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捜索
今すぐにでも想太を探したい。
だが、そうもいかなかった。
三年間という空白の時間がもたらしたのは、大きな試練の連続だった。
第一、身体の筋力は恐ろしい程に低下し、自分の力で歩くことすら、到底不可能な状態だった。
そして、車椅子に不慣れなせいもあってか、一人では病室の外に出ることもままならない。
そして、原因はもう一つあった。
それは、想太についての情報を所持していないことだった。
私が知っていることは、『想太』という名前だけだった。
姉は、想太の意識が戻ったことを医師同士の会話から得たらしい。
とはいえ、この病院内にいるかどうかの確証はない。仮にこの病院内にいたとしても、ここは地方トップクラスの大病院。
想太が、そう簡単に見つかるはずもなかった。
病院側が想太の情報を教えてくれれば良いだけの話ではあるが、これは個人情報にあたるため不可能だった。
だからこそ、想太は自分の足で探すしかなかったのだ。
そのため、想太にはしばらく会えそうにもなかった。