなかった。
社会も私を取り巻く環境も、全てが目紛しく変化していた。
私だけが三年前の世界に取り残されていたのだ。
その孤独さから、出来ることならまた眠ってしまおう、と何度も思った。
だが、死のうとは思わなかった。
何があろうと、『普通ではない世界』の支配者が助けてくれた命を粗末に扱うなど以ての外だった。
それに、私には心強い支えがあった。
「星、今日も頑張ろうね!」
「うん。」
そう、いつも私のそばで支えてくれる大切な存在。心が折れそうになる度に温もりに溢れた手を伸ばしてくれる一番の理解者。
空白の時間がなければ気付くことのできなかった、かけがえのない姉の存在。
私にはなくてはならない宝物のような存在。
そして、私の救世主である想太さんの言葉。
想太さんが私にかけてくれた沢山の言葉が、心が折れそうになる度に脳内で自動再生されていた。
その言葉は、どんな薬よりも効果的に辛い事も全て、今を生きる糧に変えてしまう。
はじめは面倒だと思っていた想太さんの言葉にいつしか助けられていた。
今日もまた聞こえてくる。
心が癒える姉の声と共に想太さんの言葉が。