表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
re.time  作者: 新屋はる
First and last encounter
44/55

現実

眩しい光に仕方なく目を開けると、傍には姉がいた。


クリーム色の天井、鼻をつくような薬品臭。

硬いベッドの上。

身体中に刺さっている管。


瞬時にここがどこなのかを悟った。


(あかり)っ!」


「お…姉ちゃ…ん。」


「よかった、よかった、よかった。」


姉は目に大粒の涙を浮かべ、ただ、『よかった』と連呼していた。

静かに頬をつたって流れ落ちる姉の涙。

それは、姉が握っていた私の手にも流れ落ちた。姉の涙は暖かく、姉の心の温度のように感じた。


「ごめんね…。」


自分の身に何が起きたのか、今の私には分からなかった。なぜこの場所にいて、なぜ姉が泣いているのかということも。


「無事でよかった。」



『無事でよかった』

正直、意味が分からない。

無事ではない状況でもあったのだろうか。

一度はそうも思ったが、ひとまず考えることはやめよう、と思った。


姉に手を握られたまま、天井の一点を見つめていた。

気づけば、涙がこぼれ落ちていた。

この温かさに、もう一度眠ってしまおうと思った。

そして、この温かさが続けばいいと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ